吉野家の「うまい、安い、早い」と私の好きなディズニーの哲学

innsyokugyou

  今日、やっと梅雨明け宣言!!

例年に比べ、11日も遅い梅雨明けになりました。

このコロナ禍で不要不急の外出を抑えている私にさらに追い打ちをかけた長梅雨は気分もどんよりとして、湿ってくる感じがするのです。

 

 こんな時、小気味好く読めたのが、数年前の日経の「私の履歴書吉野家の安部修仁元社長」の連載です。安部さんは私とほぼ変わらない年代で、なおかつ同じころにジャンルは違うものの外食で苦労をされ、読んでいてそうそう、これだ、これと頷きながら一気に読んでしまいました。 

履歴書の詳細はさておき、その中に外食産業では不滅のスローガン「早い、うまい、安い」という言葉が出てきます。この言葉は誰が作ったのでしょうか?私の中では吉野家の2代目社長、松田瑞穂さんだと思っていますが、どうやらそのようです。

この言葉はクィックサービスレストラン=(ファーストフード)の本髄であり、外食事業の商品の本質をとらえている名言です。

 

外食事業の商品は一般的に

 

価格(心の財布)= 料理・飲物 + 接客 + 店舗(雰囲気)

 

と表されます。

 

 この中の「料理・飲食」が美味しくて安全なのは当たり前のこと、それを半世紀以上も前に「うまい」の一言で表し、接客ではファーストフードに欠かせない効率性を「早い」で表し、店舗づくりはさておきながら、うまくて早いこの商品を「安い」価格で提供するとわかり易くお客様にアピールしています。そして、店舗展開を始めた松田さん、私は当時、同じ外食でも畑違いにいましたが、和製チェーンでありながら、本質を見極める松田瑞穂さんという方はすごい方だと思っていました。

ファーストフード業界で長らく君臨してきた「マクドナルド」の銀座進出は確か1971年、それより前に、チェーン展開を始めたのです。色々な意味で日本の外食に影響を与えたマクドナルドにも「QSC+V」というこれもわかり易い言葉がありますが、業界人にはわかりますが、説明を要します。

この吉野家のスローガンも時代の要請によって「うまい、早い、安い、」となり、現在の「うまい、安い、早い」になってきました。吉野家のモットーを表現するのにお客様にとってだけでなく従業員にとってもこれほどわかり易い言葉はないと思います。

 

 そういえば、私がお世話になったディズニーの世界でも、私に大きな影響を与え、大好きな言葉があります。それは「パークは永遠に未完成」という言葉、ディズニーのフィロソフィです。この言葉はどの企業にも、個人にも当て嵌まり、やはり名言だと思います。

 

“ パークはまるで生き物のようである。

木々も成長を続けていくように、全てが歳を重ね美しさを増している。

常に創意工夫を続け、新しいものを付け加えることによって、パークを永遠に成長させ続けることができる。“

私は、オリエンタルランドのプロジェクトマネージャー時代、この言葉の持つ意味を噛みしめながら仕事をしていました。今も新たなことにいつもチャレンジしたいと思うのは「自分は永遠に未完成」だというこの言葉があるからです。

 

 私の狭い経験の中でも随分前ですが、ある言葉が口をついて出てきました。

シズラーという当時全米で500店舗ほどあった「ファミリーステーキハウス」を日本で展開するためにできたシズラー・ジャパンという会社にいた時、31才頃の話です。

その基盤づくりにアメリカへ研修に行かせてもらったのですが、毎週末、どれだけ覚えたか、勉強したかテストがあるのです。それも私の嫌いな英語で書かなければならないテストです。さらにそのテストの出来不出来はそのまま会社に送られるので、テストが近づいてくると憂鬱になっていました。

私はそれまであまり、勉強という勉強をしないで生きてきたこともあり、時間を有意義に使いこなすということを考えずにいました。ですが、そんな事言っていられません。朝から晩までのシフト勤務に加え、初めてのアメリカなので遊びたい、だけど勉強する時間も作らなければなりません。しなければ悪い成績を日本に送られるプレッシャーとの戦い、結局寝る時間を割いての勉強の日々が続き、自分の人生の中でも集中的に一番勉強したのかもしれません。

否が応でも「よく仕事をし、よく遊び、よく勉強する」というのが身についた3ヶ月になりました。そんなに生まれたのが           

 

“ Good Job ! Good Play ! Good Study ! “

 

文法的には滅茶苦茶かもしれませんが、これが私の座右の銘です。

 

日本の故事、ことわざ、中国の古書の中に今でも面々と生きている言葉が数多くありますが、その時代時代に人が生きている実感の中、本音で生み出された言葉こそ、いつの世も共感され、必要とされていくのだとつくづく思うのです。(私の拙い座右の銘を除いて・・・^^)

 

令和2年8月1日

新型コロナ「国の将来を左右する分かれ道」

私は前回、もうそろそろ、このコロナの話は止めてディズニーの話でもしようかと思っていたのですが、最近の政府の動きを見ていて、日本の行く末が心配になりましたので、もう少しお付き合いください。

 

このコロナ禍、「国民の命と経済を守る」これが国を引っ張っていく政府の、安倍さんの役目です。今日は私が安倍さんだったらどうするのかという切り口で行きたいと思います。

 

7月17日、政府が強引に?前倒しに進めようとした「Go Toトラベルキャンペーン」がいきなり、東京は除くとなり、何で・・・と各マスコミがやかましくなっています。この事業は経済再開の目玉というべきものなのに、出発地、目的地として最大の東京が抜けたら、どういう意味があるのでしょう。生活に困っている人への30万円の特別給付金が一律10万円給付に変わった時もそうでしたが、この頃政府の迷走状態が続いているように見えます。ついこの間まで、何が何でもこの「Go Toトラベルキャンペーン」はやる、と言い切り、8月からと言われていたキャンペンーンを7月22日に前倒しにしたと思ったら、専門家や与野党からの反発で押し切られ、突然の骨抜きです。以前のリーダーシップはどこへ行ってしまったのでしょうか。このような緊急事態の時ほど強いリーダーシップを発揮してほしいのに残念でなりません。ですが、私が安倍さんの立場だったら初めから、この「Go Toキャンペーン」は今やりません。やってもお金をばらまくだけであまり効果が期待できないからです。

 

今、安倍さんがすべきことは何でしょうか

今回の新型コロナウイルスは異常な「危機的自然災害」です。或る意味東日本大震災以上のクライシスなのです。このウイルスは目に見えません。しかしじわじわと真綿で首を占めるように生活に影響を与えていきます。人が動かない、動けないということはお金が動かない、動けないということで、企業にとって自由な経済活動ができない、売上・利益を上げられないということに繋がっていきます。各企業の売上・利益が上がらないということは私たちの給料が、収入が上がらない、若しくは下がっていくということです。人によっては職を失うということになるのです。生活を脅かすだけではありません。自由な生活が奪われ精神的にも、陽性になれば肉体的にも危害を及ぼされるということです。

 

今、私達は将来どうなるのか、コロナはいつ終息するのか、不安を抱えながら生活をしています。安倍さんがすべきことは、この漠とした不安を解消し、以前のような安全、安心、自由な世界を国を取り戻すと大きな方針を打ち出す必要があります。

そして、「コロナ終息後のあるべき姿」を示し、そのビジョン達成のためのプライオリティをつけたロードマップ(方針や対策)を打ち出すことです。それも何時までにと期限を区切ることが必要です。

今のように、安全と経済を両立させながら国を動かすというのは、ずーっと今の不便な生活を続けなければならなくなり、経済が元に戻ることはありません。安倍さんはこのコロナ禍が始まった時から、コロナを抑え込むというより、経済再開に力を入れているように見えました。ですから、緊急事態宣言解除も前倒し、今回の「Go Toトラベルキャンペーン」も中身がまだ詰まっていないのに前倒しで進めました。

今、すべきは「安全・安心を勝ち取る」ことなのです。安全と経済の両立ではなく、まずこの方針を明確にすることです。

 

それでは「安全・安心を勝ち取る」ために何をすべきなのでしょうか?

それは「ワクチン・治療薬の開発」以外にありません。全ての問題には原因があります、問題を解決するには原因を取り除くための解決策を打つ、これはビジネスの基本です。今回の新型コロナウイルスはワクチン・治療薬がないために各国が苦労をしているのです。インフルエンザのように治療薬があれば以前のように自由に活動している中で新型コロナウイルスに罹っても直せるという安心感があります。多くの人はそれには1年なのか2年なのか時間がかかる、と決めつけていますが、私なら6ヵ月と期限を区切り、それこそ日本の各製薬会社、大学や研究所、産学官の総力を結集すればできないことはないと思うのです。日本にはノーベル賞を取れるほどの優秀な技術、研究開発力があります。そこに最大限の予算をつけて開発をするのです。

第1次、第2次補正予算を見ますと、第1次補正予算(25.7兆円)、第2次補正予算(31.9兆円)、総額57.6兆円、これは実に令和2年の国家予算一般会計102兆円の約6割に相当します。中を見ますと総花的に経済活動、企業・生活支援のための予算を中心に様々な活動に予算をつけています。「Go Toキャンペーン」は1兆7000億円、これは官民を挙げた経済活動の目玉として位置づけられています。これに対して、「治療薬・ワクチンの開発」は第1次補正予算では「感染拡大防止策と医療体制の整備及び治療薬の開発」として1兆8千億円、内、◎ 産学官による治療薬の研究開発・200億円、 ◎ 国内におけるワクチンの開発支援・100億円 ◎ 国際的なワクチン研究開発等・216億円、

「ワクチン・治療薬の開発」に関する予算は合計516億円です。第2次補正予算では「治療薬ワクチン」として2055億円計上していますが、これには研究開発と銘打っていませんので、購入する薬を指しているのだと思います。だとすると「ワクチン・治療薬の開発」は補正予算の0.09%、仮に第2次補正予算の「治療薬ワクチン」2055億円をいれたとしても0.4%です。あまりにも少な過ぎです。というより全く力を入れていないのがわかります。新型コロナに打ち勝つ「ワクチン・治療薬」ができたら、世界中から感謝されるだけでなく新たなビジネスチャンスも広がっていきますし、東京オリンピックパラリンピックも成功に導くこともできます。

今日(7/18)の日経新聞に「米中コロナテック躍進」という見出しが大きく載っていました。コロナテックとは新型コロナウイルスに端を発した諸問題を解決する技術やサービスのことで、この新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、米国と中国を中心に有力なスタートアップが続々と生まれているとありました。この4~6月を見ると新たに22社がユニコーン企業価値が10億ドルを超える未上場企業)となり、国別では米国が13社、中国が3社、米中がイノベーションを次々と生み出し、新型コロナと共存する新しい世界をリードしているというのです。10年前に中国に経済大国2位の座を奪われ、ITの世界でも米中に後れを取っている日本、今や技術立国日本の影がどんどん薄くなっています。このような時、経済や社会の激変期は逆に大きなチャンスです。「新型コロナのワクチン・治療薬の開発」で世界をあっと言わせたいものです。私ならここの予算に何兆円かけてでもこの半年で新ワクチン・治療薬を生み出し、来年の東京オリンピックパラリンピックも世界中から人を集めてみたいと思います。コロナを機会に「メディテック日本(メディカルテクニック)」として世界をリードするのです。

その間私達は例の「新生活様式(3密、ソーシャルディスタンス、検温、マスク、手洗い)」を余儀なくされますが、期限を区切っての我慢は耐えられるものです。今のように経済再開と感染拡大の懸念と背中合わせの状況では日本が沈没することがあっても浮かび上がることができません。総花的、羅列的にやりたいことを並べているのではなく、

  1. ワクチン・治療薬開発
  2. 並行してPCR検査の拡充、実態の把握
  3. 医療体制の充実
  4. 休業支援・補償体制と雇用の維持
  5. 官民を挙げた経済活動の回復
  6. IT先進国へe-Japan戦略見直し
  7. 強靭な経済構造の構築

こんな感じで優先順位をつけ、ロードマップを描いていきます。

 

今、小松左京の「日本沈没」をアニメ化した「日本沈没2020」が話題になっています。

本当に日本が沈没してしまったら、洒落になりません。「陽沈む国」ではなく「陽昇る国」にしたいものです^^

 

令和2年7月18日

新型コロナに見る「危機管理(クライシスマネジメント)」まとめ

 

 

 折に触れ、色々書いているうちにもう1か月半近く経ってしまいました。

わからないことがあるとついつい調べては考える、それを繰り返している間に時間ばかりが過ぎていきます。

そろそろ、あまり面白くないこの話題から抜け出して、ディズニーの話でもして行きたいと思っています。

 

今回の纏めは、今まで新型コロナについて話してきたことのうち、私の言いたかった要点を書き抜き、3つの視点、1、新型コロナウイルスの安倍さんの対応、2、今後の対応、3、危機管理はどうあるべきか、で纏めました。

 

そういえば、危機管理というとリスクマネジメントという人もいますし、クライシスマネジメントという人もいます。これについての説明をしていませんでした。私は今回クライシスマネジメントと言っていますが、念のため・・・

 

  • リスクマネジメント(危機管理) ・・・risk : 「絶壁の間を船で行く」が語源

  危害、損害に対して人がする危険、危険、冒険、賭け、

  危機が発生する前に、それを回避するあるいは危害を最小限に抑えるために様々な   

  対策を講じること

  危害が起きる前に起こらないようにする日常のマネジメント

  • クライシスマネジメント(危機管理)・・・crisis : 「将来を左右する重要な分岐点」

  事態の危機、重大局面、難局、重大な分かれ目、岐路

  危機は必ず発生するものという前提で、起きた時の初期対応、二次被害を起こさな

  いための対応

 

リスクマネジメントは事前策、クライシスマネジメントは事後策と理解できます。ただ、私の経験からクライシスマネジメントという用語は東日本大震災後に一般的に普及してきたように思われ、以前はリスクマネジメントが広く使われ、なじみのある言葉でした。ですからリスクマネジメントは事前事後も含む、危機管理全般を指すと広義に理解している人もいます。私は阪神淡路大震災東日本大震災、今回のような新型コロナのような、未曽有な、甚大な被害をもたらす災害はクライシスというべきだと思います。

また、ここにもあるように、今私達は国の将来を左右するような分かれ道にいます。初めは安倍さんもよくやっていると思っていましたが、この数か月を見ていますと初動対応は失敗したとはっきり言えます。となると次の緊急時の対応を如何にするか、そして危機発生以前の平常に如何に戻すか、今後問われていきます。

 

【 コロナの認識を変えよう 】

 

「今回のコロナウイルス感染症」は「危機的自然災害」と認識することから始まります。

 

今回のこのコロナを私達はどのようにとらえているのでしょうか?

