新型コロナウイルスの政府対応について私が思うこと

 

 

 もう、6月、私の周りでは青紫、白、淡いピンクの紫陽花が咲き始めました。これを書き始めたのが5月14日「緊急事態宣言を一部(39県)解除」した時でした。その後、5月21日には関西の大阪、京都、兵庫を解除、そして、ついに5月25日、1ヶ月半ぶりに緊急事態全面解除することを決めました。

 そして、私の周りも少しずつ人が動き始めましたが、どこへ行っても最低、手指消毒、マスク、2mのソーシャルディスタンス、多くの方が集まる施設では検温まで実施しています。

第2波、第3波が来るだろうとの予測もありますので、当然の対応と言っては、それまでですが、「動かないことが良いことだ」ということが身についてしまったこの4ヶ月、緊急事態宣言が出された以前の生活に戻るには相当時間がかかることになります。それで本当に良いのでしょうか?今回の新型コロナウイルスの問題は根本的な解決策が見つからないまま、マスクをしろ、手洗いをしろ、消毒をしろ、3密防止、それで私たちの経済が、生活が、本当に元に戻るのでしょうか?安全が確保できて、初めて安心感を生み、人が動き、経済活動が回っていくと思うのです。それには検査体制の充実、医療体制の充実そして新型コロナに効く薬やワクチンの開発を急ぐ必要があります。また、生活の安全、安心のための支援、や企業への支援も同時に進めなくてはなりません。

 政府は今回浮き彫りになった各課題についての解決策(対策案)=目標を決め、いつまでに解決するのか国民に示し、それまでは自分の身は自分で守る自粛生活を続けて欲しい、辛抱してほしいと要請すべきだと思うのです。

 まずは、この4ヶ月の政府のコロナ対応について振り返り、今後に生かしてくにはどうしたら良いのか、考えてみたいと思います。

 

【 この4ヶ月のできごと 】政府の危機管理って・・・

  政府の施策について、私なりに評価してみました。

 

EXCELLENT;  E  優(最高、優秀)

GOOD;         G  良(良好な、適切な)

AVERAGE;  A  可(平均、並み、当たり前)

POOR;     P  不十分(貧弱、気のない)

BAD;     B  不可(好ましくない、拙い)

 

         武漢チャーター機を派遣、退避邦人帰国支援と支援物資

  • 1/30、WHO(世界保健機関)は新型コロナ感染症について「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言。
  • 1/30政府は「感染症対策本部」設置。

      湖北省に滞在歴がある外国人、湖北省で発行されたパスポートを所持する外国人の   

  入国を拒否。

 

⇨ E 比較的早いうちに対策本部を設置、邦人の帰国支援、湖北省からの外国人の入国拒否と早いうちに手を打っています。

 

  • 2/3に横浜港に入港したダイヤモンドプリンセス号の下船を許可せず、隔離する

  乗客・乗組員合わせて3711人の検査終了、21日までに乗客が下船。

 

⇨  B この下船させるかさせないかは難しい判断、一部非難の声が上がりましたが、これはこれで良かったと思います。

ただ、 検査数が少なく、検査している間船内に隔離された患者が徐々に増えていきました。私はあれだけ人を増やしておきながら何故、一日数十人しか検査ができないのか、また船内は交差汚染箇所多く、感染が拡大するのではないかという検査体制に懸念を持ちました。

 

  • 2/13国内初の死者確認、感染経路不明の事例多くなり、市中感染が現実的になる。
  • 2/17、加藤厚生労働大臣は「帰国者・接触者相談センター」に相談する際の基準として「風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続く」症状を挙げた。

⇨ B 新型コロナウイルスに対する指針や対策を求める声が強くなりましたが、政府は大きく動く気配がありません。また、私の周りで、熱があり心配だから保健所に相談したら、病院に相談するように言われ、病院に電話したら保健所にとたらい回しにされた話が出てきました。

 

  • 2/21、東京の小池都知事が、都が主催する大規模で飲食の伴う屋内イベントを3週間、原則中止か延期すると発表。(東京都は1/24、新型コロナウイルス関連肺炎第1回危機管理対策会議開催している。)
  • 2/25、政府の対策基本方針を加藤厚生労働大臣が公表。
  • 症状が軽い人は自宅療養を原則とした他、「全国一律のイベント自粛要請はしない」との政府方針に関して「患者集が集団確認された地域では自粛の検討要請もあり得る」との見解。
  • また、厚生労働省は「クラスター対策班」を立ち上げ、感染の流行を早期に終息させるために、患者集団(クラスター)が次のクラスターを生み出すことを防止することを目指す。

