新型コロナに見る「危機管理(クライシスマネジメント)」まとめ

 

 

 折に触れ、色々書いているうちにもう1か月半近く経ってしまいました。

わからないことがあるとついつい調べては考える、それを繰り返している間に時間ばかりが過ぎていきます。

そろそろ、あまり面白くないこの話題から抜け出して、ディズニーの話でもして行きたいと思っています。

 

今回の纏めは、今まで新型コロナについて話してきたことのうち、私の言いたかった要点を書き抜き、3つの視点、1、新型コロナウイルスの安倍さんの対応、2、今後の対応、3、危機管理はどうあるべきか、で纏めました。

 

そういえば、危機管理というとリスクマネジメントという人もいますし、クライシスマネジメントという人もいます。これについての説明をしていませんでした。私は今回クライシスマネジメントと言っていますが、念のため・・・

 

  • リスクマネジメント(危機管理) ・・・risk : 「絶壁の間を船で行く」が語源

  危害、損害に対して人がする危険、危険、冒険、賭け、

  危機が発生する前に、それを回避するあるいは危害を最小限に抑えるために様々な   

  対策を講じること

  危害が起きる前に起こらないようにする日常のマネジメント

  • クライシスマネジメント(危機管理)・・・crisis : 「将来を左右する重要な分岐点」

  事態の危機、重大局面、難局、重大な分かれ目、岐路

  危機は必ず発生するものという前提で、起きた時の初期対応、二次被害を起こさな

  いための対応

 

リスクマネジメントは事前策、クライシスマネジメントは事後策と理解できます。ただ、私の経験からクライシスマネジメントという用語は東日本大震災後に一般的に普及してきたように思われ、以前はリスクマネジメントが広く使われ、なじみのある言葉でした。ですからリスクマネジメントは事前事後も含む、危機管理全般を指すと広義に理解している人もいます。私は阪神淡路大震災東日本大震災、今回のような新型コロナのような、未曽有な、甚大な被害をもたらす災害はクライシスというべきだと思います。

また、ここにもあるように、今私達は国の将来を左右するような分かれ道にいます。初めは安倍さんもよくやっていると思っていましたが、この数か月を見ていますと初動対応は失敗したとはっきり言えます。となると次の緊急時の対応を如何にするか、そして危機発生以前の平常に如何に戻すか、今後問われていきます。

 

【 コロナの認識を変えよう 】

 

「今回のコロナウイルス感染症」は「危機的自然災害」と認識することから始まります。

 

今回のこのコロナを私達はどのようにとらえているのでしょうか?

実は雇用や生活の心配がない、また多くの新型コロナに罹らなかった人の中には「特別給付金10万円が入って、得した、何に使おうか」「治まったら、早く遊びたい」と危機感の無い人が多く存在します。

 

感染症の歴史を見ますと、古くはペスト、近代ではスペイン風邪、これによって多くの命が失われ、また国が亡びる原因になったとも言われています。私が見聞きし、感じる限りでは、多くの人にこの意識がありません。21世期に入るとサーズ(SARS)2003年、やマーズ(MERS)2012年、あれもコロナウイルスです。共通するのが「呼吸器症候群」、私にはコロナウイルスのことはよくわかりませんが、この20年の間に3回も形を変え人間を襲ってきているのです。「阪神淡路大震災」「東日本大震災」のような目に見える災害と違い、ウイルスは目に見えません。しかし、ジワジワと経済活動に影響し、違う意味で生活を脅かし、精神的にも肉体的にも被害を与えていきます。その被災状況は世界で2年間、1300兆円??ともいわれ、私たちには被害の大きさが想像すらできません。(日本の国家予算一般会計102兆円)

まず、私達は「未曾有の自然災害」と誰もが認識し、東日本大震災以上のクライシス(危機)と捉え、次に向けての体制を築く必要があると私は思っています。

 

【 今回の安倍さんの対応 】

 

第1回目のブログで安倍さんのこの4か月の対応を見てきました。当初は必要な方針は打ち出し、対策を講じていて、そんな大きな問題もなく対応しているように見えました。また、この7年間の安倍さんを見ていると、危機管理に関してはとても関心があるように見えましたし、特に安全保障に関しては私とは意見が違いますが彼なりに手を打っていたと思います。それが徐々に後手に回っていったのは何故だったのでしょう。

ブログを書き始めた時は、政府の危機管理体制がなっていないのではないかと思いましたが、調べてみますと災害時を考えた詳細な組織や体制がありました。さすが日本の官僚、やるべきことはやっていると嬉しくなりました。