実は雇用や生活の心配がない、また多くの新型コロナに罹らなかった人の中には「特別給付金10万円が入って、得した、何に使おうか」「治まったら、早く遊びたい」と危機感の無い人が多く存在します。

 

感染症の歴史を見ますと、古くはペスト、近代ではスペイン風邪、これによって多くの命が失われ、また国が亡びる原因になったとも言われています。私が見聞きし、感じる限りでは、多くの人にこの意識がありません。21世期に入るとサーズ(SARS)2003年、やマーズ(MERS)2012年、あれもコロナウイルスです。共通するのが「呼吸器症候群」、私にはコロナウイルスのことはよくわかりませんが、この20年の間に3回も形を変え人間を襲ってきているのです。「阪神淡路大震災」「東日本大震災」のような目に見える災害と違い、ウイルスは目に見えません。しかし、ジワジワと経済活動に影響し、違う意味で生活を脅かし、精神的にも肉体的にも被害を与えていきます。その被災状況は世界で2年間、1300兆円??ともいわれ、私たちには被害の大きさが想像すらできません。(日本の国家予算一般会計102兆円)

まず、私達は「未曾有の自然災害」と誰もが認識し、東日本大震災以上のクライシス(危機)と捉え、次に向けての体制を築く必要があると私は思っています。

 

【 今回の安倍さんの対応 】

 

第1回目のブログで安倍さんのこの4か月の対応を見てきました。当初は必要な方針は打ち出し、対策を講じていて、そんな大きな問題もなく対応しているように見えました。また、この7年間の安倍さんを見ていると、危機管理に関してはとても関心があるように見えましたし、特に安全保障に関しては私とは意見が違いますが彼なりに手を打っていたと思います。それが徐々に後手に回っていったのは何故だったのでしょう。

ブログを書き始めた時は、政府の危機管理体制がなっていないのではないかと思いましたが、調べてみますと災害時を考えた詳細な組織や体制がありました。さすが日本の官僚、やるべきことはやっていると嬉しくなりました。

それなのに何故・・・

特に3月以降のバタバタ感、場当たり的人気取り感を見ていて「扱う人の問題」だと思いました。

安倍さんを始め、菅さん、加藤さん、西村さん、皆さんの「本気度が見えない」のです。「本気度」とは「国民の命と財産を守り、この危機を乗り越える」という使命感、気概です。

例えば、

  1. 加藤さんの出した方針を一日で転換、おまけに3/2より、小、中、高を春休み迄一斉休校
  2. 緊急事態宣言の遅れ
  3. PCR検査20,000件一向に進まず未達、
  4. 病床数50,000床も同様
  5. 閣議決定した特定世帯30万円給付を一律10万円に変更 等

挙げれば、切りがないほど場当たり的、人気取り的なことが出てきます。おまけに必ず、「スピード感を持って対応します」というのですが、アベノマスクは6月になって届いたという人が多く、また、10万円給付金も申請を出したけどまだ届かないという人が多くみられます。

他のお三方とは違い、安倍さんは総理大臣、国のリーダーです。平時のリーダーなら、安倍さんはお友達、部下、取り巻きの面倒見も良く人間味のある「お坊ちゃん的性格」で愛されもするのでしょうが、このような緊急時、様々な問題が起きた時に彼をかばい、彼のために動く人は忖度人間だけになってしまいます。仮に周りの大臣や補佐官が動いても、冷静な部下たちは動くとは思えません。でも安倍さんは自分が一言いえば周りは動くだろう、今までもそうだし、私の言うことは絶対だ、仮に何か問題が起きてもフォローしてくれるだろうと周囲に甘えて自らが陣頭指揮をするという意識が欠如していたのではないかと思います。

逆にこの緊急時、非常時は全国民が自分を守ってくれるリーダーとしての安倍さんの一挙一動を見ているのです。

それなのに、4月に入ってからは「専門家の意見を聞いて」「党の意見を聞いて」と責任を回避するような言い方になり、役人が書いた原稿をただ棒読みするようになってきました。「自分の言葉で発する」というのは危機管理のリーダーの定石です。

この一連の対応を見ていて、今まで独断的、強権的であっても安倍さんなら野党よりましだ、外交で成果を上げいるじゃないか、と思っていた方々も、「もういい加減にしてよ」「安倍さん大丈夫か」と思い始めたのではないでしょうか。国家の危機には本来、リーダーへの求心力や期待値が高まるはずですし、安倍さんには強いリーダーシップを期待していた方も多かったと思いますが、残念な結果となってしまいました。

これは私が記者会見の時に感じたことですが、

  1. 棒読みで自分の言葉で話していない
  2. 総論では良いことを言っているが、細かいことは部下任せ
  3. 各省庁と地方自治体との連携が上手く行っていない

このような緊急事態宣言時、小池さん、吉村さん、鈴木さんはご自分の言葉でお話をされ、それも細かいことにまで対応されている感じが伝わってきましたが、安倍さんは良いこと言っているのですが胸に響いてこないのです。肝心なことは西村経済再生担当大臣、加藤厚生労働大臣、お金のことになると他のお役人が出て、それも言い訳がましいことばかりで、この危機を乗り越えられるのだろうかと心配になります。

以前は「私が総理大臣だ。だから責任をもって・・・」と、私が何でも決める」かのような態度でしたが、最近は自ら決めずに「党、専門家会議の意見を聞いてから」と、いざとなったら責任転嫁し始めたように見えました。ですから徐々に、国民から、誠意がない、真剣じゃない、そして言ったことが実行されない、そんな風にとられていったのではないかと思います。

 非常時・緊急時のリーダーの要諦

  1. 隠さない・・・真実を話す
  2. 陣頭指揮・・・自分の言葉で話す
  3. スピード感・・・即断、即行
  4. 人望・・・普段の信頼

 これらは日常から「組織に危機管理の意識があり、危機が起きた時の体制がある」ことが前提になります。

このコロナ騒ぎが始まった時の、国会を見ていますと、通常国会は疑惑に始まり、疑惑に終わった感じがします。

1月、桜を見る会の疑惑が始まったと思ったら、

2月には黒川検事長の定年延長問題、検察庁法改正問題、

3月には森友問題赤木さんの手記公表、国を提訴、

4~5月はコロナによる国民の不安・不満爆発、

5~6月はコロナを巡る経済対策が進まず次々と問題化、

法務大臣公職選挙法違反」という前代未聞の事件まで発生します。第2次補正予算は通ったものの「持続化給付金事業の民間丸投げ問題、GoToキャンペーンの不透明さ、予備費10兆円問題と問題山積のままの閉会です。この通常国会での安倍さんのヤジ、質問にはまともに答えない安倍さんの姿は国会軽視、無視の何物でもないという感じでした。これらを見ていますと、責任を取る、責任があると言いながら、責任を果たしてこなかった、もしくは各問題をうやむやにしてきたことが、積み重なって信頼感を失い、支持率も急落して行ったと言えると思います。厳しい見方をすると、この4つ全てをないがしろにしてきた付が回ってきた、とも見えなくありません。

このように見ていくと、長期政権の間に、驕りが出て、安倍さんは裸の王様になっていたのかもしれません。それではこのような未曾有の危機対応はできません。1~4の全てに疑問符が付く状態だったのです

 

【 政府の今後の対応 】

今回の新型コロナウイルスの問題は根本的な解決策が見つからないまま、マスクをしろ、手洗いをしろ、消毒をしろ、3密防止、それで私たちの経済が、生活が、本当に元に戻るのでしょうか?私には不安を抱えたままの今の状態で、経済が回復するとは到底思えないのです。

このまま行ったら、企業は将来ビジョンを描けず、国民も将来の生活設計が描けません。成り行きに任せ、取り敢えず目の前の危機が去ればと思っていたら、いつの間にか国も生活レベルも沈みかけていた、いや、沈んでしまったなんてことになりかねません

安全が確保できて、初めて安心感を生み、人が動き、経済活動が回っていくと思うのです。それには検査体制の充実、医療体制の充実そして新型コロナに効く薬やワクチンの開発を急ぐ必要があります。また、生活の安全、安心のための支援、や企業への支援も同時に進めなくてはなりません。

 

緊急事態宣言が解除され東京アラートも解除され、1ヶ月が経とうとしていますが、何も進んでいません。相変わらずのスピード感の無さ、日本の行く末が心配です。

今政府に求めたいのは数年先を見据えた「優先順位を考えた具体的な目標の設定」と「強力なリーダーシップ」です。また、私たち国民も国が掲げた目標達成に向けて協力し合い、行動しなければなりません。政府は以前のような「安心して働ける環境に戻す具体的なビジョン(近い将来のあるべき姿)、ビジョン達成のための方針・目標」を示すべきなのです。今回上がった数々の問題点をまず解決し、最終的には新型コロナウイルスに効く特効薬・ワクチンが開発され、世界中に供給されることです。目標には年内で達成すべき短期的な目標(緊急対応)と年度を跨ぐ長期的目標(定常対応)がありますが、各省庁の衆智を集めてこれらを整理し、プライオリティをつけるのです。嬉しいことに民間企業の中から、京大に「がん・ウイルス研究」のために100億円寄付という記事が載っていましたが、国がもっと真剣に考えることだと思います。

今なすべきこと(緊急対応)

1、感染拡大終息に向けて、防止策を打つこと

 ・・・薬、ワクチンの開発、検査体制の充実、医療体制の充実、

2、国民生活を守ること

 ・・・持続化給付金、雇用調整助成金特別給付金の充実、雇用の安定、

3、中小企業を守り、経済の軌道を回復すること

                               につきます。

 

マスクが届かない、給付金の申請すらできない、という状況が作り出されているのに、政府が手を打てていないのは、緊急時の密なる体制が未だに出来ていないからだと思います。至急対応するといっても、「どうせ口先だけだ」「いざという時の政府は役に立たない」とあきらめに似た気持ちを国民の多くが持ってしまっています。緊急事態宣言が解除された今、次なる緊急時に備え、省庁の縦割りの弊害を無くし、また省庁と各都道府県、各都道府県と各市町村の密なる体制が築く必要がありますこの巨大なお役所の体制を円滑に進めるには「オンライン化」は早急にすべきであって、これなくして業務のスピード化は図れません。国家公務員64万人、地方公務員286万人、合わせて350万人(10年前の古い資料で申し訳ありません)、これだけの巨大組織を動かすには事務の簡素化、合理化は避けて取れません。緊急時には1億2千6百万人が一つの方針に従い、一つの方向に向かい協力し合い、助け合わなければなりません。それも瞬時に行動することが求められます。

 

安倍さんは常々「政治は結果が全て」と言ってきました。

政権は「国民の命と財産を守る」のが仕事です。それが今こそ問われているのです。

 

【 新型コロナに見る危機管理・・・私からの提案(定常対応) 】 

まず、政府の危機管理体制再構築の私からの提案は3つです。

  1、政府の対策本部、専門家会議

対策本部の中に「諮問委員会」と医学的見地から助言を行う「専門家会議」が置かれていますが、同じような組織が2つ入りませんので、専門家会議だけにします。

 専門家会議の提言を基に対策本部には各大臣がいますので、其々の立場から外交的、社会的、経済学的、学術的な立場からリスク、意見を出し合い、国としての方針、対策を打ち出していく。現状を見ていると、専門家会議に引きずられ、対策本部が機能していない、また諮問委員会が機能していないように見えます。