 

⇨ P・B クラスター対策班を立ち上げたのは良いのですが、この曖昧な方針で良いのか、疑問が残りました。

 

  • 2/26、北海道の鈴木道知事が27日から3月4日まで道内の小中学校を臨時休校する方針を発表、又2/28には独自の緊急事態宣言を打ち出し、週末の外出自粛を道民に呼びかける。
  • 2/26、25日にいったん対策基本方針を出した政府が大きな政策転換、安倍首相は全国的なスポーツ、文化イベントを今後2週間は中止または延期、または規模を縮小する。さらには。「3月2日から全国全ての小学校、中学校、高等学校を春休み迄臨時休校するよう」突如の要請。

 

⇨ B 安倍首相が、前日の加藤厚生労働大臣の「政府対策基本方針を一日で転換」したのは驚きでした。多分、政府としては東京オリンピックパラリンピックの前に何としても早く終息させたいという思いがあったのでしょう。また、突然の自粛要請で26日夜に予定されていたEXILEPerfumeなどのライブが中止、また、一斉休校の発表に困惑する働く女性や学校関係者の悲鳴がSNSなどに上がりました。

 

 ・2/27 IOCのバッハ会長は緊急の電話会見で東京オリンピックパラリンピック 

  を予定通り7月24日に開催すると強調。

 

⇨ A マスコミでもこのコロナは4月か、遅くとも7月には収束するだろうと見ていました。政府も予定通りの開催を頑なに叫んでいました。

 ⇨ B 2月下旬には感染の中心が中国だけではなく韓国やイタリアにも急増し、日本でも政府が「緊急事態宣言」を出して、迅速で体系的な対策を講じるべきだという意見が見られるようになりました。

  • 2/29、官邸で新型コロナに関する初めての記者会見をし、政府の対策について理解を求める。「これから1,2週間が急激な拡大に進むか終息できるかの瀬戸際になる。専門家の意見を踏まえれば、今からの2週間程度、国内の感染を防止するため、あらゆる手を尽くすべきである。」

 

⇨ P 。「大変だ!大変だ!」はわかりますし、べき論は正しいのですが、あらゆる手段を尽くすべきだと言いながら、感染防止のために政府が何をするのか、国民が何をすべきなのか、具体策には触れていません。

⇨ B 医療体制、検査体制共に具体的な策は出てきません。特にPCR検査については各国に比較して検査数が異常に低いので、実態がよく分かりません。

 

  • 3/4、安倍首相は野党との党首会談に臨み10日に特措法改正案が国会に提出され、13日に成立。翌14日から施行。「緊急事態宣言」を出せる環境が整う。

 

⇨ B 緊急事態宣言を出せる環境が整ったのに、なぜすぐに「緊急事態宣言」を発令しなかったのか、疑問が残りました。

  • 3/5、4月来日予定だった中国の習近平国家主席の来日延期が発表。その日の夕方、対策本部の場で3月9日から中国と韓国からの入国を強化する方針を発表。3月上旬にはスペイン、フランス、イギリス等欧州各国、アメリカでも拡大して、一部中国の問題ではなく地球規模の問題になりました。
  • 3/11、WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長は「この2週間で中国以外の感染者は13倍に増え、さらに増えると予想される。新型コロナウイルスパンデミックだといえる。」と各国に対策強化するように要請。
  • 3/13、WHOは今や欧州がパンデミックに相当すると認定。

  東京五輪も予定通り開催できるのか、延期、又は中止になるのか開催を危ぶむ声が

  大きくなりました。

 

⇨ B 中国の習近平国家主席の来日延期が決まった途端に中国、韓国からの入国を強化すると聞いて、もっと前から厳しい制限をしていたら、感染拡大を抑えられたのではないかと思いました。

⇨ B WHOがパンデミックといっているのに日本だけは別という考えが分かりません。遅くともこの時点で緊急事態宣言を出すべきだったと考えます。政府や東京都も来る「東京オリンピックパラリンピック」開催が頭から離れず、コロナ対策に力が入っていなかったように思います。

