吉野家の「うまい、安い、早い」と私の好きなディズニーの哲学

innsyokugyou

  今日、やっと梅雨明け宣言!!

例年に比べ、11日も遅い梅雨明けになりました。

このコロナ禍で不要不急の外出を抑えている私にさらに追い打ちをかけた長梅雨は気分もどんよりとして、湿ってくる感じがするのです。

 

 こんな時、小気味好く読めたのが、数年前の日経の「私の履歴書吉野家の安部修仁元社長」の連載です。安部さんは私とほぼ変わらない年代で、なおかつ同じころにジャンルは違うものの外食で苦労をされ、読んでいてそうそう、これだ、これと頷きながら一気に読んでしまいました。 

履歴書の詳細はさておき、その中に外食産業では不滅のスローガン「早い、うまい、安い」という言葉が出てきます。この言葉は誰が作ったのでしょうか?私の中では吉野家の2代目社長、松田瑞穂さんだと思っていますが、どうやらそのようです。

この言葉はクィックサービスレストラン=(ファーストフード)の本髄であり、外食事業の商品の本質をとらえている名言です。

 

外食事業の商品は一般的に

 

価格(心の財布)= 料理・飲物 + 接客 + 店舗(雰囲気)

 

と表されます。

 

 この中の「料理・飲食」が美味しくて安全なのは当たり前のこと、それを半世紀以上も前に「うまい」の一言で表し、接客ではファーストフードに欠かせない効率性を「早い」で表し、店舗づくりはさておきながら、うまくて早いこの商品を「安い」価格で提供するとわかり易くお客様にアピールしています。そして、店舗展開を始めた松田さん、私は当時、同じ外食でも畑違いにいましたが、和製チェーンでありながら、本質を見極める松田瑞穂さんという方はすごい方だと思っていました。

ファーストフード業界で長らく君臨してきた「マクドナルド」の銀座進出は確か1971年、それより前に、チェーン展開を始めたのです。色々な意味で日本の外食に影響を与えたマクドナルドにも「QSC+V」というこれもわかり易い言葉がありますが、業界人にはわかりますが、説明を要します。

この吉野家のスローガンも時代の要請によって「うまい、早い、安い、」となり、現在の「うまい、安い、早い」になってきました。吉野家のモットーを表現するのにお客様にとってだけでなく従業員にとってもこれほどわかり易い言葉はないと思います。

 

 そういえば、私がお世話になったディズニーの世界でも、私に大きな影響を与え、大好きな言葉があります。それは「パークは永遠に未完成」という言葉、ディズニーのフィロソフィです。この言葉はどの企業にも、個人にも当て嵌まり、やはり名言だと思います。

 

“ パークはまるで生き物のようである。

木々も成長を続けていくように、全てが歳を重ね美しさを増している。

常に創意工夫を続け、新しいものを付け加えることによって、パークを永遠に成長させ続けることができる。“

私は、オリエンタルランドのプロジェクトマネージャー時代、この言葉の持つ意味を噛みしめながら仕事をしていました。今も新たなことにいつもチャレンジしたいと思うのは「自分は永遠に未完成」だというこの言葉があるからです。

 

 私の狭い経験の中でも随分前ですが、ある言葉が口をついて出てきました。

シズラーという当時全米で500店舗ほどあった「ファミリーステーキハウス」を日本で展開するためにできたシズラー・ジャパンという会社にいた時、31才頃の話です。

その基盤づくりにアメリカへ研修に行かせてもらったのですが、毎週末、どれだけ覚えたか、勉強したかテストがあるのです。それも私の嫌いな英語で書かなければならないテストです。さらにそのテストの出来不出来はそのまま会社に送られるので、テストが近づいてくると憂鬱になっていました。

私はそれまであまり、勉強という勉強をしないで生きてきたこともあり、時間を有意義に使いこなすということを考えずにいました。ですが、そんな事言っていられません。朝から晩までのシフト勤務に加え、初めてのアメリカなので遊びたい、だけど勉強する時間も作らなければなりません。しなければ悪い成績を日本に送られるプレッシャーとの戦い、結局寝る時間を割いての勉強の日々が続き、自分の人生の中でも集中的に一番勉強したのかもしれません。

否が応でも「よく仕事をし、よく遊び、よく勉強する」というのが身についた3ヶ月になりました。そんなに生まれたのが           

 

“ Good Job ! Good Play ! Good Study ! “

 

文法的には滅茶苦茶かもしれませんが、これが私の座右の銘です。

 

日本の故事、ことわざ、中国の古書の中に今でも面々と生きている言葉が数多くありますが、その時代時代に人が生きている実感の中、本音で生み出された言葉こそ、いつの世も共感され、必要とされていくのだとつくづく思うのです。(私の拙い座右の銘を除いて・・・^^)

 

令和2年8月1日