対策本部のメンバー構成は総理大臣他各省庁の大臣となっており、仮に必要であれば、各大臣が各省庁に関係している専門家の声を聞けば良いのです。

2、危機管理部署を設置し、省庁に格上げする。

日本は災害列島と言われるくらい災害が多い国、平時より対策を考え、各市町村に至る迄の緊急時の対策を考えておく。日本版FEMAアメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁)のような、緊急時の権限を持ち、各省庁から人材を送り込み、各省庁との横断的なパイプを作り、縦割り組織の弊害を改めた組織を作る。各省庁、都道府県、市町村に至る迄「危機管理部署」の設置し、統轄する。

  1. 危機管理意識醸成のための教育と訓練を平時より実施。

   危機管理意識の醸成と能力の強化、専門家の育成。

1については6月25日の報道で「専門家会議」を廃止するという見出しがありました。廃止理由は「位置づけが不安定だった、あたかも専門家会議が政策を決定しているかのような印象を与えた」とありましたが、そうしたのは対策本部のメンバーが安倍さんの下で機能していなかったからだと思います。安倍さん自身がわからないことは専門家会議に・・・と言っていたのを記憶していますし、専門家会議の提案に疑義があれば、リスクコミュニケーションの立場から各省庁にいる別の専門家の意見を取り入れた政策決定を対策会議ですればいいわけで、専門家会議はあくまで提言です。医学的な見地からの提言は大事なことだと思います。今回の問題は「未曾有の事態を目の前にし、専門家が果たす役割が政府に助言するだけでなく、感染予防や感染拡大防止に資する対応策も提供することになってしまったから」であって、そこは元に戻せば良いのです。今後の政府の専門家助言組織について「様々な領域の知を結集した組織とする必要がある」とありましたが、そこは各省庁に専門家がいるのだからそこを機能させ、意見を吸い上げるのは各大臣の役割です。対策本部がきちんと役割をはたしていれば問題ないと思います。

2について、平成27年に「政府の危機管理組織の在り方に係る関係副大臣会合」があったようです。その提言に「現段階では、政府の統一的な危機管理対応官庁の創設等、中央省庁レベルでの抜本的な組織体制の見直しを行うべき積極的な必要性は直ちに見出しがたい。」とありました。既に私が言っているようなことも過去に検討されていたのです。何故、それが「組織の見直しは必要ないという結論になってしまったのか」分かりません。今回の対応を見ていると、場当たり的で、近視眼的で、何も考えていないのでは?と疑問を持ちましたが、そうではないのです。調べてみると考えてはいるので、残念でなりません。

危機管理体制は「不断の見直しと改善が不可欠」です。そして時代にあったより良い危機管理体制の構築を目指していく必要があります。であれば関係副大臣の会合での提言にあった「今は必要ない」ではなくて、平時から危機管理を考える総合的な「危機管理官庁」が必要になるのです。

3について、意外と大事なのが、各省庁、都道府県、市町村における平時の「危機管理意識の醸成」です。これが無いから、もしくは足りないから、いざという時に組織や仕組みを生かせず、後手に回ってしまうのだと思います。

ディズニーでも力を入れているように「安全は全てに優先される」、日常の意識づけ、行動が大事だと思います。

 

第2次補正予算を見ますと、私がここで取り上げてきたものも、盛り込まれており、項目としては納得できるものになっています。一部、力の入れ方の違いはありますが、後はスピード感を持って実行することにつきます。東日本大震災の時も初めの3ヶ月は色々動いていたのですが、その後4ヶ月目以降失速し始めました。今までの安倍さんを見ていると、また国会が閉会したと聞くと、口先だけの安倍さん になるのか心配です。他人任せにするのではなく、ご本人が本気になって陣頭指揮を執って欲しいと思います。

政府の発表にあるように、「社会・経済活動を段階的に引き上げてコロナ時代の新たな日常を創り上げる」との方針は当然のことです。新型コロナの第2は第3波のためだけでなく、このような新たなウイルスがまた発生する可能性が十分にありますので、政府の危機管理体制の構築を急がなければなりません。ただ、勘違いして欲しくないのは「3密を避ける、マスクをつける、手の消毒をする」ことが常態化するのではなく、いずれは特効薬・ワクチンの開発をし、自由な生活に戻すことが前提です。そうでなければ、企業・生活が委縮し、経済も上向くことができません。

政府が緊急事態宣言を出す際の根拠になった新型コロナウイルス対応の「特別措置法」についてある新聞がアンケートしたところ、7割の知事が「改正が必要」と答えたとありました。また改正内容として最も多かったのは「休業要請・指示に対する補償規定」とありましたが、私は当たり前だと思います。当初、全くその話がありませんでした。外出の自粛や休業要請をしておいて「補償が無い」のは片手落ちで、休めは売上が無くなるということ、結果として生活ができなくなるということ、これを強制するなら当然補償が無くてはならないのに、ここが曖昧でした。東京都のようにお金があるところは次々と独自の手が打て、他の県はなかなか都のような手が打てず差がつくのはおかしいのです。私がブログで色々書き始めたきっかけは。これを言いたかったからです。

そして、もう一つ私が改正して欲しいことがあります。

特措法は首相が緊急事態宣言を出すと外出の自粛や店舗、施設の休業要請・指示など国民の私権の制限も可能になるのですが、「宣言の対象区域の指定は首相の権限」である一方、「具体的な措置は都道府県の知事が定める」となっています。それでいて「休業要請は国との協議」とあり、曖昧です。知事が出す休業要請・指示に従わなくても罰則はなく、休業に伴う補償の規定は定められていないのです。

私は「宣言の対象区域の指定は首相の権限」も、「具体的な措置」も首相の権限で定めるべきだと思います。このような緊急時、非常時に都道府県がバラバラに動くのではなく一斉に動かなければなりません。国は?都は?大阪は?他の県は?と休業補償も対応も市町村で違い(東京都と神奈川県が隣り合わせになっている地域で片方は解除、片方はまだアラートが続いている)混乱していました。大きいところは国が決め、都道府県で微調整するイメージです。

 

【 私が考える危機管理のポイント 】

 

最後に「最悪を考えない危機管理には限界がある」と私は考えています。

 

オリエンタルランドでも地震対策マニュアルを作成した時も「震度6強、関東直下型時地震、パークには11万人のゲスト、キャストが1万人、死者も出た時、ゲストをパーク内に泊めた時・・・」と色々なシミュレーションをし、その場合はどうしたら良いか考え作成しています。(ただ、東日本大震災はシミュレーションの枠を超え最大震度7を観測しています。)20年以上前の話ですがその時に「トリアージ」という言葉を知りました。

 

また、「国民・被災者(感染者)の心理的不安に寄り添う」ことです。生活できるのか、仕事ができるのか、将来どうなるのかという不安です。その不安解消無くして経済再建、再開はありえません。

 

今回、ダイヤモンドプリンセス号の対応までの対策は、意見の違いがあるものの、大きな問題は無かったと思います。問題は新型コロナウイルスが世界的なパンデミックと言われ始め、日本でもじわじわと増え始めた時に初期対応ができなかった、遅ればせながらの対応も拙かったことです。クライシスマネジメントの重要性を理解していない人ばかりがそこにいたということです。このような非常、緊急事態を上手く切り抜けられるかは「初期対応」で決まります。初期対応が上手く行くか行かないかは「日常の危機管理教育訓練による意識づけ」と「危機管理体制」が瞬時に築けるかです。

 

今回のコロナウイルスには当てはまりませんが「災害現場の近くに対策本部を設置する」ことです。「全ての答えは現場にあります」ので瞬時に方針、対策を打ち出したら、即実行です。緊急時は初めてのことが多いので違ったらすぐに修正しなければなりません。その為にも現場近くに対策本部を設置する必要があるのです。

 

「広報活動」も重要です。国民は「正しい情報」、それに基づく「適切な対応」を求めます。東日本大震災の時も今回も正確な情報がわかりませんでした。また、このような時は色々な情報が錯綜しますので、国民の混乱、不安の増長を防ぐためにも情報の一本化を図る必要があります。

 

令和2年6月27日

 

 

 

 

新型コロナウイルス感染症、今後の対応

 

 

「今回のコロナウイルス感染症」は「危機的自然災害」と認識することから始まります。

 

 

私が見聞きし、感じる限りでは、多くの人にこの意識がありません。自分は罹らないであろうという思い込みと変な自信、これが怖いのです。これが感染拡大に繋がっていきます。感染を広げているのです。

ある弁護士有志は、この「コロナ禍は災害」として災害対策基本法など災害法制の活用、応用で公助促進を図ったらどうかと訴えています。災害対策基本法を調べてみますと、第一章総則、第二条に災害、暴風、竜巻、豪雨、豪雪、地震津波、噴火他省略、その他の異常な自然災害・・・とあります。この「異常な自然現象」にこのコロナ禍が当てはまると見ているのです。そうすれば、激甚災害法の災害特例を適用でき、経営者は従業員を解雇せずに休業、労働者は雇用保険基本手当を受給できます。また、一律10万円の給付金も災害の損害補償とすれば収入に算入されません。平等原則や申請主義に拘泥し、手遅れになりがちな行政対応を迅速にできるという提案です。私は元々、このウイルス対策をクライシスととらえていましたので、大いに納得できます。

 

コロナウイルスと聞いて、皆さん、覚えていますか。

 

直近ではサーズSARS)2002年、やマーズ(MERS)2012年、あれもコロナウイルスです。そして、サーズは「重症呼吸器症候群」といわれ、マーズは「中東呼吸器症候群」、そして今回も「急性呼吸器症候群」です。私にはコロナウイルスのことはよくわかりませんが、共通するのが「呼吸器症候群」、この20年の間に3回も形を変え人間を襲ってきているのです。目に見える大きな被害を被った「阪神淡路大震災」「東日本大震災」のような目に見える災害と違い、ウイルスは目に見えません。しかし、ジワジワと経済活動に影響し、違う意味で生活を脅かし、精神的にも肉体的にも被害を与えていきます。その被災状況は「世界規模であり、甚大だ」と言えるのですが、被害の大きさが想像できません。いえるのはこのウイルスに効く特効薬やワクチンがまだ開発されておらず、今も、そして今後も被害が増え続けであろうということです。

このことは「未曾有の自然災害」と皆が認識し、東日本大震災以上のクライシス(危機)と捉え、次に向けての体制を築く必要があると私は思っています。

 

政府が今、一番しなければならないこと、それは「危機管理体制」の再構築です。

 

今この新型コロナウイルスが収まる気配を見せ始めていますので、ああ、良かったと安心するのは構いませんが、この4ヶ月の検証、課題の抽出、次に起きた時の対策を講じておく必要があります。

前のブログで、政府の危機管理の体制についてはよく考えられているといいましたが、

私はさらに今後を考え、現在の政府の危機管理体制で欠けていると思われる2つの提案をしました。

  1. 危機管理部署を設置し、省庁に格上げする。日本は災害列島と言われるくらい災害が多い国、平時より対策を考え、各市町村に至る迄の緊急時の対策を考えておく。
  2. 日本版FEMAアメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁)のような、緊急時の権限を持ち、各省庁から人材を送り込み、各省庁との横断的なパイプを作り、縦割り組織の弊害を改めた組織を作る。各省庁、都道府県、市町村に至る迄「危機管理部署」の設置し、統轄する。
  3. 危機管理意識醸成のための教育と訓練を平時より実施。
  4. 危機管理意識の醸成と能力の強化、専門家の育成。

意外と大事なのが、各省庁、都道府県、市町村における平時の「危機管理意識の醸成」です。これが無いから、もしくは足りないから、いざという時に組織や仕組みを生かせず、後手に回ってしまうのだと思います。

 

特に、今回は多くの方が感じているように安倍さんの対応に問題があったと言えます。「初期対応が後手に回ってしまった」理由として、「中国の習近平国家主席の来日調整」と「どうしても東京五輪をやりたくて思い切った対策を打てずにいた」が挙げられます。緊急事態宣言を発令した日から遡って、3週間以上前に特措法が改正されています。それなのに何故改正された時に宣言を出さなかったのでしょうか。そして、専門家の意見も聞かず(これは私の勝手な思い込みですが^^)「突然の一斉休校」、あれには教育現場も共働きの世帯も大困りでした。さらには語り草になった「アベノマスク」、「閣議決定した減収世帯への30万円給付が突然全世帯10万円の給付に」、安倍さんはスピード感をもってと必ず言いますが、マスクは先週、給付金は6月半ばを過ぎても届かない始末です。おまけに、4月に入ってからは「専門家の意見を聞いて」「党の意見を聞いて」と責任を回避するような言い方になり、役人が書いた原稿をただ棒読みするようになってきました。自分の言葉で発するというのは「危機管理のリーダーの定石」です。