 

  • 3/17、安倍首相が主要7か国(G7)首脳とのテレビ会議で「東京オリンピックパラリンピックを完全な形で実現することについてG7の支持を得た」と明らかにした。
  • 3/19、専門家会議の評価は「一定程度、持ちこたえている」との見方より厳しく、「オーバーシュート(爆発的な感染拡大)」の危機感がにじむものとなった。それだけでなく、フランスなど欧州主要都市では「ロックダウン(都市閉鎖)」のような強硬措置をとる事態になっていると警鐘を鳴らした。

 

⇨ G 専門家会議はこれ以降、警鐘を鳴らし続けているように見えます。

 

  • 3/22、国際オリンピック委員会IOC)はそれまでの方針を転換し延期を検討して4週間以内に結論を出すと表明。それと前後して感染者が大きく増え始める。

⇨ 国民もこの陽性者及び感染経路不明の陽性者が数十人規模から数百人規模に急激に増えていく様を見て、危機感を覚え始めました。

その後、春の選抜高校野球の中止を始め国内のスポーツイベントが軒並み中止に。

  • 3/23、東京都の小池都知事は臨時会見の中でロックダウンという言葉を持ち出し、「オーバーシュートが発生しかねない」と警告。
  • 3/24夜、安倍首相とIOCバッハ会長らが電話会談し、「遅くとも2021年夏までに開催する」と1年延期することで合意。 

⇨  オリンピック1年延期を機に大きく政府、東京都の動きが新型コロナウイルス感染症対策へシフトし始めたように見えます。

 

 ・3/25、東京・小池都知事が緊急記者会見、「今の状況は『感染爆発の重要な局面』

  だと強調し、週末の不要不急の外出自粛を都民に要請。併せて「3つの密」を避け 

  るよう呼びかける。

 

⇨ A これ以降、小池都知事が言う「ロックダウン宣言」が注目を集めることになりました。

  • 4/1、安倍首相が布マスクを2枚全戸に配布する方針を明らかに。

⇨ B 私の場合、6/3に手元に届きました。この予算が466億円、1世帯2枚、ラフな計算ですが1枚400円に相当します。この発注先、届いたマスクに不具合が発生、安倍さん肝いりで「アベノマスク」とも言われ、、安倍さんのマイナス評価に直結したのは間違いありません。また今届いたのでは、遅きに失した感が否めません。

 

  • 4/3、世界の感染者が100万人を突破。4月4日には東京都の新規感染者数が100人を超えると4月中旬まで、100~200人の高水準で推移。
  • 4/7(4/6陽性者3569人、死亡73人)ついに政府は緊急事態宣言を発令しました。7都府県(東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、福岡)、期間は4/7~5/6まで。「ロックダウン(都市封鎖)はしない、生活維持のための必要な外出は自粛の対象にならない。人と人との接触を「最低7割、極力8割減らす目標を掲げ、国民に外出の自粛の徹底を呼び掛けた。」

 

⇨ B 緊急事態宣言、やっと発令しました。しかし1週間で陽性者が倍増するペースが続き、遅きに失した感が否めません。そして愛知県、京都府からも緊急事態の対象地域に入れて欲しいと要請も出されました。

 

  • 4/16(4/15陽性者7964人、死亡者119人)全国に「緊急事態宣言」を発令。7都府県に北海道、茨城、石川、岐阜、愛知、京都を加え13都道府県を「特定警戒都道府県」に指定、期限はそのまま5月6日まで。また、首相はゴールデンウィークの移動は最小限にするよう要請。・・・東京都「ステイホーム週間」不要不急の外出をしない、3密を避ける、手洗い、マスクの徹底
  • 5/1、専門家会議開催

「新規感染者は減少傾向」とする一方、新型コロナ対応は「長丁場を覚悟する必要がある」として、人との距離を2m空ける「ソーシャルディスタンス」や手洗いの徹底、「テレワーク」、「オンラインショッピング」の推奨など新しい生活様式を提案。

 

⇨ G このような具体的な提案が大事です。

 

