開業時、驚いたのが運営部の「スピール・ナレーション」だけで専門の講師がいたのです。その方はNHKのアナウンサーをされ、退職なさった方で話すことのプロフェッショナルでした。確かOさんという方だったと思います。
Oさんは「人前で上がるのを直す処方箋は練習に練習を重ねるしかない」と仰っていました。まだ、若かった私はにはとても参考になりました。運営部のキャストに対して「幸せ売りの皆さん」と言って、おもてなしをするプロには失敗は許されませんとも言っていました。「スピール(speil)」はキャストがゲストに対して安全やショーの内容について事前にアナウンスすることです。また、「ナレーション(narration)]」は上演前、上演中語り、解説です。運営部のキャストからこのクラスに参加しないかと誘われたことがあるのですが、心から素直に自然なおしゃべりができるようになるには、恥ずかしさを捨てて床を転げまわる、大声を上げたり突拍子もない基礎訓練をしなければならないといわれ、怖気づいてしまいました。
また最も大事なことは「自分が楽しくなければ、ゲストを楽しませることができない」と仰っていたことです。笑顔で話しかければ言葉も柔らかくなり、悪い印象を与えることはない、まさにその通りだと思います。多分、Oさんの、あのようなクラスがあったことが、今も綿々と受け継がれ、TDR全体のコーテシーに役立っているのだと思います。