「今回のコロナウイルス感染症」は「危機的自然災害」と認識することから始まります。
私が見聞きし、感じる限りでは、多くの人にこの意識がありません。自分は罹らないであろうという思い込みと変な自信、これが怖いのです。これが感染拡大に繋がっていきます。感染を広げているのです。
ある弁護士有志は、この「コロナ禍は災害」として災害対策基本法など災害法制の活用、応用で公助促進を図ったらどうかと訴えています。災害対策基本法を調べてみますと、第一章総則、第二条に災害、暴風、竜巻、豪雨、豪雪、地震、津波、噴火他省略、その他の異常な自然災害・・・とあります。この「異常な自然現象」にこのコロナ禍が当てはまると見ているのです。そうすれば、激甚災害法の災害特例を適用でき、経営者は従業員を解雇せずに休業、労働者は雇用保険基本手当を受給できます。また、一律10万円の給付金も災害の損害補償とすれば収入に算入されません。平等原則や申請主義に拘泥し、手遅れになりがちな行政対応を迅速にできるという提案です。私は元々、このウイルス対策をクライシスととらえていましたので、大いに納得できます。
コロナウイルスと聞いて、皆さん、覚えていますか。
直近ではサーズ(SARS)2002年、やマーズ(MERS)2012年、あれもコロナウイルスです。そして、サーズは「重症呼吸器症候群」といわれ、マーズは「中東呼吸器症候群」、そして今回も「急性呼吸器症候群」です。私にはコロナウイルスのことはよくわかりませんが、共通するのが「呼吸器症候群」、この20年の間に3回も形を変え人間を襲ってきているのです。目に見える大きな被害を被った「阪神淡路大震災」「東日本大震災」のような目に見える災害と違い、ウイルスは目に見えません。しかし、ジワジワと経済活動に影響し、違う意味で生活を脅かし、精神的にも肉体的にも被害を与えていきます。その被災状況は「世界規模であり、甚大だ」と言えるのですが、被害の大きさが想像できません。いえるのはこのウイルスに効く特効薬やワクチンがまだ開発されておらず、今も、そして今後も被害が増え続けであろうということです。
このことは「未曾有の自然災害」と皆が認識し、東日本大震災以上のクライシス(危機)と捉え、次に向けての体制を築く必要があると私は思っています。
政府が今、一番しなければならないこと、それは「危機管理体制」の再構築です。
今この新型コロナウイルスが収まる気配を見せ始めていますので、ああ、良かったと安心するのは構いませんが、この4ヶ月の検証、課題の抽出、次に起きた時の対策を講じておく必要があります。
前のブログで、政府の危機管理の体制についてはよく考えられているといいましたが、
私はさらに今後を考え、現在の政府の危機管理体制で欠けていると思われる2つの提案をしました。
- 危機管理部署を設置し、省庁に格上げする。日本は災害列島と言われるくらい災害が多い国、平時より対策を考え、各市町村に至る迄の緊急時の対策を考えておく。
- 日本版FEMA(アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁)のような、緊急時の権限を持ち、各省庁から人材を送り込み、各省庁との横断的なパイプを作り、縦割り組織の弊害を改めた組織を作る。各省庁、都道府県、市町村に至る迄「危機管理部署」の設置し、統轄する。
- 危機管理意識醸成のための教育と訓練を平時より実施。
- 危機管理意識の醸成と能力の強化、専門家の育成。
意外と大事なのが、各省庁、都道府県、市町村における平時の「危機管理意識の醸成」です。これが無いから、もしくは足りないから、いざという時に組織や仕組みを生かせず、後手に回ってしまうのだと思います。
特に、今回は多くの方が感じているように安倍さんの対応に問題があったと言えます。「初期対応が後手に回ってしまった」理由として、「中国の習近平国家主席の来日調整」と「どうしても東京五輪をやりたくて思い切った対策を打てずにいた」が挙げられます。緊急事態宣言を発令した日から遡って、3週間以上前に特措法が改正されています。それなのに何故改正された時に宣言を出さなかったのでしょうか。そして、専門家の意見も聞かず(これは私の勝手な思い込みですが^^)「突然の一斉休校」、あれには教育現場も共働きの世帯も大困りでした。さらには語り草になった「アベノマスク」、「閣議決定した減収世帯への30万円給付が突然全世帯10万円の給付に」、安倍さんはスピード感をもってと必ず言いますが、マスクは先週、給付金は6月半ばを過ぎても届かない始末です。おまけに、4月に入ってからは「専門家の意見を聞いて」「党の意見を聞いて」と責任を回避するような言い方になり、役人が書いた原稿をただ棒読みするようになってきました。自分の言葉で発するというのは「危機管理のリーダーの定石」です。