この一連の対応を見ていて、今まで独断的、強権的であっても安倍さんなら野党よりましだ、外交で成果を上げいるじゃないか、と思っていた方々も、「もういい加減にしてよ」「安倍さん大丈夫か」と思い始めたのではないでしょうか。国家の危機には本来、リーダーへの求心力や期待値が高まるはずですし、安倍さんには強いリーダーシップを期待していた方も多かったと思いますが、残念な結果となってしまいました。

 

ただ、安倍さんは省庁の縦割り組織で対応が遅れた阪神淡路大震災の教訓、東日本大震災での指揮命令の混乱を参考に「首相直属の国家安全保障会議NSC)創設」し、「危機に強い政府」作りに意欲を示しているようにも見えました。また、首相を支える内閣官房は政策の立案や省庁間の調整を担う「分室」があるのですが、省庁再編時に5つしかなかったものが40に増え、定員も1200人と3倍になりました。それなのに、この有事を前に組織や仕組みを上手く使いこなせなかったのです。

 

この新型コロナウイルスの緊急宣言は解除され、この6月19日には東京アラートのステップ3も解除されました。しかし日本の危機、いや世界の危機は終わっていません。国民や企業が安心して活動を再開し、経済を再生軌道に乗せるためには、まず、今やるべきこと、やろうとしてできなかったことをしなければなりません。つい、1か月ほど前までは盛んに今後の対応が言われていたのですが、緊急事態宣言が解除されたら、喉元過ぎて熱さ忘れてしまったのでしょうか、言い出す人が少なくなりました。災害大国日本、災害が起きるたびに「忘れてはならない」というのですが、同じ失敗を繰り返してきています。

 

今政府がすべきこと 

 

政府は以前のような「安心して働ける環境に戻す具体的なビジョン(近い将来のあるべき姿)、ビジョン達成のための方針・目標」を示すべきなのです。今回上がった数々の問題点をまず解決し、最終的には新型コロナウイルスに効く特効薬・ワクチンが開発され、世界中に供給されることです。目標には年内で達成すべき短期的な目標と年度を跨ぐ長期的目標がありますが、各省庁の衆智を集めてこれらを整理し、プライオリティをつけるのです。

これができたら早急に国民に開示、これを強力なリーダーシップのもとに遂行して行きます。国民も目標達成に向けて行動するのです。そうすれば近い将来、3密、マスク、ソーシャルディスタンスも解消され、人の行き来が自由にできるようになり、経済も元に戻せます。

 

あえて、今、しなければならないことを私なりに書き上げてみました。

これらは全てこの4ヶ月に問題としてマスコミに取り上げられていたことです。

 

 

1、新型ウイルスに備えた「検査・医療体制」の構築

17年ほど前の「SARS重症急性呼吸器症候群」、あれも中国からで「非定型性肺炎」といわれ、コロナウイルスでした。ただ、今のように人から人への感染ではなく発症前の潜伏期間の患者は感染源にはならないということで、規模も小さく8000人を超える症例、死亡者は812人で終息しています。当時、私がいたOLCでは「海外渡航を禁止」した上で、厚生労働省や千葉県の指示に基づき、手洗いやマスクの着用、消毒は当然のことながら、ガイドラインを作成、ゲスト対応していました。今回も再開後の新型コロナウイルス感染対応マニュアル」を作成中、また、パーク運営の準備中とも聞いています。

また、OLCではその時々の非常事態には、必ずといって良いほどマニュアル化され、システム化され同様の危害が起きた時のために残しています。これを機会に次に備え、国としても各自治体と連携して「医療・検査体制」を整えて欲しいと思います。

 

ただその前に、急がなければならないのは特効薬、予防ワクチンの開発です。このワクチンが無いために大掛かりな予防策を講じる必要がありました。既に米国ではウイルスを無力化できる「モデルナ(moderuna)という、通常1~2年かかる新型コロナウイルスワクチンを来年の1月には実用化しようと動いています。また世界では100以上の候補があるそうです。

5/26の新聞に「国産ワクチン7月治験年内実用化狙う」とありましたが、

日本でもこの開発に力を入れ、資金援助をする必要があると思います。

新型コロナウイルスが死滅する紫外線照射装置なんて言うのもあるそうですが、どんなものでしょうか。

 

【 検査体制構築 】

今回特に大きな問題となったのはPCR検査です。

WHOは「感染拡大を低下させるためには、可能な限り数多くのPCR検査を実施しなければならない」と呼び掛けているのに、検査数が伸び悩みました。

・新規感染者は減っているが、窓口となる保健所の業務は逼迫状態。

・受けたくても、医師が不要と判断すれば受けられない。

・検査体制の場所も感染防護服などを備えた医療機関に限られる。

このまま第2波が来たら完全に医療崩壊を招きかねないと指摘されています。

 

PCR検査の少なさはOECD36か国中下から2番目で、1000人あたり、イタリアで29.7人、アメリカで16.4人、お隣韓国でも11.7人、日本は1.8人、あまりにも少な過ぎます。4/24に厚生労働省クラスター班の西浦北大教授は「今の患者数は氷山の一角、10倍を超える患者がいる」、また5/11、専門家会議の尾身副座長は「患者数が多いのは間違いない、それが10倍か15倍か誰もわからない」といっています。なぜ、PCR検査が受けられないのか。ある資料の中に「検査難民」という言葉がありました。私の身近な人からも、PCR検査を受けたいと病院に相談したら、それは保健所で、保健所に電話したらまず病院でとたらい回しにされたとか、そもそもPCR検査はどこで受けられるのか分からない、調べたら保健所らしい、さらに「帰国者・接触者相談センター」とあるけど、ここで良いのか不安になったとのこと。確かにPCR検査を受けたいと思っているのに「帰国者・接触者相談センター」というネーミングもどうかと思います。その後、3月上旬にはPCR検査が保険適用になり、保健所を通さなくても良くなったようですが、これはこの4月、5月の話です。先日ノーベル賞受賞した山中伸弥教授は「PCR検査は大学、研究所を生かしたら10万件はできる」とおっしゃっていました。日本でPCR検査が少なかったのは保健所行政に頼ったためだとも指摘されています。山中教授も仰っていましたが、大学、研究所のみならず民間の病院をもっと活用して、横断的に柔軟な組織の活用をしたいものです。当然、それに合わせた「検査キット」も必要になります。

 

【 医療体制の整備・拡充 】

どうしてもハード面やワクチン開発に目が行ってしまいますが、第2次補正予算では、先端で苦労されている医療や介護にあたる人への支援も盛り込まれていました。これによると、「医療従事者への慰労金は新型コロナ患者を受け入れている医療機関PCRセンターなどに勤務する医療職らに最大20万円を支給する。患者を受け入れていない医療機関の医療職らも感染リスクがあることを踏まえて5万円支給する。さらに介護や障害福祉の現場で働く人を対象に、最大20万円の慰労金を支給する」となっており、これはこれで良いのですが、ここにきて、急に大盤振る舞いの感じがします。やはり支持率低下が効いたのでしょうか。

 

特に、病床の確保・拡充については前述したとおり、政府は3万床確保できると言っていましたが、3万床が正しいのかの検証と重症者、中症者、軽症者の程度や状況により、自宅隔離、ホテル隔離、病院(一般、ICU)の病床確保をしなければなりません。仮に3万床確保だとすれば、今回の政府の対応は全く不足していると言えます。これに合わせて医療用マスクや防護服など高度な感染防護が必要な医療資器材の充実もしなければなりません。また、感染防止対策も地域によって、かかる先生によって対策が違うのではなくマニュアル化しておく必要があります。6/5の日本経済新聞に「コロナ患者の情報共有進まず、ルール統一して転院可能に」とありました。国、自治体で2000以上の決まりがあり、個人のデータが共有されず、患者の治療に支障をきたしているというのです。2011年の東日本大震災の時も同様の問題があったが、対応が先送りにされてきたというのです。このような事実を知らされると本当に日本はデジタル化に後れを取っているんだなと実感します。

 

2、迅速な支援・補償体制

 

日本は借金大国1,103兆円を超える借金があります。日本人一人あたり871万円

になります。大盤振る舞いをして、将来に禍根を残すのではないかという声も聞

かれます。安部さんが首相になった時の国の借金が958兆円(2012)、昨年までに、いつの間にか145兆円の借金が増えています。

この問題は今回、関係ありませんが、私は今、借金が増えても、早くこの停滞モードから脱却して以前の活力を創り出すことが先決だと思います。その後に、自助努力をして国を挙げて借金を返していくしか方法はないと思います。ご存知のように日本企業の割合は大企業0.3%、中小企業99.7%です。この中小企業を救わなくて日本経済の再建はありえません。また国民の消費意欲を高めるには給付金、補償金が必要なのは明白です。例の国民に一律10万円の特別定額給付金は総額約12兆6千億円になります。その他、挙げられているのは先ほど挙げた持続化給付金(中小企業200万円、個人事業100万円)、雇用調整助成金、特別家賃給付金、その他日本政策金融公庫のセーフティーネットや各地方公共団体の支援金、補助金、協力金等、日本の将来の先行投資も含めて支援・補償に使うべきです。今の日本の体力なら可能です。よく言われる「ピンチはチャンス」、このコロナ禍で学んだことを政治、経済、社会を変える機会にして行きましょう。そして、何度か申し上げましたが、其々の基盤づくりに必ずやらなければならないのは「デジタル化」です。

スイスのビジネススクールIMDの「世界デジタル競争力ランキング19」を見ますと日本は63国中23位です。欧米諸国、アジア諸国がランキングの上位にありシンガポール、香港、中国、韓国にも後れを取っています。はっきりデジタル後進国ということが言えます。また、5G移動通信システムにおいては韓国三星が優位でしたが、6Gにおいては韓国、中国が先行しています。日本はガラパゴス化の傾向があるのでしょうか、この双方においても出遅れています。

 

今回の緊急事態宣言の要諦は国民に対する「外出自粛要請」「休業要請」の二本立てになっています。人が動かない、お店が開かない、イベントやショー、全ての活動を休めということは全ての経済活動が滞ることになりますので、遊興施設、各種スクール、運動、遊戯施設、商業施設、食事提供施設、医療施設、宿泊施設、交通機関、金融機関等、あらゆる分野での売上・客数減少を招くことになります。

また、居酒屋に見られるような曖昧な「営業自粛要請・・・営業時間を午前5時から午後8時まで、アルコールの提供は7時まで」はどう解釈したら良いのでしょうか。レストランや居酒屋は夜が勝負、今まで朝5時から営業している店などありません。売上が8割減、9割減という声があちらこちらから聞こえてきます。他にもいわゆる「密集、密接、密閉」の3密空間にある業種は要請されていなくても営業自粛に追いやられました。「協力依頼」・・・感染防止対策、施設の使用停止、開催停止、営業時間短縮等という要請は、何をどこまでどのようにしたら良いのか分からず、個別の企業判断が求められ、各企業に混乱を生じさせたのは事実です。緊急事態宣言は⇨「外出自粛要請」「休業要請」⇒「売上・客数の減少」⇒「企業の存続可否」に繋がり、特に大きな資金を持たない中小企業にとっては大打撃なのです。中小企業99.7%の日本なのです。中小企業は資金力に乏しく、私の知っている限りでは1ヶ月からせいぜい3ヶ月、持ちこたえるのがやっとのお店や企業が大半です。これに従う企業の支援策、救済策無くして、コロナ後のV次回復どころか、今後の日本経済は成り立たなくなるのは目に見えています。私は「『外出自粛要請』『休業要請』と国民や企業への『支援策』は両輪だ」と何度も申し上げてきました。このことは政府も、地方公共団体も分かっているはずなのに、支援の手が不十分に見えます。他の国を見てみますとイギリス、アメリカ、ドイツ、他経済対策(補償)については打つ手が早かったと思います。日本は第1次補正予算が4月、第2次補正をこの5月と後れを取っています。特別定額給付金(一律10万円)、持続化給付金(中小企業200万円、個人事業100万円)、雇用調整助成金、アベノマスクも未だ届きません。(5/20現在)緊急事態は打つ手が早くないとどんどん悪化して行きます。このコロナ禍、終息を迎えるのではなく、第2波、第3波と長く付き合っていかなければならないのです。この中小企業の救済無くして経済の再生は考えられません。私はトランプさんに協力して戦闘機やイージスアショアを購入するのに何兆円も使うなら、こちらの方に少し回してもらえないかと安倍さんにお願いしたくなってしまうのです。

 

【 5/20時点の新聞情報 】

   ・政府系機関の融資急増・・・申し込み48万件超、28万件貸出決定済み

                 中小企業資金繰り深刻

ホテル旅館などのサービス業中心から、最近

では自動車、鉄鋼などの下請け企業が目立つ

    日本政策金融公庫・・・「新型コロナ関連融資」

               46万件のうち27万件貸出決定

    商工組合中央金庫・・・「危機対応融資」

               2万件の内8千件決定

   ・雇用調整助成金

      スピード化を図るため、ネット申請でOK、

      相談件数5/13時点で32万件超

実際の申請は2万5千件

支給決定は1万2千件

       ※早くと言っても、未だ支給決定は相談全体の3.75%、窓口で諦めている

現状が浮かんできます。

 

