新型コロナウイルス感染症対応に見る「政府の危機管理(CRISIS MANAGEMENT)」

新型コロナウイルス対応と東日本大震災の対応比較

 

 私がこの長―い文章を書き始めたきっかけは

政府に危機管理の意識があるのか」という素朴な疑問 からです。

 ブログの初稿に政府のこの4か月の対応を載せ、次にTDR東日本大震災の時の対応を載せたのも、政府の対応が場当たり的な感じがして、戦後最大の危機に対して我が国がこれからどう進んでいくのか、政府に国を、国民を守る意思があるのか見えてこない不安を感じたのです。

緊急事態宣言が解除されましたが、これからが勝負です。

今なすべきことは

1、感染拡大終息に向けて、防止策を打つこと

 ・・・薬、ワクチンの開発、検査体制の充実、医療体制の充実、

2、国民生活を守ること

 ・・・持続化給付金、雇用調整助成金特別給付金の充実、雇用の安定、

3、中小企業を守り、経済の軌道を回復すること

                               につきます。

このことはあちらこちらの新聞でも見かけますが、具体的に何も進んでいません。

スピード感が無いと思うのは私だけでしょうか。

 

「この新型コロナとは長い戦いになる、新生活様式を取り入れて」と言いますが、その先はどうなるのでしょうか。「3密を避ける」「ソーシャルディスタンス」「手洗い・マスクの徹底」これらを徹底していて、生活が元に戻るのでしょうか。経済が元に戻るのでしょうか。

不安を抱えたままの今の状態で、経済が回復するとは到底思えないのです。

企業は将来ビジョンを描けず、国民も将来の生活設計が描けない、成り行きに任せ、取り敢えず目の前の危機が去ればと思っていたら、いつの間にか国も生活レベルも沈みかけていた、いや、沈んでしまったなんてことになりかねません

 

今政府に求めたいのは数年先を見据えた「優先順位を考えた具体的な目標の設定」と「強力なリーダーシップ」です。また、私たち国民も国が掲げた目標達成に向けて協力し合い、行動することです。

 

結論めいたことを書きましたが、

危機管理という側面から東日本大震災の時の菅さん(当時民主党、首相)の対応と今回の安倍さんの対応を比較してみたいと思います。

 

1、東日本大震災の時の政府対応

 

 東日本大震災はM9、最大震度7を観測したともいわれ、あの時点では世界第4位の規模でした。当時は民主党政権下、菅首相が対策本部長になり必死に動いている感じがしました。しかし、当時の対策本部(?)は3者体制で動いていて、記者会見しても、何が真実なのか、現状どの様な状況なのか、よくわかりません。本来は内閣がリーダーシップを発揮しなければ、この国難、最大の危機を乗りこけることができないのに3者のバラバラ感は私たち国民に伝わってきました。

 内閣府は「国民に不安を抱かせないように安全を強調」、東電は以前から拙いことは隠そうという隠ぺい体質(関係者の方には申し訳ありません。あの時、必死に福島の現場で戦っている方々がいらっしゃいましたが、過去における幾つかの事故の隠ぺいを見聞きしてそう思ってしまいました。勿論今は違うと思います)、原子力安全保安院(当時)はやはり日本の原子力は安全だという立場にいて、目の前に起きている不都合な事実を知らせたくない、責任を取りたくないという心理が働いたのではないかと思います。おまけに当時の民主党は無駄遣いを一掃すると「予算のぶった切り」をしましたから、各省庁との関係が悪化していましたので、それだけではなく、民主党は、脱官僚政治を唱えていて、お役人に使われる政治家でなく、政治家がお役人を使えるようになりたい、という意識が強くて反感を買っていましたので、緊急時にお役人が動いてくれません。対策本部長の菅さんは対策本部に詰め、現地に行ったり、動いてはいるのですが、リーダーシップが取れず、福島第1原発事故の初期対応の拙さ、情報開示の遅れ、と初動体制が思うようにいかなかったのだと思います。チェルノブイリが世界への情報開示が遅く非難を浴びましたが、日本の対応も過去の教訓に学べていなかったと思います。

 

 危機管理下の情報開示は「正確に、早く」が大事だと言われますが、当時「これは正しい情報なのか」「情報を隠しているのでは」「説明不足」と疑問を抱かせる結果になってしまいました。

 

当時の政府の対策として、

  1. 避難地域の設定・避難所の設置・仮設住宅の建設
  2. 計画停電の設定・準備
  3. 復興構想会議の設置
  4. 補助金の支給・農業被害の補償・雇用調整助成金
  5. 原子炉格納容器冷却(炉心溶融

                         が挙げられていました。

 

 この(1)~(5)の対策については、痛手を被った農業・漁業他の補助金や補償金は遅い感じがしましたが、実行できていると思います。ただ、炉心溶融だけは今も解決がつけられず、時間を要しています。いずれにしろ、民主党、菅さんの支持率は震災が起きて、初めの3ヶ月はまだ低いながらも維持できていましたが、4ヶ月過ぎると10%台に大幅に落ちていくことになります。この支持率低下の理由は2つ挙げられます。

一番の理由は「スピード感に欠けていた」の一言です。菅さんは一生懸命動いている感じがするのですが、言っていることが実態に結び付かないのです。補助金、補償金、助成金ついては震災の半年後、に動き始めます。あと一つは「真実を知りたい国民に真実を伝えられているか」「内閣が国民のために動こうとしているのか、」を国民が注視しているのに、「国民から信頼されていない」この2つです。

 

2、新型コロナウイルスの安倍さんの対応、

 