この一連の対応を見ていて、今まで独断的、強権的であっても安倍さんなら野党よりましだ、外交で成果を上げいるじゃないか、と思っていた方々も、「もういい加減にしてよ」「安倍さん大丈夫か」と思い始めたのではないでしょうか。国家の危機には本来、リーダーへの求心力や期待値が高まるはずですし、安倍さんには強いリーダーシップを期待していた方も多かったと思いますが、残念な結果となってしまいました。
ただ、安倍さんは省庁の縦割り組織で対応が遅れた阪神淡路大震災の教訓、東日本大震災での指揮命令の混乱を参考に「首相直属の国家安全保障会議(NSC)創設」し、「危機に強い政府」作りに意欲を示しているようにも見えました。また、首相を支える内閣官房は政策の立案や省庁間の調整を担う「分室」があるのですが、省庁再編時に5つしかなかったものが40に増え、定員も1200人と3倍になりました。それなのに、この有事を前に組織や仕組みを上手く使いこなせなかったのです。
この新型コロナウイルスの緊急宣言は解除され、この6月19日には東京アラートのステップ3も解除されました。しかし日本の危機、いや世界の危機は終わっていません。国民や企業が安心して活動を再開し、経済を再生軌道に乗せるためには、まず、今やるべきこと、やろうとしてできなかったことをしなければなりません。つい、1か月ほど前までは盛んに今後の対応が言われていたのですが、緊急事態宣言が解除されたら、喉元過ぎて熱さ忘れてしまったのでしょうか、言い出す人が少なくなりました。災害大国日本、災害が起きるたびに「忘れてはならない」というのですが、同じ失敗を繰り返してきています。
今政府がすべきこと
政府は以前のような「安心して働ける環境に戻す具体的なビジョン(近い将来のあるべき姿)、ビジョン達成のための方針・目標」を示すべきなのです。今回上がった数々の問題点をまず解決し、最終的には新型コロナウイルスに効く特効薬・ワクチンが開発され、世界中に供給されることです。目標には年内で達成すべき短期的な目標と年度を跨ぐ長期的目標がありますが、各省庁の衆智を集めてこれらを整理し、プライオリティをつけるのです。
これができたら早急に国民に開示、これを強力なリーダーシップのもとに遂行して行きます。国民も目標達成に向けて行動するのです。そうすれば近い将来、3密、マスク、ソーシャルディスタンスも解消され、人の行き来が自由にできるようになり、経済も元に戻せます。
あえて、今、しなければならないことを私なりに書き上げてみました。
これらは全てこの4ヶ月に問題としてマスコミに取り上げられていたことです。
1、新型ウイルスに備えた「検査・医療体制」の構築
17年ほど前の「SARS、重症急性呼吸器症候群」、あれも中国からで「非定型性肺炎」といわれ、コロナウイルスでした。ただ、今のように人から人への感染ではなく発症前の潜伏期間の患者は感染源にはならないということで、規模も小さく8000人を超える症例、死亡者は812人で終息しています。当時、私がいたOLCでは「海外渡航を禁止」した上で、厚生労働省や千葉県の指示に基づき、手洗いやマスクの着用、消毒は当然のことながら、ガイドラインを作成、ゲスト対応していました。今回も再開後の「新型コロナウイルス感染対応マニュアル」を作成中、また、パーク運営の準備中とも聞いています。
また、OLCではその時々の非常事態には、必ずといって良いほどマニュアル化され、システム化され同様の危害が起きた時のために残しています。これを機会に次に備え、国としても各自治体と連携して「医療・検査体制」を整えて欲しいと思います。
ただその前に、急がなければならないのは特効薬、予防ワクチンの開発です。このワクチンが無いために大掛かりな予防策を講じる必要がありました。既に米国ではウイルスを無力化できる「モデルナ(moderuna)という、通常1~2年かかる新型コロナウイルスワクチンを来年の1月には実用化しようと動いています。また世界では100以上の候補があるそうです。