5/25午後6時、安倍首相が首相官邸で記者会見を開き、緊急事態宣言を全国で解除すると表明しました。

【 要旨 】 

オールジャパンで圧倒的な量の資金を投入し、日本企業の資金繰りを全面的に支えて参ります

 ・雇用調整助成金も15000円まで特例的に引き上げます。

 ・家賃負担の軽減、最大600万円の給付金を創設します。

 ・持続化給付金は本年度創設したばかりのベンチャー企業にも適用します。

・地方創生臨時交付金は1兆円から2兆円に増額して3兆円にします。

・バー、ナイトクラブ、ライブハウスにも感染防止策として上限200万円の補助金を出します。

これらは安倍政権の1丁目1番地、日本経済の立て直しと同時に「感染予防」の徹底をお願いしたい」

 

それにしても、動きが悪いと思っていましたが、このような案が出てきたのは、やはり、コロナ対応での民意の安倍自民党離れを感じているからなのでしょうか。細かいところは記者会見で発表されていませんでしたが、私が昨日見た自民党の第2次補正案を見ますと、私が取り上げてきました問題点についても盛り込まれていました。後は、スピード感の問題です。東日本大震災の時も初めの3ヶ月は復興会議を含めて色々動いていたのですが、その後4ヶ月目以降失速し始めました。今までの安倍さんを見ていると、口先だけの安倍さん になるのか心配です。他人任せにするのではなく、ご本人が本気になって欲しいと思います。

そして「社会・経済活動を段階的に引き上げてコロナ時代の新たな日常を創り上げる」との方針は当然のことです。新型コロナの第2は第3波のためだけでなく、このような新たなウイルスがまた発生する可能性が十分にありますので、政府の危機管理体制の構築をお願いしたいと思います。ただ、勘違いして欲しくないのは「3密を避ける、マスクをつける、手の消毒をする」ことが常態化するのではなく、いずれは特効薬・ワクチンの開発をし、自由な生活に戻すことが前提です。そうでなければ、生活が委縮すれば、経済も上向くことができません。

 

政府は5月27日に第2次補正予算を成立させました。それは事業規模で117兆円、真水と言われる政府の支出は32.9兆円です。補正予算としては過去最大となります。

 

第2次補正予算、政府支出の内訳を見てみますと

・資金繰り対策の強化(実質無利子、無担保融資)・・・11兆6390億円

・緊急包括支援金(病床の確保、人工呼吸器の整備、地域の医療体制強化)

  ・・・2兆2370億円

・医療用物資確保・・・4379億円

・治療薬ワクチン・・・2055億円

・ひとり親世帯支援・・・1365億円

・大学授業料減免・・・153億円

・教員、学習指導員追加配置・・・318億円

・学校感染症対策・・・421億円

・休業支援金制度・・・5400億円

・家賃支援給付金・・・2兆242億円

・持続化給付金・・・1兆9000億円

雇用調整助成金雇用保険未加入者分)・・5000億円                                                             

雇用調整助成金雇用保険加入者分)・・・1兆1000億円

・地方創生臨時交付金増額…2兆円

・芸術家、アスリート支援・・・560億円

 

となっています。(注:この補正予算については新聞、TVとも若干の相違があり、どこまで含めるのか各社で考え方が違うようです。例NHK・・・第1次補正予算25.6兆円、第2次補正予算31.9兆円)

 

内容は「資金繰り対策の強化」に多くが割かれています。

次に大きいのが、予備費10兆円。です。従来は多くても5000億円とも言われていましたから、使途がわからないままの予備費の多額さに疑問が集中しました。感染状況が見通せない中、不測の事態に備えたいのはわかりますが、このような体質だから借金がいつの間にか増えてしまうのでしょう。今回新たに設けられた給付金が「家賃支援給付金」、売上が減少したテナント出店者に1か月あたり100万円(法人の場合)を上限に、支払い家賃の一定割合を支給するというもの、これは休業要請をした時点からの事業者の声を吸いあげたもので、私の周りからは歓迎の声が上がっています。また、雇用調整助成金も上限額が引き上げられました。今回の補正予算は中小事業者、又生活者の補償、支援の側面が多くみられ、第1次補正予算の不備を補うもので、予備費以外は納得できる内容になっています。ただ、国会審議やり取りの中で、どさくさに紛れて、国民の税金を食い物にしている役人の答弁を聞いて悲しくなります。それでも緊急時ということで成立しましたが、許せることではありません。

 

因みに第1次補正予算25兆6000億円の内訳です。

 1、感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発・・・1兆8000億円

新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金・・・1490億円

PCR検査機器整備、病床、軽症者等受入れ施設確保、人工呼吸器等の医療整備、応援医師派遣への支援等)

医療機関へのマスク優先配布・・・953億円

・人工呼吸器、マスクの生産支援・・・117億円

・幼稚園、小学校、介護施設等マスク配布など感染拡大防止策・・・792億円

・全世帯へのマスク配布・・・233億円

・アビガン確保・・・139億円

産学官連携による治療薬等の研究開発・・・200億円

・国内におけるワクチンの開発支援・・・100億円

・国際的なワクチン研究開発等・・・216億円

新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金・・・1兆円

2、雇用の維持と事業の継続・・・19兆4905億円

雇用調整助成金の特例措置の拡大・・・690億円

・中小・小規模事業者等の資金繰り対策・・・3兆8316億円

・中小・小規模事業者に対する新たな給付金・・・2兆3176億円

・全国全ての人々への新たな給付金・・・12兆8803億円

・子育て世帯への臨時特別給付金・・・1654億円

3、次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復1兆8,482億円

(Go Toキャンペーン事業、新型コロナリバイバル成長基盤強化ファンドの創設)

4、強靭な経済構造の構築・・・9172億円

サプライチェーン多元化等支援事業・・・2200億円

・海外サプライチェーン多元化等支援事業・・・235億円

・農林水産物・食品輸出力・国内供給力の強化・・・1984億円

GIGAスクール構想の加速による学びの補償・・・2292億円

公共投資の早期執行のためのデジタルインフラの推進・・・178億円

・中小企業デジタル応援隊事業・・・100億円

5、今後の備え(新型コロナウイス感染症対策予備費・・・1兆5000億円

6、国際整理基金特別会計へ繰入・・・1259億円

 

私が気になるのはやはり予備費です。私は日本の経済の基盤である中小企業の支援・助成、国民への給付金、将来への投資のために貴重な税金を使うのはやむを得ないと思っていますが、1次でも1兆5000億円の予備費、2次では10兆円の予備費これはいくら何でもやり過ぎではないかと思います。これ全て国の借金です。またこれからの日本の経済回復を考えた時に、治療薬、ワクチン開発に欠けるお金が低すぎること、また新たな産業が育っていない日本の経済基盤を考えると国際競争力に不可欠な、デジタルインフラにかけるお金があまりにも低すぎると思います。本当に日本の将来を考えているのでしょうか。サプライチェーンは各企業の仕事と割り切り、この予算をデジタル化推進に回して欲しいと思います。これを見ていると今まで予算付けできなかった事業がこれを機会に息を吹き返したように見えます。

 

次回は、危機管理の纏めに入りたいと思います・・・

日本の危機管理体制って・・・どうなっているんだろう!?

 

ここには本来内閣で作成した「危機管理体制」の図が入る予定でしたが、私のワードにはコピーできたのですが、こちらにはコピーできませんでした。分かり難くて申し訳ありません。もし興味があれば、

◎ 我が国の危機管理体制について

国家安全保障会議の創設に関する有識者会議」第2回説明資料

◎ 内閣の危機管理について

                      を検索して参考にしてください。

文章偏はコピーできましたので、そのまま記載します。

内閣官房副長官補(事態対処・危機管理担当)の下では、国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生じ、又は生じるおそれがある緊急事態への対処に関連する重要施策などの企画及び立案並びに総合調整を行っています。

緊急事態については、地震災害、風水害、火山災害等の大規模な自然災害、航空・鉄道・原子力事故等の重大事故、ハイジャック、NBC・爆弾テロ、重要施設テロ、サイバーテロ領海侵入武装不審船等の重大事件、核実験、弾道ミサイル新型インフルエンザの発生等、国民生活を脅かす様々な事態(PDF/125KB)が想定されます。そのため、平素からテロ対策の総合調整等を行い、関係機関相互の連携の下、適切な対応がとれるように取り組んでいます。  また、総理大臣官邸内の危機管理センターにおいて24時間体制で緊急事態に備えるとともに、事態発生時には、初動対処を実施(PDF/57KB)し、速やかな事態の把握、被災者の救出、被害拡大の防止、事態の終結に向けた対策の協議、政府の対応に関する総合調整等を行っています。

平成25年12月、内閣に我が国の安全保障に関する重要事項を審議する機関である国家安全保障会議が設置され、国家安全保障会議を恒常的にサポートし、平素から総理の意向を踏まえつつ、国家安全保障に関する外交・防衛政策の基本方針・重要政策の企画立案、総合調整を行うため、平成26年1月、内閣官房国家安全保障局が設置されました。

国家安全保障と危機管理は密接に関わるものであり、平素から、国家安全保障局と緊密に連携・協力して業務を行っております。

ですから、危機管理全般は内閣危機管理監、防衛・外交は国家安全保障局長が担い、密接に連携しています。

  

ここで重要な役割を果たす内閣危機管理監についてです。

《 内閣法15条 》  1998年内閣法によって規定

内閣危機管理監を一人置く

2、内閣危機管理監内閣官房長官、副官房長官を助け、命を受けて事務のうち危機管理(国民の生命、身体、又は財産に重大な被害が生じ、又は生じる恐れがある緊急事態への対処及び当該事態発生の防止をいう。)に関するもの(国の防衛に関するものを除く。)を統理する。

3、内閣危機管理監の任免は、内閣総理大臣の申し出により内閣において行う。

 

 【 内閣危機管理監の役割 】

緊急事態に対し、内閣として必要な措置について第1次的に判断

・初動の措置について内閣官房各部を指揮するとともに、自ら各省庁を総合調整

とあります。

 

 ここにも内閣で作成したわかり易い図がありましたが、消えてしまいました。

興味があれば、上記同様

◎ 我が国の危機管理体制について

国家安全保障会議の創設に関する有識者会議」第2回説明資料

◎ 内閣の危機管理について

                      を検索して参考にしてください。

 

簡単に説明しますと、

  1. 緊急事態発生
  2. マスコミ情報、民間公共機関、関係省庁より「内閣情報集約センター・・・24時間体制」に情報が集約される。
  3. 集約された情報が第1報として、内閣総理大臣内閣官房長官内閣官房副長官に、同時に「官邸危機管理センター・・・24時間体制」入る。
  4. 第1報が入った内閣総理大臣内閣官房長官内閣官房副長官の指示に基づき、内閣危機管理監内閣官房副長官補、危機管理審議官は官邸対策室、緊急参集チームを設置し、所管業務に応じた施策を立案。官邸対策室の室長は内閣危機管理監、また緊急参集チームの主宰は内閣危機管理監が行う。
  5. これらは、「政府対策本部」が設置されるまでの初動措置。

という流れになっています。

それでは、今回の政府の対策本部の組織はどうなっているのでしょうか。

 

新型コロナ対策本部

本部長: 内閣総理大臣

副本部長:官房長官 厚生労働大臣

       本部長が必要と認める大臣

構成員: 他の全ての大臣

《 主な任務 》

発生状況に応じた「基本的対処方針」を決定するとき、対策を総合的かつ強力に推進

 

特措法においては「基本的対処方針を作成するとき、

本部長は学識経験者の意見を聞くこととされている

基本的対処方針諮問委員会(通称;諮問委員会)

委員

有識者会議」の中から内閣総理大臣が指名

(医学・公衆衛生関係者等)

《 主な任務 》

内閣総理大臣の求めに応じ、「基本的対処方針」の作成の基本的考え方を取りまとめる

※政治ドットコム引用

 

よく記者会見で聞く「専門家会議」の位置づけはどうなっているのでしょう。

 

私には諮問委員会の位置づけと専門家会議の位置づけがよく分からなかったのです。

これは正式には「新型コロナ感染症専門家会議」と言い、2020年2月14日に新型コロナウイルス感染症対策のために設置されています。また対策本部内に置かれ、医学的見地から助言を行います。

 それではこの諮問委員会と専門家会議の役割の違いは何でしょうか。メンバーを見てみると専門家会議のメンバー12名がそのまま諮問委員会のメンバーに名を連ね、新たに4人の経済学者を中心としたメンバーが加わっています。諮問委員会の会長は尾身茂さん、緊急事態宣言の時にも席にいました。そして専門家会議の座長は脇田隆字さん尾身さんが副座長を務めています。諮問委員会は専門家会議の提言を基に経済学的な見地からまた感染症以外の社会的、経済的なリスクの意見を聞くための会のように見えます。