詳細は初稿に乗せた通りですので省きますが、私は初動体制においては比較的早かったと思います。1/28には指定感染症に指定、武漢邦人救出のためのチャーター機も用意しています。1/30にはWHOが新型コロナ感染症について「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言するや否や、政府は「感染症対策本部」設置しています。中には初動も遅れている、12月の武漢での騒ぎを知っているのだから、もっと早くできたはずという方もいますが、定石は打っているのです。

それが何故、全てが後手に回っていったのでしょうか。原因は二つ考えられます。

一つは「いかにオリンピックを開催させるか」が念頭にあり、WHOのいう新型コロナのパンデミックを真剣にとらえていなかったことが挙げられます。

もう一つは「中国の最高指導者、習近平国家主席の来日」という国家行事があり、この二つを成し遂げたいという思いが強かったのでしょう。

そちらに気持ちが集中していたため、この新型コロナの感染力を見くびり、こちらは副対策本部長の加藤さん、西村さんに任せておけば大丈夫だと思っていたのかもしれません。ここまで世界を揺るがす大災害になるとは思っていなかったのだと思います。

 

緊急事態宣言発令のタイミングはいつ頃良かったのでしょうか。

発令が遅すぎたという意見もありますが、結果論的な私の意見です。

 

  1. 最善策・・・1月30日、「対策本部」を立ち上げた時
  2. 次善策・・・2月26日、「3/2からの全国の小、中、高校スペインを春休み迄臨時休校する」と突然の要請があった時
  3. 遅くとも・・・3月14日、特措法が成立したのが13日、施行が14日

 

(1)(2)については、スピード感を重視したら、当然出てくるタイミングですが、緊急事態宣言をするにしても法改正が必要だということを知らない私の素人的考えですので、やはり現実的には(3)が妥当な線だということになります。

安倍さんには当時、新型コロナウイルス感染症についての様々な情報が入っていたはずです。このままでは拙いことになるという漠とした不安感を抱えていたのではないか推測できます。だからこそ、2/25にはクラスター対策班を立ち上げ、この感染症を水際で防止しようとしたり、2/26のような何の前触れもないまま突然「3/2から全国の小、中学校を春休み迄臨時休校する」と言ってみたり、3/5には、中国の習近平国主席の来日が中止になった日の夕方には「中国、韓国からの入国強化」を発表しました。そして3/10には「特措法改正案」を提出、いつでも緊急事態宣言を出せるようにしたのだと思います。なにもしていない訳ではなく、手を打ってはいるのです。ただ、あのころ、記者会見も新型コロナウイルスのことより、東京オリンピック開催のことに時間が割かれていたように見受けられます。世界的に見ても、3月上旬にはスペイン、フランス、イギリス、アメリカ・・・地球規模に拡大しさらに増えるであろうとWHOが警告を出していますし、中旬には欧州がパンデミックと日本でも報道されているのにタイミングが悪すぎです。

 

私は遅くとも、改正特措法の施行日の3月14日に緊急事態宣言を出せていたら、安倍さんの評価も変わったと思います。またこのウイルスの2週間の潜伏期間を考えますと、4月以降の状況も大きく変わっていたのだと思います。

 

 その点スピード感あったのは小池さんです。彼女もオリンピック東京開催の当事者ですが、3/24、安倍さんとIOCのバッハ会長が電話会談で「東京五輪を2021年夏まで延期する」と決定した翌日には、緊急記者会見で「今の状況は感染爆発の重要局面だと強調、週末の外出自粛要請、3密を避けるよう」都民に要請しています。小池さんは2月末から積極的に記者会見を行い都の対応を逐次報告をしています。また、今回は北海道の鈴木知事、大阪府の吉村知事の対応が目を引きました。お二人の真摯な対応の姿に安心感を持たれた方も多かったはずです。私はお二人に非常時のトップのあり方見せていただいた感じがします。

 

こうしてみますと安倍さんは必要な方針は打ち出し、対策はやってきていると見て取れます。それなのに何故支持率低下に繋がっていったのでしょうか。

 

これは私が記者会見の時に感じたことですが、

 

  1. 棒読みで自分の言葉で話していない
  2. 総論では良いことを言っているが、細かいことは部下任せ
  3. 各省庁と地方自治体との連携が上手く行っていない

 

このような緊急事態宣言時、小池さん、吉村さん、鈴木さんはご自分の言葉でお話をされ、それも細かいことにまで対応されている感じが伝わってきましたが、安倍さんは良いこと言っているのですが胸に響いてこないのです。肝心なことは西村経済再生担当大臣、加藤厚生労働大臣、お金のことになると他のお役人が出て、それも言い訳がましいことばかりで、この危機を乗り越えられるのだろうかと心配になります。

 安倍さんの政治は具体性が無く「スローガン」「空虚な理想」といった人がいましたが、私は一国の宰相はそれでも良いと思います。ただ。それを具体的に現わせる側近がどれだけいるのか、また作り上げるシステムや組織を持っているのかです。

「アベノマスク」もアイデアは良いのですが、細かい詰めがされていませんので不祥事続き、解除後に届く有様(私の場合?)で税金の無駄、10万円の特別定額給付金はオンライン申請でスピード感をもってすぐにでも届けるといいながら、オンライン申請を取りやめた郵送に切り替えた自治体が5割、申請はすぐにしたが未だに振り込みが無い(6/4時点で28%の給付率)、雇用調整助成金は手続きが煩雑で申請を断念する中小、零細企業も、と執行にスピード感を欠いた例が私の周りでは枚挙にいとまがありません。これらを見ていると安倍さんは自分の側近である各省庁の大臣に指示をすれば全てが上手く動くと思っているようですが、各省庁からの指示は出ても具体案は現場(各自治体)任せとなり、自治体は財源による体力の違い、よく言われる縦割り組織、長い間の慣習の違いから、どうしたら良いのか戸惑いながら作業をしているように見受けられます。私が普段関わる市役所や支庁では間違いを出してはいけないという意識からか、かなり慎重に作業をしている感じがしますので、税金であるお金を扱う部署では国がスピーディに給付しろ、助成しろと言っても慎重にならざるを得ないのはわかります。やはり国がきちんとしたガイドラインを示してあげることが大事だと思います。今回の一連の流れを見ていて、各省庁と各地方自治体のコミュニケーションが全く取れていないのがよくわかりました。もしかしたら安倍さんは裸の王様になっているのかもしれません。