5/26の新聞に「国産ワクチン7月治験年内実用化狙う」とありましたが、
日本でもこの開発に力を入れ、資金援助をする必要があると思います。
新型コロナウイルスが死滅する紫外線照射装置なんて言うのもあるそうですが、どんなものでしょうか。
【 検査体制構築 】
今回特に大きな問題となったのはPCR検査です。
WHOは「感染拡大を低下させるためには、可能な限り数多くのPCR検査を実施しなければならない」と呼び掛けているのに、検査数が伸び悩みました。
・新規感染者は減っているが、窓口となる保健所の業務は逼迫状態。
・受けたくても、医師が不要と判断すれば受けられない。
・検査体制の場所も感染防護服などを備えた医療機関に限られる。
このまま第2波が来たら完全に医療崩壊を招きかねないと指摘されています。
PCR検査の少なさはOECD36か国中下から2番目で、1000人あたり、イタリアで29.7人、アメリカで16.4人、お隣韓国でも11.7人、日本は1.8人、あまりにも少な過ぎます。4/24に厚生労働省クラスター班の西浦北大教授は「今の患者数は氷山の一角、10倍を超える患者がいる」、また5/11、専門家会議の尾身副座長は「患者数が多いのは間違いない、それが10倍か15倍か誰もわからない」といっています。なぜ、PCR検査が受けられないのか。ある資料の中に「検査難民」という言葉がありました。私の身近な人からも、PCR検査を受けたいと病院に相談したら、それは保健所で、保健所に電話したらまず病院でとたらい回しにされたとか、そもそもPCR検査はどこで受けられるのか分からない、調べたら保健所らしい、さらに「帰国者・接触者相談センター」とあるけど、ここで良いのか不安になったとのこと。確かにPCR検査を受けたいと思っているのに「帰国者・接触者相談センター」というネーミングもどうかと思います。その後、3月上旬にはPCR検査が保険適用になり、保健所を通さなくても良くなったようですが、これはこの4月、5月の話です。先日ノーベル賞受賞した山中伸弥教授は「PCR検査は大学、研究所を生かしたら10万件はできる」とおっしゃっていました。日本でPCR検査が少なかったのは保健所行政に頼ったためだとも指摘されています。山中教授も仰っていましたが、大学、研究所のみならず民間の病院をもっと活用して、横断的に柔軟な組織の活用をしたいものです。当然、それに合わせた「検査キット」も必要になります。
【 医療体制の整備・拡充 】
どうしてもハード面やワクチン開発に目が行ってしまいますが、第2次補正予算では、先端で苦労されている医療や介護にあたる人への支援も盛り込まれていました。これによると、「医療従事者への慰労金は新型コロナ患者を受け入れている医療機関やPCRセンターなどに勤務する医療職らに最大20万円を支給する。患者を受け入れていない医療機関の医療職らも感染リスクがあることを踏まえて5万円支給する。さらに介護や障害福祉の現場で働く人を対象に、最大20万円の慰労金を支給する」となっており、これはこれで良いのですが、ここにきて、急に大盤振る舞いの感じがします。やはり支持率低下が効いたのでしょうか。
特に、病床の確保・拡充については前述したとおり、政府は3万床確保できると言っていましたが、3万床が正しいのかの検証と重症者、中症者、軽症者の程度や状況により、自宅隔離、ホテル隔離、病院(一般、ICU)の病床確保をしなければなりません。仮に3万床確保だとすれば、今回の政府の対応は全く不足していると言えます。これに合わせて医療用マスクや防護服など高度な感染防護が必要な医療資器材の充実もしなければなりません。また、感染防止対策も地域によって、かかる先生によって対策が違うのではなくマニュアル化しておく必要があります。6/5の日本経済新聞に「コロナ患者の情報共有進まず、ルール統一して転院可能に」とありました。国、自治体で2000以上の決まりがあり、個人のデータが共有されず、患者の治療に支障をきたしているというのです。2011年の東日本大震災の時も同様の問題があったが、対応が先送りにされてきたというのです。このような事実を知らされると本当に日本はデジタル化に後れを取っているんだなと実感します。