私には専門家会議と諮問委員会の役割がダブっていて、同じようなメンバーの組織体が2つあるように見えますので、私なら、一本に絞り、「対策本部、専門家会議」の組織にします。

対策本部の構成は総理大臣他各省庁の大臣で構成されており、其々の長として社会的、経済的な様々な知見を有していると思いますので、経済学者を入れた諮問委員会はいりません。仮に必要であれば、各大臣が各省庁に関係している専門家の声を聞けば良いのです。

 

以下、私が考える政府の組織案です。

今回、対策副本部長として、加藤厚生労働大臣と西村経済再生大臣がなっていますが、加藤厚生労働大臣の下に検査・医療体制の拡充整備する感染症対策チーム」を置き、西村経済再生大臣の下に企業・生活の支援、補償をする「経済再生支援対策チーム」を置き、新型コロナ対策が大前提ではあるものの、両面から攻めていくのは、どうでしょうか。

今回は、PCR検査の不足、病床不足、医療資器材の不足等様々な問題が浮かび上がりました。また各種支援、補償、給付、融資はあるのですが、実態は遅々として進まない現状があります。そういった課題を解決するためのチームで、ここに平時にはない権限を与えるのです。このチームが縦割り組織の弊害を無くし横断的に動くこと、また各地方公共団体との連携強化に努めるのです。多分、これに近い組織があると思うのですが、政府の方針・対策案発表とスピードアップを言いながら、中々進まない現実を見ると、各大臣に陣頭指揮を執ってもらいたいと思います。

 

また、各省庁の中に非常時のリスク・マネジメントを遂行する部署を設けておくこと、各省庁ではやることが全く違いますから、其々の専門家を育てておくことが肝要です。

さらにはそのリスク・マネジメント部署が絶えず時代に沿ったマニュアルの改訂作業をしていることです。マニュアルは一度作ったら終わりではなく、毎年新しい情報を基に見直され、最新のものに改訂されていかなければなりません。

そして、ここのメンバーが「感染症対策チーム」、「経済再生支援対策チーム」に入るのです。

 

文部科学省にはありましたので、他省庁にもあると思いますが、災害発生時に各省庁に「災害対策センター(災害対策本部)」が設置されること、そこはリスク・マネジメント部署が事務局として担っても良いと思います。そして、災害対策センター(災害対策本部)に紐つく形で都道府県との「連絡調整会議」を設けます。

そして各都道府県が対策本部を設けているのですから、各都道府県の意見を拾い上げ、全ての情報をここに集め、一元管理されていくのです。

 

その上で、各知事が対策本部長になり、各都道府県の「対策本部会議」が開催されます。各省庁からの方針のみならず、具体的な連絡事項・作業指示を速やかに実施に移すにはどうしたら良いのか具体策を講じていくのです。確かに、各都道府県は気候風土も違えば、県民性も違い、全てを同じように束ねるのは難しいのは当たり前です。ですから最終的には各市町村の対応が違っていても良いのですが、大きな方針のもと基本的なところは全員で守り、従わなければ、大きな災害には烏合の衆となり、無力化していきます。私には政府はただ、大きな方針を流すだけ、後は各都道府県で考えろという風に見えるのです。おまけに各都道府県によって財政の裕福なところ、逼迫していて余裕が無いところ様々です。政府方針に従えというなら、財政援助が必要です。今回もお金がある東京は他県に先駆けて緊急の対応策を打ち出していきましたが、他県は対策を打ちたくてもお金がありません。TV、新聞を始めとしたマスコミは政府や都がこういう緊急事態宣言、方針、救済策を打ち出したと常時報道します。すると、これを見聞きしている一般の私達は自分の住んでいるところも同じようになる、若しくはしてもらえると勘違いしてしまいます。特に協力金についてはよくわからないでいた方が多いと思います。政府は自分たちが方針を打ち出したら、後は黙っていても現場(各都道府県)がやると大いなる勘違いをしていたように思います。例の4月に給付予定だった10万円のオンライン申請についても、相次ぐ休止騒ぎがありました。政府としてはなるべく早く給付しようとしたのでしょうが、システム整備ができていなかった自治体があり、政府が言いうデジタル化が上手く進んでいなかったことが浮き彫りになりました。オンラインの申請データを紙に印刷し、住民基本台帳の受給権者リストと目視で照合せざるを得ない事例が続出しています。ですから、私が言う各省庁と各都道府県を結ぶ「連絡調整会議」が必要になってくるのです。会議の名称はどうであれ、打ち出した方針や対策が上手く末端まで伝わるための、また現場における様々な問題点を吸い上げる会議体です。今回の各対策の不備も普段各省庁と都道府県が密に連絡を取り合っていれば、このような問題が起きなかったはずです。緊急時はさらに机上だけでなく、走り回らなければ乗り切れません。そのための現場との調整の場です。問題を吸い上げ、その場で解決し、その問題点を共有し、他部署に生かすのです。もしかしたら方針そのものを変えていく必要があるかもしれません。現場は動いていますし、生きています。前回の東日本大震災の時もそうでしたが、なんでも後手に回ってしまうのは、各省庁(経営トップ)と各都道府県(現場)のパイプが細いか、分断していることも一因なのだと思います。

 

また、国の省庁と都道府県のパイプを太くし、目詰まりを防ぐことと同様に、各都道府県と各市町村のパイプも強化しなければなりません。それには「災害対策本部」を末端の市町村に至る迄置く必要があります。国が出す一つの方針、対策案が末端まできちんと伝わり、実施されるか否かが重要で、そのためには省庁、都道府県、市町村其々の単位において、縦の組織だけでなく横断的な横の組織の情報も入り、連携、調整がなされなければなりません。そのために、緊急時の「連絡調整会議」は欠かせないのです。

 

マスクが届かない、給付金の申請すらできない、という状況が作り出されているのに、政府が何も手を打てていないのは、緊急時の密なる体制が未だに出来ていないからだと思います。至急対応するといっても、「どうせ口先だけだ」「いざという時の政府は役に立たない」とあきらめに似た気持ちを国民の多くが持ってしまっています。緊急事態宣言が解除された今、次なる緊急時に備え、省庁の縦割りの弊害を無くし、また省庁と各都道府県、各都道府県と各市町村の密なる体制が築く必要があります。この巨大なお役所の体制を円滑に進めるには「オンライン化」は早急にすべきであって、これなくして業務のスピード化は図れません。国家公務員64万人、地方公務員286万人、合わせて350万人(10年前の古い資料で申し訳ありません)、これだけの巨大組織を動かすには事務の簡素化、合理化は避けて取れません。緊急時には1億2千6百万人が一つの方針に従い、一つの方向に向かい協力し合い、助け合わなければなりません。それも瞬時に行動することが求められます。

 

 

 

 

 

 

『 私が考える350万人公務員を動かす緊急時の組織 』

私のブログに関する知識が足りないからでしょうか。組織図を作成し載せたのですが、駄目でした。残念!!分かり難くてすみません・・・

 

対策副本部長         対策副本部長

加藤厚生労働大臣        西村経済再生担当大臣

各省庁対策本部           各省庁対策本部

連絡調整会議            連絡調整会議

 

 

 

都道府県            各都道府県

対策本部長(知事)        対策本部長(知事)

都道府県対策本部          各都道府県対策本部

連絡調整会議             連絡調整会議

 

 

 

 

 市町村               市町村

対策本部長(市町村長)      対策本部長(市町村長)

市町村対策本部            市町村対策本部

 

 

 お役人350万人をスピード感をもって動かすには「オンライン化」が不可欠

 

 

私の勝手な危機管理組織図を見ただけでも、国の公務員350万人の組織体を動かすというのは大変だとわかって頂けると思います。おまけに迅速でなければなりません。

 

有事の際の、「政府の危機管理組織」はあるのです。

それが何故、阪神淡路大震災の時、東日本大震災の時、そして今回も歴代政権下において、機能していないのでしょうか。特に今回のような、目に見えない災害による精神的、肉体的ダメージ、もっと大きいのは長期における経済破壊をもたらすということです。

過去においてはペストや、コレラ天然痘によって国が滅びた例もあるようです。これを早期に終息させるためには政府も、国民ももっと本気になり、取り組む必要があります。

 

安倍さんは常々「政治は結果が全て」と言ってきました。

政権は「国民の命と財産を守る」のが仕事です。それが今こそ問われているのです。

 

色々書いてきましたが、纏めてみますと私からの提案は2つです。

  1. 危機管理部署を設置し、省庁に格上げする。日本は災害列島と言われるくらい災害が多い国、平時より対策を考え、各市町村に至る迄の緊急時の対策を考えておく。日本版FEMAアメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁)のような、緊急時の権限を持ち、各省庁から人材を送り込み、各省庁との横断的なパイプを作り、縦割り組織の弊害を改めた組織を作る。各省庁、都道府県、市町村に至る迄「危機管理部署」の設置し、統轄する。
  2. 危機管理意識醸成のための教育と訓練を平時より実施。

   危機管理意識の醸成と能力の強化、専門家の育成。

 

こう書いている中、調べてみますと、平成27年に「政府の危機管理組織の在り方に係る関係副大臣会合」があったようです。その提言に「現段階では、政府の統一的な危機管理対応官庁の創設等、中央省庁レベルでの抜本的な組織体制の見直しを行うべき積極的な必要性は直ちに見出しがたい。」とありました。既に私が言っているようなことも検討されていたのです。何故、それがこのような結論になってしまったのか、分かりません。今回の対応を見ていると、場当たり的で、近視眼的で、何も考えていないのでは?と疑問を持ちましたが、調べてみると考えてはいるのです。それが考えては止め、考えては止めの繰り返しになっているので、残念でなりません。

政治家は4年、6年で信を問われますので私が在任中には余計な仕事はしたくないという心理が働くのでしょうか。そうであったら悲しいことです。

危機管理体制は「不断の見直しと改善が不可欠」です。そして時代にあったより良い危機管理体制の構築を目指していく必要があります。であれば関係副大臣の会合での提言にあった「今は必要ない」ではなくて、平時から危機管理を考える総合的な「危機管理官庁」が必要なのです。

 

私のブログは書いているとどんどん、あれもこれもと広がっていき、ついつい長くなってしまいます。そろそろ次はこの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の最終化にしたいと思っています。

新型コロナウイルス感染症対応に見る「政府の危機管理(CRISIS MANAGEMENT)」

新型コロナウイルス対応と東日本大震災の対応比較

 

 私がこの長―い文章を書き始めたきっかけは

政府に危機管理の意識があるのか」という素朴な疑問 からです。

 ブログの初稿に政府のこの4か月の対応を載せ、次にTDR東日本大震災の時の対応を載せたのも、政府の対応が場当たり的な感じがして、戦後最大の危機に対して我が国がこれからどう進んでいくのか、政府に国を、国民を守る意思があるのか見えてこない不安を感じたのです。

緊急事態宣言が解除されましたが、これからが勝負です。

今なすべきことは

1、感染拡大終息に向けて、防止策を打つこと

 ・・・薬、ワクチンの開発、検査体制の充実、医療体制の充実、

2、国民生活を守ること

 ・・・持続化給付金、雇用調整助成金特別給付金の充実、雇用の安定、

3、中小企業を守り、経済の軌道を回復すること

                               につきます。

このことはあちらこちらの新聞でも見かけますが、具体的に何も進んでいません。

スピード感が無いと思うのは私だけでしょうか。

 

「この新型コロナとは長い戦いになる、新生活様式を取り入れて」と言いますが、その先はどうなるのでしょうか。「3密を避ける」「ソーシャルディスタンス」「手洗い・マスクの徹底」これらを徹底していて、生活が元に戻るのでしょうか。経済が元に戻るのでしょうか。

不安を抱えたままの今の状態で、経済が回復するとは到底思えないのです。

企業は将来ビジョンを描けず、国民も将来の生活設計が描けない、成り行きに任せ、取り敢えず目の前の危機が去ればと思っていたら、いつの間にか国も生活レベルも沈みかけていた、いや、沈んでしまったなんてことになりかねません

 

今政府に求めたいのは数年先を見据えた「優先順位を考えた具体的な目標の設定」と「強力なリーダーシップ」です。また、私たち国民も国が掲げた目標達成に向けて協力し合い、行動することです。

 

結論めいたことを書きましたが、

危機管理という側面から東日本大震災の時の菅さん(当時民主党、首相)の対応と今回の安倍さんの対応を比較してみたいと思います。

 

1、東日本大震災の時の政府対応

 