それなのに何故・・・

特に3月以降のバタバタ感、場当たり的人気取り感を見ていて「扱う人の問題」だと思いました。

安倍さんを始め、菅さん、加藤さん、西村さん、皆さんの「本気度が見えない」のです。「本気度」とは「国民の命と財産を守り、この危機を乗り越える」という使命感、気概です。

例えば、

  1. 加藤さんの出した方針を一日で転換、おまけに3/2より、小、中、高を春休み迄一斉休校
  2. 緊急事態宣言の遅れ
  3. PCR検査20,000件一向に進まず未達、
  4. 病床数50,000床も同様
  5. 閣議決定した特定世帯30万円給付を一律10万円に変更 等

挙げれば、切りがないほど場当たり的、人気取り的なことが出てきます。おまけに必ず、「スピード感を持って対応します」というのですが、アベノマスクは6月になって届いたという人が多く、また、10万円給付金も申請を出したけどまだ届かないという人が多くみられます。

他のお三方とは違い、安倍さんは総理大臣、国のリーダーです。平時のリーダーなら、安倍さんはお友達、部下、取り巻きの面倒見も良く人間味のある「お坊ちゃん的性格」で愛されもするのでしょうが、このような緊急時、様々な問題が起きた時に彼をかばい、彼のために動く人は忖度人間だけになってしまいます。仮に周りの大臣や補佐官が動いても、冷静な部下たちは動くとは思えません。でも安倍さんは自分が一言いえば周りは動くだろう、今までもそうだし、私の言うことは絶対だ、仮に何か問題が起きてもフォローしてくれるだろうと周囲に甘えて自らが陣頭指揮をするという意識が欠如していたのではないかと思います。

逆にこの緊急時、非常時は全国民が自分を守ってくれるリーダーとしての安倍さんの一挙一動を見ているのです。

それなのに、4月に入ってからは「専門家の意見を聞いて」「党の意見を聞いて」と責任を回避するような言い方になり、役人が書いた原稿をただ棒読みするようになってきました。「自分の言葉で発する」というのは危機管理のリーダーの定石です。

この一連の対応を見ていて、今まで独断的、強権的であっても安倍さんなら野党よりましだ、外交で成果を上げいるじゃないか、と思っていた方々も、「もういい加減にしてよ」「安倍さん大丈夫か」と思い始めたのではないでしょうか。国家の危機には本来、リーダーへの求心力や期待値が高まるはずですし、安倍さんには強いリーダーシップを期待していた方も多かったと思いますが、残念な結果となってしまいました。

これは私が記者会見の時に感じたことですが、

  1. 棒読みで自分の言葉で話していない
  2. 総論では良いことを言っているが、細かいことは部下任せ
  3. 各省庁と地方自治体との連携が上手く行っていない

このような緊急事態宣言時、小池さん、吉村さん、鈴木さんはご自分の言葉でお話をされ、それも細かいことにまで対応されている感じが伝わってきましたが、安倍さんは良いこと言っているのですが胸に響いてこないのです。肝心なことは西村経済再生担当大臣、加藤厚生労働大臣、お金のことになると他のお役人が出て、それも言い訳がましいことばかりで、この危機を乗り越えられるのだろうかと心配になります。

以前は「私が総理大臣だ。だから責任をもって・・・」と、私が何でも決める」かのような態度でしたが、最近は自ら決めずに「党、専門家会議の意見を聞いてから」と、いざとなったら責任転嫁し始めたように見えました。ですから徐々に、国民から、誠意がない、真剣じゃない、そして言ったことが実行されない、そんな風にとられていったのではないかと思います。