 

【 東日本大震災の時の菅さんと新型コロナウイルス感染症対策の安倍さんの比較 】

政府に対する評価で面白いものがあります。支持率はどこの会社が調査したかで若干の違いが出てきますし、単純比較はできませんが、ある傾向としてみてください。

 

まず、東日本大震災の時の民主党菅首相に対する評価ですが、

支援に対する取り組みは「評価する、ある程度評価するが50%、あまり評価しない、全く評価しないが44%と別れていますが、政府の発表を「信用している26%、信用していない64%」という結果が出ています。ただ、内閣支持率は20%台、2011年7,8月を見ますと10%台に落ち込んでいます。当時、民主党自体の魅力が失われ、支持者が急減していた時でした。そのような中、取り敢えず取り組み姿勢は良いと評価され(?)、支持率が20%を維持していたものの、3ヶ月もして具体的な政策が中々進まなかったため、最悪の10%台に落ち込んでいます。完全に民意が離れていったのだと思います。実際に補償が始まったのは9月を過ぎてからだったように思います。

 

それでは新型コロナ対策の自民党安倍首相の対応はどうでしょう。

新型コロナ対策を評価する31%、評価しない57%、(この評価の多くは一向に届かない支援策、現金を挙げています。)、安倍内閣指導力を発揮していると答えた人30%、発揮していない57%、ほぼ同じ割合です。内閣の支持率で見ますと、支持率は33%、不支持は47%つい最近までは41%維持していたのですが、検察庁法改正案のこともあり、大きく落ちています。そして、ついに5月24日の報道では支持29%、不支持52%と危険水域に入ってしまいました。それでも民主党時代と比較すると若干良いものの、当時の不人気民主党と比べると大差ないように見えます。今まで盤石だった体制もここで力を抜くと大きく毀損する可能性を秘めています。私からすると今回のコロナ禍にあまり力を入れていないトランプ大統領の支持率は45%、これも支持率が低下し、民主党のバイデン大統領候補47%に逆転を許しています。

 

他の国はどうなっているのでしょう。

 

新型コロナウイルス危機への対応で各国首脳のリーダーとしての資質が問われる中、その対応ぶりから支持率が上昇する指導者と対応の拙さから支持率が下落する指導者との差が鮮明になっています。米調査会社の世界10か国の大統領、首相の支持率を調べた資料によりますと10ヵ国中7カ国の支持率は高水準をマークしています。

 

支持率が上がった主な国は、インドのモディ首相、オーストラリアのモリソン首相、ドイツのメルケル首相、カナダのトルドー首相、フランスのマクロン大統領、

彼等は「早期の外国人の入国禁止」「医療体制を充実し、致死率を低く抑えた」「罰則付きの外出禁止令」「新型コロナとの戦いを戦争と表現し強い決意を示した」ことが挙げられています。

さらに興味深いのは、

「ドイツのメルケル首相、フランスのマクロン大統領は深刻な影響を受けた国の支援のため、約58兆円「復興基金」をEUに提案した。」とありました。

私がすごいなと思うのは、今、各国が自国第一主義に陥り、他国へ支援協力する国が見当たらなくなってきている中、欧州は新型コロナの危機の各国の協調が十分でなかったと反省し、基金の立ち上げを提案したことです。そしてこのことはコロナの先へもう踏み出そうとしていることです。やはり良識ある国のリーダーなんだと感じました。

 

 断トツワーストワンは残念ながら我が安倍首相です。次にブラジルのボルソナーロ大統領、そしてトランプ大統領と続き、不人気3人衆といわれる始末です。

あくまで新聞報道の聞きかじりですが、この3人の共通点を見てみたいと思います。

まず、トランプ大統領です。5月6日の時点で、政界一の感染者数を出しているにも関わらず、大統領直轄の対策本部の解散(数週間以内に)を打ち出しています。そして、マイクペンス副大統領が「早期に経済活動を再開したい」と発表していますが、連邦緊急事態管理局(FEMA)は6月までに、毎日3000人以上がウイルスで亡くなると予測している中での発表です。また、保健当局は今後も感染拡大の恐れがあると声を上げています。感染者数第3位(25万4千人、死者1万7千人、5/18)のブラジルのボルソナーロ大統領は「新型コロナウイルスはちょっとした風邪」「外出は経済を壊す」と言って憚らず、明確に経済優先の立場をとっています。

我が安倍さんはどうでしょうか。対策本部の立ち上げ、ダイヤモンド・クルーズ船の対応ぐらいまでは内容は別として、スピード感はそこそこだったと思います。しかし、オリンピックのことがあったせいか、動きが単発で方針は出すものの、後の対応は現場任せ(各都道府県、市町村)の感が否めませんでした。結果として、全てが後手になっていったように思います。当初西村さんが前面に出てきたように経経済生とコロナ終息を同時にできると思ったのかもしれません。それが経済再生一辺倒のお二人とは違ったもののコロナ対策が中途半端になったと思います。

「何よりも大事なのは命だ」とブラジルの国民が言っていましたが、それはどの国でも同じです。この「国民の命よりも経済活動を優先している」と思われかねない発言や対策の数々が支持率低下の原因であるのは間違いありません。私は当初、安倍さんは対応が早く良いなと思っていましたが、その後様々な対応の拙さが見えてきました。それはコロナ感染症対策の政府の対応の個所で、評価したとおりです。