2、迅速な支援・補償体制
日本は借金大国1,103兆円を超える借金があります。日本人一人あたり871万円
になります。大盤振る舞いをして、将来に禍根を残すのではないかという声も聞
かれます。安部さんが首相になった時の国の借金が958兆円(2012)、昨年までに、いつの間にか145兆円の借金が増えています。
この問題は今回、関係ありませんが、私は今、借金が増えても、早くこの停滞モードから脱却して以前の活力を創り出すことが先決だと思います。その後に、自助努力をして国を挙げて借金を返していくしか方法はないと思います。ご存知のように日本企業の割合は大企業0.3%、中小企業99.7%です。この中小企業を救わなくて日本経済の再建はありえません。また国民の消費意欲を高めるには給付金、補償金が必要なのは明白です。例の国民に一律10万円の特別定額給付金は総額約12兆6千億円になります。その他、挙げられているのは先ほど挙げた持続化給付金(中小企業200万円、個人事業100万円)、雇用調整助成金、特別家賃給付金、その他日本政策金融公庫のセーフティーネットや各地方公共団体の支援金、補助金、協力金等、日本の将来の先行投資も含めて支援・補償に使うべきです。今の日本の体力なら可能です。よく言われる「ピンチはチャンス」、このコロナ禍で学んだことを政治、経済、社会を変える機会にして行きましょう。そして、何度か申し上げましたが、其々の基盤づくりに必ずやらなければならないのは「デジタル化」です。
スイスのビジネススクールIMDの「世界デジタル競争力ランキング19」を見ますと日本は63国中23位です。欧米諸国、アジア諸国がランキングの上位にありシンガポール、香港、中国、韓国にも後れを取っています。はっきりデジタル後進国ということが言えます。また、5G移動通信システムにおいては韓国三星が優位でしたが、6Gにおいては韓国、中国が先行しています。日本はガラパゴス化の傾向があるのでしょうか、この双方においても出遅れています。
今回の緊急事態宣言の要諦は国民に対する「外出自粛要請」「休業要請」の二本立てになっています。人が動かない、お店が開かない、イベントやショー、全ての活動を休めということは全ての経済活動が滞ることになりますので、遊興施設、各種スクール、運動、遊戯施設、商業施設、食事提供施設、医療施設、宿泊施設、交通機関、金融機関等、あらゆる分野での売上・客数減少を招くことになります。
また、居酒屋に見られるような曖昧な「営業自粛要請・・・営業時間を午前5時から午後8時まで、アルコールの提供は7時まで」はどう解釈したら良いのでしょうか。レストランや居酒屋は夜が勝負、今まで朝5時から営業している店などありません。売上が8割減、9割減という声があちらこちらから聞こえてきます。他にもいわゆる「密集、密接、密閉」の3密空間にある業種は要請されていなくても営業自粛に追いやられました。「協力依頼」・・・感染防止対策、施設の使用停止、開催停止、営業時間短縮等という要請は、何をどこまでどのようにしたら良いのか分からず、個別の企業判断が求められ、各企業に混乱を生じさせたのは事実です。緊急事態宣言は⇨「外出自粛要請」「休業要請」⇒「売上・客数の減少」⇒「企業の存続可否」に繋がり、特に大きな資金を持たない中小企業にとっては大打撃なのです。中小企業99.7%の日本なのです。中小企業は資金力に乏しく、私の知っている限りでは1ヶ月からせいぜい3ヶ月、持ちこたえるのがやっとのお店や企業が大半です。これに従う企業の支援策、救済策無くして、コロナ後のV次回復どころか、今後の日本経済は成り立たなくなるのは目に見えています。私は「『外出自粛要請』『休業要請』と国民や企業への『支援策』は両輪だ」と何度も申し上げてきました。このことは政府も、地方公共団体も分かっているはずなのに、支援の手が不十分に見えます。他の国を見てみますとイギリス、アメリカ、ドイツ、他経済対策(補償)については打つ手が早かったと思います。日本は第1次補正予算が4月、第2次補正をこの5月と後れを取っています。特別定額給付金(一律10万円)、持続化給付金(中小企業200万円、個人事業100万円)、雇用調整助成金、アベノマスクも未だ届きません。(5/20現在)緊急事態は打つ手が早くないとどんどん悪化して行きます。このコロナ禍、終息を迎えるのではなく、第2波、第3波と長く付き合っていかなければならないのです。この中小企業の救済無くして経済の再生は考えられません。私はトランプさんに協力して戦闘機やイージスアショアを購入するのに何兆円も使うなら、こちらの方に少し回してもらえないかと安倍さんにお願いしたくなってしまうのです。