 東日本大震災はM9、最大震度7を観測したともいわれ、あの時点では世界第4位の規模でした。当時は民主党政権下、菅首相が対策本部長になり必死に動いている感じがしました。しかし、当時の対策本部(?)は3者体制で動いていて、記者会見しても、何が真実なのか、現状どの様な状況なのか、よくわかりません。本来は内閣がリーダーシップを発揮しなければ、この国難、最大の危機を乗りこけることができないのに3者のバラバラ感は私たち国民に伝わってきました。

 内閣府は「国民に不安を抱かせないように安全を強調」、東電は以前から拙いことは隠そうという隠ぺい体質(関係者の方には申し訳ありません。あの時、必死に福島の現場で戦っている方々がいらっしゃいましたが、過去における幾つかの事故の隠ぺいを見聞きしてそう思ってしまいました。勿論今は違うと思います)、原子力安全保安院(当時)はやはり日本の原子力は安全だという立場にいて、目の前に起きている不都合な事実を知らせたくない、責任を取りたくないという心理が働いたのではないかと思います。おまけに当時の民主党は無駄遣いを一掃すると「予算のぶった切り」をしましたから、各省庁との関係が悪化していましたので、それだけではなく、民主党は、脱官僚政治を唱えていて、お役人に使われる政治家でなく、政治家がお役人を使えるようになりたい、という意識が強くて反感を買っていましたので、緊急時にお役人が動いてくれません。対策本部長の菅さんは対策本部に詰め、現地に行ったり、動いてはいるのですが、リーダーシップが取れず、福島第1原発事故の初期対応の拙さ、情報開示の遅れ、と初動体制が思うようにいかなかったのだと思います。チェルノブイリが世界への情報開示が遅く非難を浴びましたが、日本の対応も過去の教訓に学べていなかったと思います。

 

 危機管理下の情報開示は「正確に、早く」が大事だと言われますが、当時「これは正しい情報なのか」「情報を隠しているのでは」「説明不足」と疑問を抱かせる結果になってしまいました。

 

当時の政府の対策として、

  1. 避難地域の設定・避難所の設置・仮設住宅の建設
  2. 計画停電の設定・準備
  3. 復興構想会議の設置
  4. 補助金の支給・農業被害の補償・雇用調整助成金
  5. 原子炉格納容器冷却(炉心溶融

                         が挙げられていました。

 

 この(1)~(5)の対策については、痛手を被った農業・漁業他の補助金や補償金は遅い感じがしましたが、実行できていると思います。ただ、炉心溶融だけは今も解決がつけられず、時間を要しています。いずれにしろ、民主党、菅さんの支持率は震災が起きて、初めの3ヶ月はまだ低いながらも維持できていましたが、4ヶ月過ぎると10%台に大幅に落ちていくことになります。この支持率低下の理由は2つ挙げられます。

一番の理由は「スピード感に欠けていた」の一言です。菅さんは一生懸命動いている感じがするのですが、言っていることが実態に結び付かないのです。補助金、補償金、助成金ついては震災の半年後、に動き始めます。あと一つは「真実を知りたい国民に真実を伝えられているか」「内閣が国民のために動こうとしているのか、」を国民が注視しているのに、「国民から信頼されていない」この2つです。

 

2、新型コロナウイルスの安倍さんの対応、

 

詳細は初稿に乗せた通りですので省きますが、私は初動体制においては比較的早かったと思います。1/28には指定感染症に指定、武漢邦人救出のためのチャーター機も用意しています。1/30にはWHOが新型コロナ感染症について「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言するや否や、政府は「感染症対策本部」設置しています。中には初動も遅れている、12月の武漢での騒ぎを知っているのだから、もっと早くできたはずという方もいますが、定石は打っているのです。

それが何故、全てが後手に回っていったのでしょうか。原因は二つ考えられます。

一つは「いかにオリンピックを開催させるか」が念頭にあり、WHOのいう新型コロナのパンデミックを真剣にとらえていなかったことが挙げられます。

もう一つは「中国の最高指導者、習近平国家主席の来日」という国家行事があり、この二つを成し遂げたいという思いが強かったのでしょう。

そちらに気持ちが集中していたため、この新型コロナの感染力を見くびり、こちらは副対策本部長の加藤さん、西村さんに任せておけば大丈夫だと思っていたのかもしれません。ここまで世界を揺るがす大災害になるとは思っていなかったのだと思います。

 

緊急事態宣言発令のタイミングはいつ頃良かったのでしょうか。

発令が遅すぎたという意見もありますが、結果論的な私の意見です。

 

  1. 最善策・・・1月30日、「対策本部」を立ち上げた時
  2. 次善策・・・2月26日、「3/2からの全国の小、中、高校スペインを春休み迄臨時休校する」と突然の要請があった時
  3. 遅くとも・・・3月14日、特措法が成立したのが13日、施行が14日

 

(1)(2)については、スピード感を重視したら、当然出てくるタイミングですが、緊急事態宣言をするにしても法改正が必要だということを知らない私の素人的考えですので、やはり現実的には(3)が妥当な線だということになります。

安倍さんには当時、新型コロナウイルス感染症についての様々な情報が入っていたはずです。このままでは拙いことになるという漠とした不安感を抱えていたのではないか推測できます。だからこそ、2/25にはクラスター対策班を立ち上げ、この感染症を水際で防止しようとしたり、2/26のような何の前触れもないまま突然「3/2から全国の小、中学校を春休み迄臨時休校する」と言ってみたり、3/5には、中国の習近平国主席の来日が中止になった日の夕方には「中国、韓国からの入国強化」を発表しました。そして3/10には「特措法改正案」を提出、いつでも緊急事態宣言を出せるようにしたのだと思います。なにもしていない訳ではなく、手を打ってはいるのです。ただ、あのころ、記者会見も新型コロナウイルスのことより、東京オリンピック開催のことに時間が割かれていたように見受けられます。世界的に見ても、3月上旬にはスペイン、フランス、イギリス、アメリカ・・・地球規模に拡大しさらに増えるであろうとWHOが警告を出していますし、中旬には欧州がパンデミックと日本でも報道されているのにタイミングが悪すぎです。

 

私は遅くとも、改正特措法の施行日の3月14日に緊急事態宣言を出せていたら、安倍さんの評価も変わったと思います。またこのウイルスの2週間の潜伏期間を考えますと、4月以降の状況も大きく変わっていたのだと思います。

 

 その点スピード感あったのは小池さんです。彼女もオリンピック東京開催の当事者ですが、3/24、安倍さんとIOCのバッハ会長が電話会談で「東京五輪を2021年夏まで延期する」と決定した翌日には、緊急記者会見で「今の状況は感染爆発の重要局面だと強調、週末の外出自粛要請、3密を避けるよう」都民に要請しています。小池さんは2月末から積極的に記者会見を行い都の対応を逐次報告をしています。また、今回は北海道の鈴木知事、大阪府の吉村知事の対応が目を引きました。お二人の真摯な対応の姿に安心感を持たれた方も多かったはずです。私はお二人に非常時のトップのあり方見せていただいた感じがします。

 

こうしてみますと安倍さんは必要な方針は打ち出し、対策はやってきていると見て取れます。それなのに何故支持率低下に繋がっていったのでしょうか。

 

これは私が記者会見の時に感じたことですが、

 

  1. 棒読みで自分の言葉で話していない
  2. 総論では良いことを言っているが、細かいことは部下任せ
  3. 各省庁と地方自治体との連携が上手く行っていない

 

このような緊急事態宣言時、小池さん、吉村さん、鈴木さんはご自分の言葉でお話をされ、それも細かいことにまで対応されている感じが伝わってきましたが、安倍さんは良いこと言っているのですが胸に響いてこないのです。肝心なことは西村経済再生担当大臣、加藤厚生労働大臣、お金のことになると他のお役人が出て、それも言い訳がましいことばかりで、この危機を乗り越えられるのだろうかと心配になります。

 安倍さんの政治は具体性が無く「スローガン」「空虚な理想」といった人がいましたが、私は一国の宰相はそれでも良いと思います。ただ。それを具体的に現わせる側近がどれだけいるのか、また作り上げるシステムや組織を持っているのかです。

「アベノマスク」もアイデアは良いのですが、細かい詰めがされていませんので不祥事続き、解除後に届く有様(私の場合?)で税金の無駄、10万円の特別定額給付金はオンライン申請でスピード感をもってすぐにでも届けるといいながら、オンライン申請を取りやめた郵送に切り替えた自治体が5割、申請はすぐにしたが未だに振り込みが無い(6/4時点で28%の給付率)、雇用調整助成金は手続きが煩雑で申請を断念する中小、零細企業も、と執行にスピード感を欠いた例が私の周りでは枚挙にいとまがありません。これらを見ていると安倍さんは自分の側近である各省庁の大臣に指示をすれば全てが上手く動くと思っているようですが、各省庁からの指示は出ても具体案は現場(各自治体)任せとなり、自治体は財源による体力の違い、よく言われる縦割り組織、長い間の慣習の違いから、どうしたら良いのか戸惑いながら作業をしているように見受けられます。私が普段関わる市役所や支庁では間違いを出してはいけないという意識からか、かなり慎重に作業をしている感じがしますので、税金であるお金を扱う部署では国がスピーディに給付しろ、助成しろと言っても慎重にならざるを得ないのはわかります。やはり国がきちんとしたガイドラインを示してあげることが大事だと思います。今回の一連の流れを見ていて、各省庁と各地方自治体のコミュニケーションが全く取れていないのがよくわかりました。もしかしたら安倍さんは裸の王様になっているのかもしれません。

 

【 東日本大震災の時の菅さんと新型コロナウイルス感染症対策の安倍さんの比較 】

政府に対する評価で面白いものがあります。支持率はどこの会社が調査したかで若干の違いが出てきますし、単純比較はできませんが、ある傾向としてみてください。

 

まず、東日本大震災の時の民主党菅首相に対する評価ですが、

支援に対する取り組みは「評価する、ある程度評価するが50%、あまり評価しない、全く評価しないが44%と別れていますが、政府の発表を「信用している26%、信用していない64%」という結果が出ています。ただ、内閣支持率は20%台、2011年7,8月を見ますと10%台に落ち込んでいます。当時、民主党自体の魅力が失われ、支持者が急減していた時でした。そのような中、取り敢えず取り組み姿勢は良いと評価され(?)、支持率が20%を維持していたものの、3ヶ月もして具体的な政策が中々進まなかったため、最悪の10%台に落ち込んでいます。完全に民意が離れていったのだと思います。実際に補償が始まったのは9月を過ぎてからだったように思います。

 

それでは新型コロナ対策の自民党安倍首相の対応はどうでしょう。

新型コロナ対策を評価する31%、評価しない57%、(この評価の多くは一向に届かない支援策、現金を挙げています。)、安倍内閣指導力を発揮していると答えた人30%、発揮していない57%、ほぼ同じ割合です。内閣の支持率で見ますと、支持率は33%、不支持は47%つい最近までは41%維持していたのですが、検察庁法改正案のこともあり、大きく落ちています。そして、ついに5月24日の報道では支持29%、不支持52%と危険水域に入ってしまいました。それでも民主党時代と比較すると若干良いものの、当時の不人気民主党と比べると大差ないように見えます。今まで盤石だった体制もここで力を抜くと大きく毀損する可能性を秘めています。私からすると今回のコロナ禍にあまり力を入れていないトランプ大統領の支持率は45%、これも支持率が低下し、民主党のバイデン大統領候補47%に逆転を許しています。

 

他の国はどうなっているのでしょう。

 

新型コロナウイルス危機への対応で各国首脳のリーダーとしての資質が問われる中、その対応ぶりから支持率が上昇する指導者と対応の拙さから支持率が下落する指導者との差が鮮明になっています。米調査会社の世界10か国の大統領、首相の支持率を調べた資料によりますと10ヵ国中7カ国の支持率は高水準をマークしています。

 

支持率が上がった主な国は、インドのモディ首相、オーストラリアのモリソン首相、ドイツのメルケル首相、カナダのトルドー首相、フランスのマクロン大統領、

彼等は「早期の外国人の入国禁止」「医療体制を充実し、致死率を低く抑えた」「罰則付きの外出禁止令」「新型コロナとの戦いを戦争と表現し強い決意を示した」ことが挙げられています。

さらに興味深いのは、

「ドイツのメルケル首相、フランスのマクロン大統領は深刻な影響を受けた国の支援のため、約58兆円「復興基金」をEUに提案した。」とありました。

私がすごいなと思うのは、今、各国が自国第一主義に陥り、他国へ支援協力する国が見当たらなくなってきている中、欧州は新型コロナの危機の各国の協調が十分でなかったと反省し、基金の立ち上げを提案したことです。そしてこのことはコロナの先へもう踏み出そうとしていることです。やはり良識ある国のリーダーなんだと感じました。

 