 

安倍さんの支持率低下の理由を、纏めると、

(1)コロナを終息させることを最重要課題としていたのではなく、東京オリンピックパラリンピック開催を気にし過ぎ、全てが後手に回ったこと   

(2)官僚の書いた原稿の棒読みで、国民に気持ちが伝わってこないこと

(3)以前は「私が総理大臣だ。だから私が何でも決める」かのような態度が、最近は自ら決めずに「党、専門家会議の意見を聞いてから」と、いざとなったら責任転嫁し始めたように見えたこと、     この3つが挙げられます。

 特に国民から、誠意がない、真剣じゃない、そして言ったことが実行されない、そんな風にとられたのではないかと思います。

 

こうしてみますと、菅さんと安倍さんの支持率を落とした理由は状況は大きく違うけど似ていると思いませんか?

 

  1. スピード感が無い
  2. 国民から信用されていない
  3. リーダーシップを発揮しているようで発揮していない

 

この3つはある意味、「危機管理時のトップに求められる要点」です。逆を返せば、

 

  1. 迅速な対応
  2. 誠意ある対応
  3. 自ら陣頭指揮を執ること

 冒頭の「政府に危機管理の意識があるのか」いう素朴な疑問にたいしては10年前と大きく変わっておらず、過去の教訓に学んでいないと言えると思います。

 

次回は国の危機管理体制がどうなっているのか?

どうあったら来るべき危機に対応できるのか?

                    もう少し掘り下げてみたいと思います。

東日本大震災の時のTDRの対応

 

 東日本大震災は起きてからもう10年経ちますので、記憶が薄れている方も多くいらっしゃるかもしれませんので、当時の私の記録と記憶から・・・。

 

 私が在籍していた(株)オリエンタルランド(以下OLC)は1960年に設立され、埋め立て屋そして不動産管理会社でした。私がOLCに入社した当時、知人の中には「お前何であんな会社に行ったんだ。あそこは土地転がし、遊園地なんか、すぐに潰して宅地造成して儲けようとしている・・・」と言われる始末。パークをオープンしてからもOLCなんて誰も知りませんから、名刺を差し出した後必ずといって良いほど、怪訝そうな顔をされ、慌てて「東京ディズニーランドを経営している」と付け加えたものです。それが今では日本のサービス業、テーマパークといえば、必ずといって良いほどオリエンタルランド東京ディズニーリゾートが出てきます。嬉しいことです。

 

 今回の新型コロナウイルスの政府の対応を考えた時に、東京ディズニーリゾート(以下TDR)の東日本大震災の時のディズニーの対応が参考になる部分もありますので、少しお話をさせてください。

 ディズニーでは安全がすべてに優先するという考えが徹底しています。それは入社時の役員から準社員に至るまで受けるオリエンテーションで、ディズニーフィロソフィーと4つの行動指針を学ぶからです。ここでは本題と関係ないのでフィロソフィーは省きますが、4つの行動指針については簡単に触れたいと思います。

 

【 S・C・S・E(行動指針) 】

  1. Safety(セーフティ)・・・安全性、
  2. Courtesy(コーテシー)礼儀正しさ、
  3. Show(ショー)・・・ショー
  4. Efficiency(エフィシェンシー)・・・効率」

 

頭文字をとってキャストはS・C・S・Eと言っています。この4つには優先順位があり、大事なことから順に並んでいて、まず何よりも大事なのはS(安全性)、2番目に大事なのがC(礼儀正しさ)、次にS(ショー)、最後がE(効率)です。安全無くしてパークはありえないという考えなのです。このS・C・S・Eは入社してからも折に触れ、先輩社員や上司によって受け継がれ、ゲスト対応のベースになっています。よく、パークで働いているキャストの対応が素晴らしいと言われたりしますが、特別なことはしていません。確かにパークには沢山のマニュアルが存在しますが、マニュアル通りのサービスには限界があります。文章化するマニュアルはどうしても「標準的な、平均的な」ことしか書くことができません。お客様一人一人に合わせた、思い出に残るようなサービスをするにはマニュアルを超えたサービスをする必要があります。そのためにこの行動指針があるのです。セーフティでいいますと、風の強い日には飛ばされないようにパラソルを閉め、雨で水たまりができるような時はゲストが滑って転ばないようにスウィーパーで水を掃き、夜中にはナイトカストーディアルが、赤ちゃんがハイハイしても大丈夫なように床面を洗い清めています。

安全が全てに優先されるという考え方が日常の教育の中で実践されているのです。

 

 TDL建設が決まった時、地震の多い日本という国の特殊性を考えて、当時の技術の粋を集めて地盤改良工事を行っています。これはセーフティの観点から当然のことなのです。私が聞いている限りではパーク内はサンドコンパイルという工法で、地下深くまで掘り下げ、地盤を安定させています。ですから、大きな地震があった時は。パーク外に飛び出すよりもパークの中にいた方が安全なのです。想像してみてください。もし、シンデレラキャッスルが倒壊し、あの尖塔が崩れ落ちていたら、イメージダウンも甚だしいですよね。 ただ、当時はお金の制約もあり、駐車場については地盤改良されていませんので、液状化現象が起きるであろうことは開園当初からわかっていました。そうそう、確認はしていませんが、この2020年4月15日にオープン予定だった「美女と野獣のエリア」はパークを駐車場側に拡張していますので、勿論、地盤改良をしたのでしょう。

 

それでは、東日本大震災の時の東京ディズニーリゾート(以下TDR)の対応はどうだったのでしょうか?