【 5/20時点の新聞情報 】
・政府系機関の融資急増・・・申し込み48万件超、28万件貸出決定済み
中小企業資金繰り深刻
ホテル旅館などのサービス業中心から、最近
では自動車、鉄鋼などの下請け企業が目立つ
日本政策金融公庫・・・「新型コロナ関連融資」
46万件のうち27万件貸出決定
商工組合中央金庫・・・「危機対応融資」
2万件の内8千件決定
スピード化を図るため、ネット申請でOK、
相談件数5/13時点で32万件超
実際の申請は2万5千件
支給決定は1万2千件
※早くと言っても、未だ支給決定は相談全体の3.75%、窓口で諦めている
現状が浮かんできます。
5/25午後6時、安倍首相が首相官邸で記者会見を開き、緊急事態宣言を全国で解除すると表明しました。
【 要旨 】
「オールジャパンで圧倒的な量の資金を投入し、日本企業の資金繰りを全面的に支えて参ります
・雇用調整助成金も15000円まで特例的に引き上げます。
・家賃負担の軽減、最大600万円の給付金を創設します。
・持続化給付金は本年度創設したばかりのベンチャー企業にも適用します。
・地方創生臨時交付金は1兆円から2兆円に増額して3兆円にします。
・バー、ナイトクラブ、ライブハウスにも感染防止策として上限200万円の補助金を出します。
これらは安倍政権の1丁目1番地、日本経済の立て直しと同時に「感染予防」の徹底をお願いしたい」
それにしても、動きが悪いと思っていましたが、このような案が出てきたのは、やはり、コロナ対応での民意の安倍自民党離れを感じているからなのでしょうか。細かいところは記者会見で発表されていませんでしたが、私が昨日見た自民党の第2次補正案を見ますと、私が取り上げてきました問題点についても盛り込まれていました。後は、スピード感の問題です。東日本大震災の時も初めの3ヶ月は復興会議を含めて色々動いていたのですが、その後4ヶ月目以降失速し始めました。今までの安倍さんを見ていると、口先だけの安倍さん になるのか心配です。他人任せにするのではなく、ご本人が本気になって欲しいと思います。
そして「社会・経済活動を段階的に引き上げてコロナ時代の新たな日常を創り上げる」との方針は当然のことです。新型コロナの第2は第3波のためだけでなく、このような新たなウイルスがまた発生する可能性が十分にありますので、政府の危機管理体制の構築をお願いしたいと思います。ただ、勘違いして欲しくないのは「3密を避ける、マスクをつける、手の消毒をする」ことが常態化するのではなく、いずれは特効薬・ワクチンの開発をし、自由な生活に戻すことが前提です。そうでなければ、生活が委縮すれば、経済も上向くことができません。
政府は5月27日に第2次補正予算を成立させました。それは事業規模で117兆円、真水と言われる政府の支出は32.9兆円です。補正予算としては過去最大となります。
第2次補正予算、政府支出の内訳を見てみますと
・資金繰り対策の強化(実質無利子、無担保融資)・・・11兆6390億円
・緊急包括支援金(病床の確保、人工呼吸器の整備、地域の医療体制強化)
・・・2兆2370億円
・医療用物資確保・・・4379億円
・治療薬ワクチン・・・2055億円
・ひとり親世帯支援・・・1365億円
・大学授業料減免・・・153億円
・教員、学習指導員追加配置・・・318億円
・学校感染症対策・・・421億円
・休業支援金制度・・・5400億円
・家賃支援給付金・・・2兆242億円
・持続化給付金・・・1兆9000億円
・地方創生臨時交付金増額…2兆円
・芸術家、アスリート支援・・・560億円
となっています。(注:この補正予算については新聞、TVとも若干の相違があり、どこまで含めるのか各社で考え方が違うようです。例NHK・・・第1次補正予算25.6兆円、第2次補正予算31.9兆円)
内容は「資金繰り対策の強化」に多くが割かれています。