  • 5/4(5/3陽性者14677人、死亡者492人)緊急事態宣言を5/31に延長。

  安倍首相は「5月は終息のための1ヶ月であり、次なるステップに向けた準備期間」 

  とも述べ、宣言の解除を含めた「出口」についても言及。

  そして、5/14をめどに専門家に感染の評価をしてもらい、可能であれば期限前の解

  除もあり得るとした。

   特定警戒13都道府県は引き続き、それ以外の34県は「感染拡大の防止と社会経済 

  活動維持との両立に配慮した取り組みに段階的に移行する」と語り、休業要請を緩

  和するよう促した。また、商店や飲食店の営業、文化施設、小規模イベントについ

  ては感染防止策を講じた上で再開を容認する考えを示した。

  • 小池都知事は休業要請に応じた事業者に対して最大100万円の「協力金」の支給、大阪の吉村知事は休業要請や外出自粛要請の解除基準を示す。
  • 抗ウイルス薬「レムデシビル」を治療薬として特例承認。

 

⇨ G 小池都知事や大阪の吉村知事はスピーディで、わかり易く、都民や府民から一定の評価を受けています。 

  • 5/8、これまでの相談、受信の目安の見直し、「37.5度以上の発熱が4日以上続く」の基準を削除。「息苦しさや強いだるさ、高熱などの強い症状」がある場合にはすぐに「帰 国者・接触者相談センター」などに相談するよう呼びかけた。

⇨ B この基準、目安があるため、PCR検査を受けたくても受けられない、また体の具合がおかしいと病院、帰国者接触者相談センターに相談しても断られるという事例が続いていました。専門家会議も見直しを求めていましたので、ようやく、政府も動いたのでしょう。しかし、加藤厚生労働大臣は「私は基準といった覚えはない」と言い、大きな反発を受けていました。

 

 ・5/14、政府は14日夜の対策本部で「緊急事態宣言39県解除する」と決定した。

  39県を解除する理由した理由として「直近1週間の合計で10万人当たり0.5人以下

  に抑えられている」を挙げている。また、「特定警戒の8都道府県は21日をめどに

  評価する。2度目の緊急事態宣言もあり得る」とした。

 

⇨ A 感染者数も下がってきましたので、これはこれで良いのでしょう。ただ判断基準や実態がよく分からないままの判断に戸惑いの声も聞こえてきます。その後、政府、マスコミ共に第2波、第3波が起きると言い始めました。確かにウイルスですから、今後も可能性が否めませんが、「国民の行動次第だ」と言われているようで、責任逃れのようにも聞こえます。 

  • 5/21 関西3府県 大阪、京都、兵庫を解除、北海道、東京、神奈川、千葉、埼玉は継続。首都圏は専門家の評価を踏まえ、25日にも判断する予定。
  • 5/25 「緊急事態全面解除」

1か月半ぶり、経済再開に軸足

新型コロナウイルス感染拡大防止と社会経済活動の両立を目指す方針も決定

安倍首相「日本ならではのやり方で、わずか1か月半で流行をほぼ終息できた。日本モデルの力を示した」

 

⇨ P 感染防止を主眼に置く専門家会議に対し、経済への影響を懸念する首相が官邸主導で前倒しの解除方針を決めたと新聞報道にありました。専門家会議の出していた解除基準を緩和したとも載っていました。この判断は「経済再開は感染再拡大の懸念と背中合わせ」というリスクを首相及び官邸が負ったということになりますが、難しい判断だと思います。

⇨ B ただ、私は薬やワクチンの開発、PCR検査の拡充、医療体充実、そして支援補償体制の道筋をつけてからの解除であった方が良かったと思います。問題が山積していましたが、感染者が減少したお陰で、医療崩壊一歩手前で助かったという感じです。全ての対策の道筋をつけてからにして欲しかったです。この新型コロナウイルスは長期戦になるのは間違いありません。「仮に第2波が来ても大丈夫、我々の生活も保障されている」という安心感を与えてからの方が国民も納得してくれたと思います。「国民の命も経済も守る」という気概があるのか政府は求められています。

気になるのは経済再開に前のめりになり過ぎていることです。

 《 厚生労働省のホームページ参考 》

《 Yニューズ、新型コロナウイルス「これまで起きたこと」時系列で振り返る参考 》

 

長くなりましたが、初動においてはそれなりに対応していたのですが、徐々に後手に回っていったのがよく分かります。次回は「東日本大震災の時のTDRの対応」について話したいと思います。