 

 当時パーク内にいた知人のキャストにその時の周辺の状況はどうかも聞いてみましたが、思った通り、TDLの一部の駐車場で液状化現象が発生、舞浜駅においては陥没したところも見られ、浦安全体では、かなりの地域で液状化現象が発生、市原の製油所では火災からタンクが爆発、といった状況で、信じられない悲惨な状況だと語っています。

そのような中でのパーク内の対応はこうでした。「一時的に混乱したもののキャスト全員が平静を取り戻し、余震が続く中ゲストの安全確保のための誘導に当たり、ゲスト、キャスト共に怪我人はゼロ、施設に若干の損傷が見られたものの、ダメージは殆どなかった」と言っています。

 また、当日、約7万人のゲストがこのTDRにいたようですが、地震発生時は約4.7万人の滞留者、安全のため園内に留まり、翌日帰宅した方たちが約2万人でした。園内で泊まることを余儀なくされたゲストはキャストたちの対応をどの様に見ていたのでしょうか。 これはTDLにいたゲストの声です。

「3時少し前、お土産を買おうと店に入った瞬間に、激しい揺れを感じすぐに外に出たら、人が押し寄せてきて、一時パニック状態になりかけた。近くにいたキャストが「落ち着いて座ってください。皆さん、協力お願いします。」と呼びかけてくれたおかげで皆落ち着きを取り戻し、身を寄せ合って座った。そして「ご迷惑をおかけします。皆さん、ここで待機をお願いします」、安全確認のために中に入れず、外で寒さに震えながら耐えていたら段ボール、買い物用の大きなビニール袋、カイロを配布してくれ、子供にはタオルを配布していた。21時ごろ安全確認が終わり、建物に入ることができ、夜になり寒さが厳しくなってくると簡易断熱シートが配られた。そして売り物のお菓子、ポップコーン、も配布され、温かいお茶、乾物の入ったご飯も「愛情はたっぷりこもっていますから…」とキャストの笑顔と共に渡してくれた。ホワイトボードの簡易掲示板が用意され、外の情報を掴むこともできた。なによりも「何かあったら、声をかけてくださいね」「外の交通は麻痺していますが、ディズニーなら安全です」キャストのやさしさとこの言葉を信じ、無事朝を迎えることが出来た。朝5時ごろ、パンとコーンポタージュが出され、公衆電話も飲み物も無料で、大変ありがたかった。7時か8時ころにはもう一度朝食を、そして昼食も用意してくれた。私には貴重で忘れられない思い出になった。」 

 これと同様の意見が数多く掲載されていました。中にはキャストに対して「情報が遅い、食べ物をどうにかしろ、お菓子ではなくご飯を出せ、」とか言うゲストもいたようですが、ディズニーもあんなに頑張って対応しているのに、あのゲストの方が我儘だとキャスト側に立つ好意的な意見が圧倒的に載せられています。

 

それでは、何故このような対応が取れたのでしょうか?

それは、パークがオープンして8,9年経ったころ、1992年ごろだったと思います。

OLCでは既に、地震、台風、食中毒等の不測の災害に備えるための「非常事態措置マニュアル」を作成していたのです。調べてみますと1992年に政府が「南関東直下の地震対策に関する大綱」を制定していましたので、その情報を知ったOLCでは万が一を想定し、他社に先駆け作成したのだと思います。

 また、この大震災の前、2009年には経済産業省総合資源エネルギー調査会は「想定とは比べ物にならない地震が起きる」と活断層地震研究センター長が指摘をしていますが、当時の東電の担当者は「研究的な課題としてとらえるべきだ」と一蹴したとも聞いています。その指摘をきちんと受け入れていたら、あの悲惨な福島の原発事故は防げていたのかもしれません。私は日本のお役人はさすがにレベルの高い仕事をしていると感心すると同時に、それが何故生かされず、後手に回ってしまうのか、「原子力は安全なんだ!!」という政治の思惑(政治による神話作り)がそうさせたなら、ぞっとします。その後、OLCでは阪神淡路大震災もあり、マニュアルは何度も加筆、修正されています。他にも台風、雷、停電のマニュアルもあります。地震にも強弱がありますので、それによりまずは「ECC(エマージェンシー・コントロール・センター)」、最終的には「対策統括本部」が設置され、各本部、部から代表者が出席し、適宜必要に応じて会議が開かれ、対策を講じていくのです。当時のフード本部で言えば、地震でゲストをパークに泊める時にはどの位の食料の備蓄が必要なのか、火が使え調理が出来る時、火を使えなくなった時はどうなるのか何度もシュミレーションし、対応策を練っているのです。

この日は多分火を使えたのでしょう。ですから朝食、昼食まで出せたのだと思います。またこの作業をしているキャストたちは勿論、殆どがパート、アルバイトの準社員です。彼らが夜を徹して、ゲストのために、できる限り素敵な思い出を持って帰って欲しいと行動したのは或る意味感動的でもあります。聞いてみますと寝ずに、ひたすらおにぎりを何百個も握り続けたキャスト、キッチンで徹夜したコックさん、何せ2万人のゲストの夜、朝、昼、間食まで提供したのですから、大変なことです。

 

 東日本大震災時の東京ディズニーリゾート(以下TDR)の対応は「安全は全てに優先されるというディズニーフィロソフィーの徹底」と「非常事態措置マニュアル」に見られる周到な事前準備、それも最悪の事態を想定してのマニュアル創りが良い結果を生み出したと私は思うのです。さらには、日常の防災訓練での意識づけと経験、防災訓練は私がいた時よりも充実、実際にキャストの家族にも参加してもらい実施していると聞きます。回数も年間180回、各エリア、ロケーションでしているそうで、2日に1度は何処かで防災訓練をしている計算になります。

「安全は全てに優先される」、日常の意識づけ、行動が大事だと思います。

 