 断トツワーストワンは残念ながら我が安倍首相です。次にブラジルのボルソナーロ大統領、そしてトランプ大統領と続き、不人気3人衆といわれる始末です。

あくまで新聞報道の聞きかじりですが、この3人の共通点を見てみたいと思います。

まず、トランプ大統領です。5月6日の時点で、政界一の感染者数を出しているにも関わらず、大統領直轄の対策本部の解散(数週間以内に)を打ち出しています。そして、マイクペンス副大統領が「早期に経済活動を再開したい」と発表していますが、連邦緊急事態管理局(FEMA)は6月までに、毎日3000人以上がウイルスで亡くなると予測している中での発表です。また、保健当局は今後も感染拡大の恐れがあると声を上げています。感染者数第3位(25万4千人、死者1万7千人、5/18)のブラジルのボルソナーロ大統領は「新型コロナウイルスはちょっとした風邪」「外出は経済を壊す」と言って憚らず、明確に経済優先の立場をとっています。

我が安倍さんはどうでしょうか。対策本部の立ち上げ、ダイヤモンド・クルーズ船の対応ぐらいまでは内容は別として、スピード感はそこそこだったと思います。しかし、オリンピックのことがあったせいか、動きが単発で方針は出すものの、後の対応は現場任せ(各都道府県、市町村)の感が否めませんでした。結果として、全てが後手になっていったように思います。当初西村さんが前面に出てきたように経経済生とコロナ終息を同時にできると思ったのかもしれません。それが経済再生一辺倒のお二人とは違ったもののコロナ対策が中途半端になったと思います。

「何よりも大事なのは命だ」とブラジルの国民が言っていましたが、それはどの国でも同じです。この「国民の命よりも経済活動を優先している」と思われかねない発言や対策の数々が支持率低下の原因であるのは間違いありません。私は当初、安倍さんは対応が早く良いなと思っていましたが、その後様々な対応の拙さが見えてきました。それはコロナ感染症対策の政府の対応の個所で、評価したとおりです。

 

安倍さんの支持率低下の理由を、纏めると、

(1)コロナを終息させることを最重要課題としていたのではなく、東京オリンピックパラリンピック開催を気にし過ぎ、全てが後手に回ったこと   

(2)官僚の書いた原稿の棒読みで、国民に気持ちが伝わってこないこと

(3)以前は「私が総理大臣だ。だから私が何でも決める」かのような態度が、最近は自ら決めずに「党、専門家会議の意見を聞いてから」と、いざとなったら責任転嫁し始めたように見えたこと、     この3つが挙げられます。

 特に国民から、誠意がない、真剣じゃない、そして言ったことが実行されない、そんな風にとられたのではないかと思います。

 

こうしてみますと、菅さんと安倍さんの支持率を落とした理由は状況は大きく違うけど似ていると思いませんか?

 

  1. スピード感が無い
  2. 国民から信用されていない
  3. リーダーシップを発揮しているようで発揮していない

 

この3つはある意味、「危機管理時のトップに求められる要点」です。逆を返せば、

 

  1. 迅速な対応
  2. 誠意ある対応
  3. 自ら陣頭指揮を執ること

 冒頭の「政府に危機管理の意識があるのか」いう素朴な疑問にたいしては10年前と大きく変わっておらず、過去の教訓に学んでいないと言えると思います。

 

次回は国の危機管理体制がどうなっているのか?

どうあったら来るべき危機に対応できるのか?

                    もう少し掘り下げてみたいと思います。

東日本大震災の時のTDRの対応

 

 東日本大震災は起きてからもう10年経ちますので、記憶が薄れている方も多くいらっしゃるかもしれませんので、当時の私の記録と記憶から・・・。

 

 私が在籍していた(株)オリエンタルランド(以下OLC)は1960年に設立され、埋め立て屋そして不動産管理会社でした。私がOLCに入社した当時、知人の中には「お前何であんな会社に行ったんだ。あそこは土地転がし、遊園地なんか、すぐに潰して宅地造成して儲けようとしている・・・」と言われる始末。パークをオープンしてからもOLCなんて誰も知りませんから、名刺を差し出した後必ずといって良いほど、怪訝そうな顔をされ、慌てて「東京ディズニーランドを経営している」と付け加えたものです。それが今では日本のサービス業、テーマパークといえば、必ずといって良いほどオリエンタルランド東京ディズニーリゾートが出てきます。嬉しいことです。

 

 今回の新型コロナウイルスの政府の対応を考えた時に、東京ディズニーリゾート(以下TDR)の東日本大震災の時のディズニーの対応が参考になる部分もありますので、少しお話をさせてください。

 ディズニーでは安全がすべてに優先するという考えが徹底しています。それは入社時の役員から準社員に至るまで受けるオリエンテーションで、ディズニーフィロソフィーと4つの行動指針を学ぶからです。ここでは本題と関係ないのでフィロソフィーは省きますが、4つの行動指針については簡単に触れたいと思います。

 

【 S・C・S・E(行動指針) 】

  1. Safety(セーフティ)・・・安全性、
  2. Courtesy(コーテシー)礼儀正しさ、
  3. Show(ショー)・・・ショー
  4. Efficiency(エフィシェンシー)・・・効率」

 

頭文字をとってキャストはS・C・S・Eと言っています。この4つには優先順位があり、大事なことから順に並んでいて、まず何よりも大事なのはS(安全性)、2番目に大事なのがC(礼儀正しさ)、次にS(ショー)、最後がE(効率)です。安全無くしてパークはありえないという考えなのです。このS・C・S・Eは入社してからも折に触れ、先輩社員や上司によって受け継がれ、ゲスト対応のベースになっています。よく、パークで働いているキャストの対応が素晴らしいと言われたりしますが、特別なことはしていません。確かにパークには沢山のマニュアルが存在しますが、マニュアル通りのサービスには限界があります。文章化するマニュアルはどうしても「標準的な、平均的な」ことしか書くことができません。お客様一人一人に合わせた、思い出に残るようなサービスをするにはマニュアルを超えたサービスをする必要があります。そのためにこの行動指針があるのです。セーフティでいいますと、風の強い日には飛ばされないようにパラソルを閉め、雨で水たまりができるような時はゲストが滑って転ばないようにスウィーパーで水を掃き、夜中にはナイトカストーディアルが、赤ちゃんがハイハイしても大丈夫なように床面を洗い清めています。

安全が全てに優先されるという考え方が日常の教育の中で実践されているのです。

 

 TDL建設が決まった時、地震の多い日本という国の特殊性を考えて、当時の技術の粋を集めて地盤改良工事を行っています。これはセーフティの観点から当然のことなのです。私が聞いている限りではパーク内はサンドコンパイルという工法で、地下深くまで掘り下げ、地盤を安定させています。ですから、大きな地震があった時は。パーク外に飛び出すよりもパークの中にいた方が安全なのです。想像してみてください。もし、シンデレラキャッスルが倒壊し、あの尖塔が崩れ落ちていたら、イメージダウンも甚だしいですよね。 ただ、当時はお金の制約もあり、駐車場については地盤改良されていませんので、液状化現象が起きるであろうことは開園当初からわかっていました。そうそう、確認はしていませんが、この2020年4月15日にオープン予定だった「美女と野獣のエリア」はパークを駐車場側に拡張していますので、勿論、地盤改良をしたのでしょう。

 

それでは、東日本大震災の時の東京ディズニーリゾート(以下TDR)の対応はどうだったのでしょうか?

 

 当時パーク内にいた知人のキャストにその時の周辺の状況はどうかも聞いてみましたが、思った通り、TDLの一部の駐車場で液状化現象が発生、舞浜駅においては陥没したところも見られ、浦安全体では、かなりの地域で液状化現象が発生、市原の製油所では火災からタンクが爆発、といった状況で、信じられない悲惨な状況だと語っています。

そのような中でのパーク内の対応はこうでした。「一時的に混乱したもののキャスト全員が平静を取り戻し、余震が続く中ゲストの安全確保のための誘導に当たり、ゲスト、キャスト共に怪我人はゼロ、施設に若干の損傷が見られたものの、ダメージは殆どなかった」と言っています。

 また、当日、約7万人のゲストがこのTDRにいたようですが、地震発生時は約4.7万人の滞留者、安全のため園内に留まり、翌日帰宅した方たちが約2万人でした。園内で泊まることを余儀なくされたゲストはキャストたちの対応をどの様に見ていたのでしょうか。 これはTDLにいたゲストの声です。

「3時少し前、お土産を買おうと店に入った瞬間に、激しい揺れを感じすぐに外に出たら、人が押し寄せてきて、一時パニック状態になりかけた。近くにいたキャストが「落ち着いて座ってください。皆さん、協力お願いします。」と呼びかけてくれたおかげで皆落ち着きを取り戻し、身を寄せ合って座った。そして「ご迷惑をおかけします。皆さん、ここで待機をお願いします」、安全確認のために中に入れず、外で寒さに震えながら耐えていたら段ボール、買い物用の大きなビニール袋、カイロを配布してくれ、子供にはタオルを配布していた。21時ごろ安全確認が終わり、建物に入ることができ、夜になり寒さが厳しくなってくると簡易断熱シートが配られた。そして売り物のお菓子、ポップコーン、も配布され、温かいお茶、乾物の入ったご飯も「愛情はたっぷりこもっていますから…」とキャストの笑顔と共に渡してくれた。ホワイトボードの簡易掲示板が用意され、外の情報を掴むこともできた。なによりも「何かあったら、声をかけてくださいね」「外の交通は麻痺していますが、ディズニーなら安全です」キャストのやさしさとこの言葉を信じ、無事朝を迎えることが出来た。朝5時ごろ、パンとコーンポタージュが出され、公衆電話も飲み物も無料で、大変ありがたかった。7時か8時ころにはもう一度朝食を、そして昼食も用意してくれた。私には貴重で忘れられない思い出になった。」 

 これと同様の意見が数多く掲載されていました。中にはキャストに対して「情報が遅い、食べ物をどうにかしろ、お菓子ではなくご飯を出せ、」とか言うゲストもいたようですが、ディズニーもあんなに頑張って対応しているのに、あのゲストの方が我儘だとキャスト側に立つ好意的な意見が圧倒的に載せられています。

 

それでは、何故このような対応が取れたのでしょうか?

それは、パークがオープンして8,9年経ったころ、1992年ごろだったと思います。

OLCでは既に、地震、台風、食中毒等の不測の災害に備えるための「非常事態措置マニュアル」を作成していたのです。調べてみますと1992年に政府が「南関東直下の地震対策に関する大綱」を制定していましたので、その情報を知ったOLCでは万が一を想定し、他社に先駆け作成したのだと思います。

 また、この大震災の前、2009年には経済産業省総合資源エネルギー調査会は「想定とは比べ物にならない地震が起きる」と活断層地震研究センター長が指摘をしていますが、当時の東電の担当者は「研究的な課題としてとらえるべきだ」と一蹴したとも聞いています。その指摘をきちんと受け入れていたら、あの悲惨な福島の原発事故は防げていたのかもしれません。私は日本のお役人はさすがにレベルの高い仕事をしていると感心すると同時に、それが何故生かされず、後手に回ってしまうのか、「原子力は安全なんだ!!」という政治の思惑(政治による神話作り)がそうさせたなら、ぞっとします。その後、OLCでは阪神淡路大震災もあり、マニュアルは何度も加筆、修正されています。他にも台風、雷、停電のマニュアルもあります。地震にも強弱がありますので、それによりまずは「ECC(エマージェンシー・コントロール・センター)」、最終的には「対策統括本部」が設置され、各本部、部から代表者が出席し、適宜必要に応じて会議が開かれ、対策を講じていくのです。当時のフード本部で言えば、地震でゲストをパークに泊める時にはどの位の食料の備蓄が必要なのか、火が使え調理が出来る時、火を使えなくなった時はどうなるのか何度もシュミレーションし、対応策を練っているのです。

この日は多分火を使えたのでしょう。ですから朝食、昼食まで出せたのだと思います。またこの作業をしているキャストたちは勿論、殆どがパート、アルバイトの準社員です。彼らが夜を徹して、ゲストのために、できる限り素敵な思い出を持って帰って欲しいと行動したのは或る意味感動的でもあります。聞いてみますと寝ずに、ひたすらおにぎりを何百個も握り続けたキャスト、キッチンで徹夜したコックさん、何せ2万人のゲストの夜、朝、昼、間食まで提供したのですから、大変なことです。

 

 東日本大震災時の東京ディズニーリゾート(以下TDR)の対応は「安全は全てに優先されるというディズニーフィロソフィーの徹底」と「非常事態措置マニュアル」に見られる周到な事前準備、それも最悪の事態を想定してのマニュアル創りが良い結果を生み出したと私は思うのです。さらには、日常の防災訓練での意識づけと経験、防災訓練は私がいた時よりも充実、実際にキャストの家族にも参加してもらい実施していると聞きます。回数も年間180回、各エリア、ロケーションでしているそうで、2日に1度は何処かで防災訓練をしている計算になります。

「安全は全てに優先される」、日常の意識づけ、行動が大事だと思います。

 

私の周りにはこの緊急事態宣言が解除されたら「一番に、ディズニーに行く!!」と言って憚らない人が何人もいます。これも嬉しいことです。

 

令和2年6月6日