 非常時・緊急時のリーダーの要諦

  1. 隠さない・・・真実を話す
  2. 陣頭指揮・・・自分の言葉で話す
  3. スピード感・・・即断、即行
  4. 人望・・・普段の信頼

 これらは日常から「組織に危機管理の意識があり、危機が起きた時の体制がある」ことが前提になります。

このコロナ騒ぎが始まった時の、国会を見ていますと、通常国会は疑惑に始まり、疑惑に終わった感じがします。

1月、桜を見る会の疑惑が始まったと思ったら、

2月には黒川検事長の定年延長問題、検察庁法改正問題、

3月には森友問題赤木さんの手記公表、国を提訴、

4~5月はコロナによる国民の不安・不満爆発、

5~6月はコロナを巡る経済対策が進まず次々と問題化、

法務大臣公職選挙法違反」という前代未聞の事件まで発生します。第2次補正予算は通ったものの「持続化給付金事業の民間丸投げ問題、GoToキャンペーンの不透明さ、予備費10兆円問題と問題山積のままの閉会です。この通常国会での安倍さんのヤジ、質問にはまともに答えない安倍さんの姿は国会軽視、無視の何物でもないという感じでした。これらを見ていますと、責任を取る、責任があると言いながら、責任を果たしてこなかった、もしくは各問題をうやむやにしてきたことが、積み重なって信頼感を失い、支持率も急落して行ったと言えると思います。厳しい見方をすると、この4つ全てをないがしろにしてきた付が回ってきた、とも見えなくありません。

このように見ていくと、長期政権の間に、驕りが出て、安倍さんは裸の王様になっていたのかもしれません。それではこのような未曾有の危機対応はできません。1~4の全てに疑問符が付く状態だったのです

 

【 政府の今後の対応 】

今回の新型コロナウイルスの問題は根本的な解決策が見つからないまま、マスクをしろ、手洗いをしろ、消毒をしろ、3密防止、それで私たちの経済が、生活が、本当に元に戻るのでしょうか?私には不安を抱えたままの今の状態で、経済が回復するとは到底思えないのです。

このまま行ったら、企業は将来ビジョンを描けず、国民も将来の生活設計が描けません。成り行きに任せ、取り敢えず目の前の危機が去ればと思っていたら、いつの間にか国も生活レベルも沈みかけていた、いや、沈んでしまったなんてことになりかねません

安全が確保できて、初めて安心感を生み、人が動き、経済活動が回っていくと思うのです。それには検査体制の充実、医療体制の充実そして新型コロナに効く薬やワクチンの開発を急ぐ必要があります。また、生活の安全、安心のための支援、や企業への支援も同時に進めなくてはなりません。

 

緊急事態宣言が解除され東京アラートも解除され、1ヶ月が経とうとしていますが、何も進んでいません。相変わらずのスピード感の無さ、日本の行く末が心配です。

今政府に求めたいのは数年先を見据えた「優先順位を考えた具体的な目標の設定」と「強力なリーダーシップ」です。また、私たち国民も国が掲げた目標達成に向けて協力し合い、行動しなければなりません。政府は以前のような「安心して働ける環境に戻す具体的なビジョン(近い将来のあるべき姿)、ビジョン達成のための方針・目標」を示すべきなのです。今回上がった数々の問題点をまず解決し、最終的には新型コロナウイルスに効く特効薬・ワクチンが開発され、世界中に供給されることです。目標には年内で達成すべき短期的な目標(緊急対応)と年度を跨ぐ長期的目標(定常対応)がありますが、各省庁の衆智を集めてこれらを整理し、プライオリティをつけるのです。嬉しいことに民間企業の中から、京大に「がん・ウイルス研究」のために100億円寄付という記事が載っていましたが、国がもっと真剣に考えることだと思います。

今なすべきこと(緊急対応)

1、感染拡大終息に向けて、防止策を打つこと

 ・・・薬、ワクチンの開発、検査体制の充実、医療体制の充実、

2、国民生活を守ること

 ・・・持続化給付金、雇用調整助成金特別給付金の充実、雇用の安定、

3、中小企業を守り、経済の軌道を回復すること

                               につきます。

 

マスクが届かない、給付金の申請すらできない、という状況が作り出されているのに、政府が手を打てていないのは、緊急時の密なる体制が未だに出来ていないからだと思います。至急対応するといっても、「どうせ口先だけだ」「いざという時の政府は役に立たない」とあきらめに似た気持ちを国民の多くが持ってしまっています。緊急事態宣言が解除された今、次なる緊急時に備え、省庁の縦割りの弊害を無くし、また省庁と各都道府県、各都道府県と各市町村の密なる体制が築く必要がありますこの巨大なお役所の体制を円滑に進めるには「オンライン化」は早急にすべきであって、これなくして業務のスピード化は図れません。国家公務員64万人、地方公務員286万人、合わせて350万人(10年前の古い資料で申し訳ありません)、これだけの巨大組織を動かすには事務の簡素化、合理化は避けて取れません。緊急時には1億2千6百万人が一つの方針に従い、一つの方向に向かい協力し合い、助け合わなければなりません。それも瞬時に行動することが求められます。

 

安倍さんは常々「政治は結果が全て」と言ってきました。

政権は「国民の命と財産を守る」のが仕事です。それが今こそ問われているのです。

 