私の周りにはこの緊急事態宣言が解除されたら「一番に、ディズニーに行く!!」と言って憚らない人が何人もいます。これも嬉しいことです。

 

令和2年6月6日

新型コロナウイルスの政府対応について私が思うこと

 

 

 もう、6月、私の周りでは青紫、白、淡いピンクの紫陽花が咲き始めました。これを書き始めたのが5月14日「緊急事態宣言を一部(39県)解除」した時でした。その後、5月21日には関西の大阪、京都、兵庫を解除、そして、ついに5月25日、1ヶ月半ぶりに緊急事態全面解除することを決めました。

 そして、私の周りも少しずつ人が動き始めましたが、どこへ行っても最低、手指消毒、マスク、2mのソーシャルディスタンス、多くの方が集まる施設では検温まで実施しています。

第2波、第3波が来るだろうとの予測もありますので、当然の対応と言っては、それまでですが、「動かないことが良いことだ」ということが身についてしまったこの4ヶ月、緊急事態宣言が出された以前の生活に戻るには相当時間がかかることになります。それで本当に良いのでしょうか?今回の新型コロナウイルスの問題は根本的な解決策が見つからないまま、マスクをしろ、手洗いをしろ、消毒をしろ、3密防止、それで私たちの経済が、生活が、本当に元に戻るのでしょうか?安全が確保できて、初めて安心感を生み、人が動き、経済活動が回っていくと思うのです。それには検査体制の充実、医療体制の充実そして新型コロナに効く薬やワクチンの開発を急ぐ必要があります。また、生活の安全、安心のための支援、や企業への支援も同時に進めなくてはなりません。

 政府は今回浮き彫りになった各課題についての解決策(対策案)=目標を決め、いつまでに解決するのか国民に示し、それまでは自分の身は自分で守る自粛生活を続けて欲しい、辛抱してほしいと要請すべきだと思うのです。

 まずは、この4ヶ月の政府のコロナ対応について振り返り、今後に生かしてくにはどうしたら良いのか、考えてみたいと思います。

 

【 この4ヶ月のできごと 】政府の危機管理って・・・

  政府の施策について、私なりに評価してみました。

 

EXCELLENT;  E  優(最高、優秀)

GOOD;         G  良(良好な、適切な)

AVERAGE;  A  可(平均、並み、当たり前)

POOR;     P  不十分(貧弱、気のない)

BAD;     B  不可(好ましくない、拙い)

 

         武漢チャーター機を派遣、退避邦人帰国支援と支援物資

  • 1/30、WHO(世界保健機関)は新型コロナ感染症について「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言。
  • 1/30政府は「感染症対策本部」設置。

      湖北省に滞在歴がある外国人、湖北省で発行されたパスポートを所持する外国人の   

  入国を拒否。

 

⇨ E 比較的早いうちに対策本部を設置、邦人の帰国支援、湖北省からの外国人の入国拒否と早いうちに手を打っています。

 

  • 2/3に横浜港に入港したダイヤモンドプリンセス号の下船を許可せず、隔離する

  乗客・乗組員合わせて3711人の検査終了、21日までに乗客が下船。

 

⇨  B この下船させるかさせないかは難しい判断、一部非難の声が上がりましたが、これはこれで良かったと思います。

ただ、 検査数が少なく、検査している間船内に隔離された患者が徐々に増えていきました。私はあれだけ人を増やしておきながら何故、一日数十人しか検査ができないのか、また船内は交差汚染箇所多く、感染が拡大するのではないかという検査体制に懸念を持ちました。

 

  • 2/13国内初の死者確認、感染経路不明の事例多くなり、市中感染が現実的になる。
  • 2/17、加藤厚生労働大臣は「帰国者・接触者相談センター」に相談する際の基準として「風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続く」症状を挙げた。

⇨ B 新型コロナウイルスに対する指針や対策を求める声が強くなりましたが、政府は大きく動く気配がありません。また、私の周りで、熱があり心配だから保健所に相談したら、病院に相談するように言われ、病院に電話したら保健所にとたらい回しにされた話が出てきました。

 

  • 2/21、東京の小池都知事が、都が主催する大規模で飲食の伴う屋内イベントを3週間、原則中止か延期すると発表。(東京都は1/24、新型コロナウイルス関連肺炎第1回危機管理対策会議開催している。)
  • 2/25、政府の対策基本方針を加藤厚生労働大臣が公表。
  • 症状が軽い人は自宅療養を原則とした他、「全国一律のイベント自粛要請はしない」との政府方針に関して「患者集が集団確認された地域では自粛の検討要請もあり得る」との見解。
  • また、厚生労働省は「クラスター対策班」を立ち上げ、感染の流行を早期に終息させるために、患者集団(クラスター)が次のクラスターを生み出すことを防止することを目指す。

 

⇨ P・B クラスター対策班を立ち上げたのは良いのですが、この曖昧な方針で良いのか、疑問が残りました。

 

  • 2/26、北海道の鈴木道知事が27日から3月4日まで道内の小中学校を臨時休校する方針を発表、又2/28には独自の緊急事態宣言を打ち出し、週末の外出自粛を道民に呼びかける。
  • 2/26、25日にいったん対策基本方針を出した政府が大きな政策転換、安倍首相は全国的なスポーツ、文化イベントを今後2週間は中止または延期、または規模を縮小する。さらには。「3月2日から全国全ての小学校、中学校、高等学校を春休み迄臨時休校するよう」突如の要請。

 

⇨ B 安倍首相が、前日の加藤厚生労働大臣の「政府対策基本方針を一日で転換」したのは驚きでした。多分、政府としては東京オリンピックパラリンピックの前に何としても早く終息させたいという思いがあったのでしょう。また、突然の自粛要請で26日夜に予定されていたEXILEPerfumeなどのライブが中止、また、一斉休校の発表に困惑する働く女性や学校関係者の悲鳴がSNSなどに上がりました。