次に大きいのが、予備費10兆円。です。従来は多くても5000億円とも言われていましたから、使途がわからないままの予備費の多額さに疑問が集中しました。感染状況が見通せない中、不測の事態に備えたいのはわかりますが、このような体質だから借金がいつの間にか増えてしまうのでしょう。今回新たに設けられた給付金が「家賃支援給付金」、売上が減少したテナント出店者に1か月あたり100万円(法人の場合)を上限に、支払い家賃の一定割合を支給するというもの、これは休業要請をした時点からの事業者の声を吸いあげたもので、私の周りからは歓迎の声が上がっています。また、雇用調整助成金も上限額が引き上げられました。今回の補正予算は中小事業者、又生活者の補償、支援の側面が多くみられ、第1次補正予算の不備を補うもので、予備費以外は納得できる内容になっています。ただ、国会審議やり取りの中で、どさくさに紛れて、国民の税金を食い物にしている役人の答弁を聞いて悲しくなります。それでも緊急時ということで成立しましたが、許せることではありません。
因みに第1次補正予算25兆6000億円の内訳です。
1、感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発・・・1兆8000億円
・新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金・・・1490億円
(PCR検査機器整備、病床、軽症者等受入れ施設確保、人工呼吸器等の医療整備、応援医師派遣への支援等)
・医療機関へのマスク優先配布・・・953億円
・人工呼吸器、マスクの生産支援・・・117億円
・幼稚園、小学校、介護施設等マスク配布など感染拡大防止策・・・792億円
・全世帯へのマスク配布・・・233億円
・アビガン確保・・・139億円
・産学官連携による治療薬等の研究開発・・・200億円
・国内におけるワクチンの開発支援・・・100億円
・国際的なワクチン研究開発等・・・216億円
・新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金・・・1兆円
2、雇用の維持と事業の継続・・・19兆4905億円
・雇用調整助成金の特例措置の拡大・・・690億円
・中小・小規模事業者等の資金繰り対策・・・3兆8316億円
・中小・小規模事業者に対する新たな給付金・・・2兆3176億円
・全国全ての人々への新たな給付金・・・12兆8803億円
・子育て世帯への臨時特別給付金・・・1654億円
3、次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復1兆8,482億円
(Go Toキャンペーン事業、新型コロナリバイバル成長基盤強化ファンドの創設)
4、強靭な経済構造の構築・・・9172億円
・サプライチェーン多元化等支援事業・・・2200億円
・海外サプライチェーン多元化等支援事業・・・235億円
・農林水産物・食品輸出力・国内供給力の強化・・・1984億円
・GIGAスクール構想の加速による学びの補償・・・2292億円
・公共投資の早期執行のためのデジタルインフラの推進・・・178億円
・中小企業デジタル応援隊事業・・・100億円
5、今後の備え(新型コロナウイス感染症対策予備費・・・1兆5000億円
私が気になるのはやはり予備費です。私は日本の経済の基盤である中小企業の支援・助成、国民への給付金、将来への投資のために貴重な税金を使うのはやむを得ないと思っていますが、1次でも1兆5000億円の予備費、2次では10兆円の予備費、これはいくら何でもやり過ぎではないかと思います。これ全て国の借金です。またこれからの日本の経済回復を考えた時に、治療薬、ワクチン開発に欠けるお金が低すぎること、また新たな産業が育っていない日本の経済基盤を考えると国際競争力に不可欠な、デジタルインフラにかけるお金があまりにも低すぎると思います。本当に日本の将来を考えているのでしょうか。サプライチェーンは各企業の仕事と割り切り、この予算をデジタル化推進に回して欲しいと思います。これを見ていると今まで予算付けできなかった事業がこれを機会に息を吹き返したように見えます。
次回は、危機管理の纏めに入りたいと思います・・・