【 新型コロナに見る危機管理・・・私からの提案(定常対応) 】 

まず、政府の危機管理体制再構築の私からの提案は3つです。

  1、政府の対策本部、専門家会議

対策本部の中に「諮問委員会」と医学的見地から助言を行う「専門家会議」が置かれていますが、同じような組織が2つ入りませんので、専門家会議だけにします。

 専門家会議の提言を基に対策本部には各大臣がいますので、其々の立場から外交的、社会的、経済学的、学術的な立場からリスク、意見を出し合い、国としての方針、対策を打ち出していく。現状を見ていると、専門家会議に引きずられ、対策本部が機能していない、また諮問委員会が機能していないように見えます。

対策本部のメンバー構成は総理大臣他各省庁の大臣となっており、仮に必要であれば、各大臣が各省庁に関係している専門家の声を聞けば良いのです。

2、危機管理部署を設置し、省庁に格上げする。

日本は災害列島と言われるくらい災害が多い国、平時より対策を考え、各市町村に至る迄の緊急時の対策を考えておく。日本版FEMAアメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁)のような、緊急時の権限を持ち、各省庁から人材を送り込み、各省庁との横断的なパイプを作り、縦割り組織の弊害を改めた組織を作る。各省庁、都道府県、市町村に至る迄「危機管理部署」の設置し、統轄する。

  1. 危機管理意識醸成のための教育と訓練を平時より実施。

   危機管理意識の醸成と能力の強化、専門家の育成。

1については6月25日の報道で「専門家会議」を廃止するという見出しがありました。廃止理由は「位置づけが不安定だった、あたかも専門家会議が政策を決定しているかのような印象を与えた」とありましたが、そうしたのは対策本部のメンバーが安倍さんの下で機能していなかったからだと思います。安倍さん自身がわからないことは専門家会議に・・・と言っていたのを記憶していますし、専門家会議の提案に疑義があれば、リスクコミュニケーションの立場から各省庁にいる別の専門家の意見を取り入れた政策決定を対策会議ですればいいわけで、専門家会議はあくまで提言です。医学的な見地からの提言は大事なことだと思います。今回の問題は「未曾有の事態を目の前にし、専門家が果たす役割が政府に助言するだけでなく、感染予防や感染拡大防止に資する対応策も提供することになってしまったから」であって、そこは元に戻せば良いのです。今後の政府の専門家助言組織について「様々な領域の知を結集した組織とする必要がある」とありましたが、そこは各省庁に専門家がいるのだからそこを機能させ、意見を吸い上げるのは各大臣の役割です。対策本部がきちんと役割をはたしていれば問題ないと思います。

2について、平成27年に「政府の危機管理組織の在り方に係る関係副大臣会合」があったようです。その提言に「現段階では、政府の統一的な危機管理対応官庁の創設等、中央省庁レベルでの抜本的な組織体制の見直しを行うべき積極的な必要性は直ちに見出しがたい。」とありました。既に私が言っているようなことも過去に検討されていたのです。何故、それが「組織の見直しは必要ないという結論になってしまったのか」分かりません。今回の対応を見ていると、場当たり的で、近視眼的で、何も考えていないのでは?と疑問を持ちましたが、そうではないのです。調べてみると考えてはいるので、残念でなりません。

危機管理体制は「不断の見直しと改善が不可欠」です。そして時代にあったより良い危機管理体制の構築を目指していく必要があります。であれば関係副大臣の会合での提言にあった「今は必要ない」ではなくて、平時から危機管理を考える総合的な「危機管理官庁」が必要になるのです。

3について、意外と大事なのが、各省庁、都道府県、市町村における平時の「危機管理意識の醸成」です。これが無いから、もしくは足りないから、いざという時に組織や仕組みを生かせず、後手に回ってしまうのだと思います。

ディズニーでも力を入れているように「安全は全てに優先される」、日常の意識づけ、行動が大事だと思います。

 

第2次補正予算を見ますと、私がここで取り上げてきたものも、盛り込まれており、項目としては納得できるものになっています。一部、力の入れ方の違いはありますが、後はスピード感を持って実行することにつきます。東日本大震災の時も初めの3ヶ月は色々動いていたのですが、その後4ヶ月目以降失速し始めました。今までの安倍さんを見ていると、また国会が閉会したと聞くと、口先だけの安倍さん になるのか心配です。他人任せにするのではなく、ご本人が本気になって陣頭指揮を執って欲しいと思います。