 

 ・2/27 IOCのバッハ会長は緊急の電話会見で東京オリンピックパラリンピック 

  を予定通り7月24日に開催すると強調。

 

⇨ A マスコミでもこのコロナは4月か、遅くとも7月には収束するだろうと見ていました。政府も予定通りの開催を頑なに叫んでいました。

 ⇨ B 2月下旬には感染の中心が中国だけではなく韓国やイタリアにも急増し、日本でも政府が「緊急事態宣言」を出して、迅速で体系的な対策を講じるべきだという意見が見られるようになりました。

  • 2/29、官邸で新型コロナに関する初めての記者会見をし、政府の対策について理解を求める。「これから1,2週間が急激な拡大に進むか終息できるかの瀬戸際になる。専門家の意見を踏まえれば、今からの2週間程度、国内の感染を防止するため、あらゆる手を尽くすべきである。」

 

⇨ P 。「大変だ!大変だ!」はわかりますし、べき論は正しいのですが、あらゆる手段を尽くすべきだと言いながら、感染防止のために政府が何をするのか、国民が何をすべきなのか、具体策には触れていません。

⇨ B 医療体制、検査体制共に具体的な策は出てきません。特にPCR検査については各国に比較して検査数が異常に低いので、実態がよく分かりません。

 

  • 3/4、安倍首相は野党との党首会談に臨み10日に特措法改正案が国会に提出され、13日に成立。翌14日から施行。「緊急事態宣言」を出せる環境が整う。

 

⇨ B 緊急事態宣言を出せる環境が整ったのに、なぜすぐに「緊急事態宣言」を発令しなかったのか、疑問が残りました。

  • 3/5、4月来日予定だった中国の習近平国家主席の来日延期が発表。その日の夕方、対策本部の場で3月9日から中国と韓国からの入国を強化する方針を発表。3月上旬にはスペイン、フランス、イギリス等欧州各国、アメリカでも拡大して、一部中国の問題ではなく地球規模の問題になりました。
  • 3/11、WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長は「この2週間で中国以外の感染者は13倍に増え、さらに増えると予想される。新型コロナウイルスパンデミックだといえる。」と各国に対策強化するように要請。
  • 3/13、WHOは今や欧州がパンデミックに相当すると認定。

  東京五輪も予定通り開催できるのか、延期、又は中止になるのか開催を危ぶむ声が

  大きくなりました。

 

⇨ B 中国の習近平国家主席の来日延期が決まった途端に中国、韓国からの入国を強化すると聞いて、もっと前から厳しい制限をしていたら、感染拡大を抑えられたのではないかと思いました。

⇨ B WHOがパンデミックといっているのに日本だけは別という考えが分かりません。遅くともこの時点で緊急事態宣言を出すべきだったと考えます。政府や東京都も来る「東京オリンピックパラリンピック」開催が頭から離れず、コロナ対策に力が入っていなかったように思います。

 

  • 3/17、安倍首相が主要7か国(G7)首脳とのテレビ会議で「東京オリンピックパラリンピックを完全な形で実現することについてG7の支持を得た」と明らかにした。
  • 3/19、専門家会議の評価は「一定程度、持ちこたえている」との見方より厳しく、「オーバーシュート(爆発的な感染拡大)」の危機感がにじむものとなった。それだけでなく、フランスなど欧州主要都市では「ロックダウン(都市閉鎖)」のような強硬措置をとる事態になっていると警鐘を鳴らした。

 

⇨ G 専門家会議はこれ以降、警鐘を鳴らし続けているように見えます。

 

  • 3/22、国際オリンピック委員会IOC)はそれまでの方針を転換し延期を検討して4週間以内に結論を出すと表明。それと前後して感染者が大きく増え始める。

⇨ 国民もこの陽性者及び感染経路不明の陽性者が数十人規模から数百人規模に急激に増えていく様を見て、危機感を覚え始めました。

その後、春の選抜高校野球の中止を始め国内のスポーツイベントが軒並み中止に。

  • 3/23、東京都の小池都知事は臨時会見の中でロックダウンという言葉を持ち出し、「オーバーシュートが発生しかねない」と警告。
  • 3/24夜、安倍首相とIOCバッハ会長らが電話会談し、「遅くとも2021年夏までに開催する」と1年延期することで合意。 

⇨  オリンピック1年延期を機に大きく政府、東京都の動きが新型コロナウイルス感染症対策へシフトし始めたように見えます。

 

 ・3/25、東京・小池都知事が緊急記者会見、「今の状況は『感染爆発の重要な局面』

  だと強調し、週末の不要不急の外出自粛を都民に要請。併せて「3つの密」を避け 

  るよう呼びかける。

 

⇨ A これ以降、小池都知事が言う「ロックダウン宣言」が注目を集めることになりました。

  • 4/1、安倍首相が布マスクを2枚全戸に配布する方針を明らかに。

⇨ B 私の場合、6/3に手元に届きました。この予算が466億円、1世帯2枚、ラフな計算ですが1枚400円に相当します。この発注先、届いたマスクに不具合が発生、安倍さん肝いりで「アベノマスク」とも言われ、、安倍さんのマイナス評価に直結したのは間違いありません。また今届いたのでは、遅きに失した感が否めません。

 

  • 4/3、世界の感染者が100万人を突破。4月4日には東京都の新規感染者数が100人を超えると4月中旬まで、100~200人の高水準で推移。
  • 4/7(4/6陽性者3569人、死亡73人)ついに政府は緊急事態宣言を発令しました。7都府県(東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、福岡)、期間は4/7~5/6まで。「ロックダウン(都市封鎖)はしない、生活維持のための必要な外出は自粛の対象にならない。人と人との接触を「最低7割、極力8割減らす目標を掲げ、国民に外出の自粛の徹底を呼び掛けた。」

 

⇨ B 緊急事態宣言、やっと発令しました。しかし1週間で陽性者が倍増するペースが続き、遅きに失した感が否めません。そして愛知県、京都府からも緊急事態の対象地域に入れて欲しいと要請も出されました。

 

  • 4/16(4/15陽性者7964人、死亡者119人)全国に「緊急事態宣言」を発令。7都府県に北海道、茨城、石川、岐阜、愛知、京都を加え13都道府県を「特定警戒都道府県」に指定、期限はそのまま5月6日まで。また、首相はゴールデンウィークの移動は最小限にするよう要請。・・・東京都「ステイホーム週間」不要不急の外出をしない、3密を避ける、手洗い、マスクの徹底
  • 5/1、専門家会議開催

「新規感染者は減少傾向」とする一方、新型コロナ対応は「長丁場を覚悟する必要がある」として、人との距離を2m空ける「ソーシャルディスタンス」や手洗いの徹底、「テレワーク」、「オンラインショッピング」の推奨など新しい生活様式を提案。

 

⇨ G このような具体的な提案が大事です。

 

  • 5/4(5/3陽性者14677人、死亡者492人)緊急事態宣言を5/31に延長。

  安倍首相は「5月は終息のための1ヶ月であり、次なるステップに向けた準備期間」 

  とも述べ、宣言の解除を含めた「出口」についても言及。

  そして、5/14をめどに専門家に感染の評価をしてもらい、可能であれば期限前の解

  除もあり得るとした。

   特定警戒13都道府県は引き続き、それ以外の34県は「感染拡大の防止と社会経済 

  活動維持との両立に配慮した取り組みに段階的に移行する」と語り、休業要請を緩

  和するよう促した。また、商店や飲食店の営業、文化施設、小規模イベントについ

  ては感染防止策を講じた上で再開を容認する考えを示した。

  • 小池都知事は休業要請に応じた事業者に対して最大100万円の「協力金」の支給、大阪の吉村知事は休業要請や外出自粛要請の解除基準を示す。
  • 抗ウイルス薬「レムデシビル」を治療薬として特例承認。

 

⇨ G 小池都知事や大阪の吉村知事はスピーディで、わかり易く、都民や府民から一定の評価を受けています。 

  • 5/8、これまでの相談、受信の目安の見直し、「37.5度以上の発熱が4日以上続く」の基準を削除。「息苦しさや強いだるさ、高熱などの強い症状」がある場合にはすぐに「帰 国者・接触者相談センター」などに相談するよう呼びかけた。

⇨ B この基準、目安があるため、PCR検査を受けたくても受けられない、また体の具合がおかしいと病院、帰国者接触者相談センターに相談しても断られるという事例が続いていました。専門家会議も見直しを求めていましたので、ようやく、政府も動いたのでしょう。しかし、加藤厚生労働大臣は「私は基準といった覚えはない」と言い、大きな反発を受けていました。

 

 ・5/14、政府は14日夜の対策本部で「緊急事態宣言39県解除する」と決定した。

  39県を解除する理由した理由として「直近1週間の合計で10万人当たり0.5人以下

  に抑えられている」を挙げている。また、「特定警戒の8都道府県は21日をめどに

  評価する。2度目の緊急事態宣言もあり得る」とした。

 

⇨ A 感染者数も下がってきましたので、これはこれで良いのでしょう。ただ判断基準や実態がよく分からないままの判断に戸惑いの声も聞こえてきます。その後、政府、マスコミ共に第2波、第3波が起きると言い始めました。確かにウイルスですから、今後も可能性が否めませんが、「国民の行動次第だ」と言われているようで、責任逃れのようにも聞こえます。 

  • 5/21 関西3府県 大阪、京都、兵庫を解除、北海道、東京、神奈川、千葉、埼玉は継続。首都圏は専門家の評価を踏まえ、25日にも判断する予定。
  • 5/25 「緊急事態全面解除」

1か月半ぶり、経済再開に軸足

新型コロナウイルス感染拡大防止と社会経済活動の両立を目指す方針も決定

安倍首相「日本ならではのやり方で、わずか1か月半で流行をほぼ終息できた。日本モデルの力を示した」

 

⇨ P 感染防止を主眼に置く専門家会議に対し、経済への影響を懸念する首相が官邸主導で前倒しの解除方針を決めたと新聞報道にありました。専門家会議の出していた解除基準を緩和したとも載っていました。この判断は「経済再開は感染再拡大の懸念と背中合わせ」というリスクを首相及び官邸が負ったということになりますが、難しい判断だと思います。

⇨ B ただ、私は薬やワクチンの開発、PCR検査の拡充、医療体充実、そして支援補償体制の道筋をつけてからの解除であった方が良かったと思います。問題が山積していましたが、感染者が減少したお陰で、医療崩壊一歩手前で助かったという感じです。全ての対策の道筋をつけてからにして欲しかったです。この新型コロナウイルスは長期戦になるのは間違いありません。「仮に第2波が来ても大丈夫、我々の生活も保障されている」という安心感を与えてからの方が国民も納得してくれたと思います。「国民の命も経済も守る」という気概があるのか政府は求められています。

気になるのは経済再開に前のめりになり過ぎていることです。

 《 厚生労働省のホームページ参考 》

《 Yニューズ、新型コロナウイルス「これまで起きたこと」時系列で振り返る参考 》

 

長くなりましたが、初動においてはそれなりに対応していたのですが、徐々に後手に回っていったのがよく分かります。次回は「東日本大震災の時のTDRの対応」について話したいと思います。