政府の発表にあるように、「社会・経済活動を段階的に引き上げてコロナ時代の新たな日常を創り上げる」との方針は当然のことです。新型コロナの第2は第3波のためだけでなく、このような新たなウイルスがまた発生する可能性が十分にありますので、政府の危機管理体制の構築を急がなければなりません。ただ、勘違いして欲しくないのは「3密を避ける、マスクをつける、手の消毒をする」ことが常態化するのではなく、いずれは特効薬・ワクチンの開発をし、自由な生活に戻すことが前提です。そうでなければ、企業・生活が委縮し、経済も上向くことができません。

政府が緊急事態宣言を出す際の根拠になった新型コロナウイルス対応の「特別措置法」についてある新聞がアンケートしたところ、7割の知事が「改正が必要」と答えたとありました。また改正内容として最も多かったのは「休業要請・指示に対する補償規定」とありましたが、私は当たり前だと思います。当初、全くその話がありませんでした。外出の自粛や休業要請をしておいて「補償が無い」のは片手落ちで、休めは売上が無くなるということ、結果として生活ができなくなるということ、これを強制するなら当然補償が無くてはならないのに、ここが曖昧でした。東京都のようにお金があるところは次々と独自の手が打て、他の県はなかなか都のような手が打てず差がつくのはおかしいのです。私がブログで色々書き始めたきっかけは。これを言いたかったからです。

そして、もう一つ私が改正して欲しいことがあります。

特措法は首相が緊急事態宣言を出すと外出の自粛や店舗、施設の休業要請・指示など国民の私権の制限も可能になるのですが、「宣言の対象区域の指定は首相の権限」である一方、「具体的な措置は都道府県の知事が定める」となっています。それでいて「休業要請は国との協議」とあり、曖昧です。知事が出す休業要請・指示に従わなくても罰則はなく、休業に伴う補償の規定は定められていないのです。

私は「宣言の対象区域の指定は首相の権限」も、「具体的な措置」も首相の権限で定めるべきだと思います。このような緊急時、非常時に都道府県がバラバラに動くのではなく一斉に動かなければなりません。国は?都は?大阪は?他の県は?と休業補償も対応も市町村で違い(東京都と神奈川県が隣り合わせになっている地域で片方は解除、片方はまだアラートが続いている)混乱していました。大きいところは国が決め、都道府県で微調整するイメージです。

 

【 私が考える危機管理のポイント 】

 

最後に「最悪を考えない危機管理には限界がある」と私は考えています。

 

オリエンタルランドでも地震対策マニュアルを作成した時も「震度6強、関東直下型時地震、パークには11万人のゲスト、キャストが1万人、死者も出た時、ゲストをパーク内に泊めた時・・・」と色々なシミュレーションをし、その場合はどうしたら良いか考え作成しています。(ただ、東日本大震災はシミュレーションの枠を超え最大震度7を観測しています。)20年以上前の話ですがその時に「トリアージ」という言葉を知りました。

 

また、「国民・被災者(感染者)の心理的不安に寄り添う」ことです。生活できるのか、仕事ができるのか、将来どうなるのかという不安です。その不安解消無くして経済再建、再開はありえません。

 

今回、ダイヤモンドプリンセス号の対応までの対策は、意見の違いがあるものの、大きな問題は無かったと思います。問題は新型コロナウイルスが世界的なパンデミックと言われ始め、日本でもじわじわと増え始めた時に初期対応ができなかった、遅ればせながらの対応も拙かったことです。クライシスマネジメントの重要性を理解していない人ばかりがそこにいたということです。このような非常、緊急事態を上手く切り抜けられるかは「初期対応」で決まります。初期対応が上手く行くか行かないかは「日常の危機管理教育訓練による意識づけ」と「危機管理体制」が瞬時に築けるかです。

 

今回のコロナウイルスには当てはまりませんが「災害現場の近くに対策本部を設置する」ことです。「全ての答えは現場にあります」ので瞬時に方針、対策を打ち出したら、即実行です。緊急時は初めてのことが多いので違ったらすぐに修正しなければなりません。その為にも現場近くに対策本部を設置する必要があるのです。

 

「広報活動」も重要です。国民は「正しい情報」、それに基づく「適切な対応」を求めます。東日本大震災の時も今回も正確な情報がわかりませんでした。また、このような時は色々な情報が錯綜しますので、国民の混乱、不安の増長を防ぐためにも情報の一本化を図る必要があります。

 

令和2年6月27日