このコロナ禍、今、日本がすべきことはワクチンの開発

 

8/22の日経に「未曾有の減収、企業窮地に」・・・世界1万社の4月~6月を見てみると4社に1社が売上3割減、長引けば継続危うく・・・とありましたが、日本にいる私の実感からするともっと厳しい状況に置かれていると思います。

特に私が関係してきた会社が中小企業ということもあるかもしれませんが(日本では99.7%が中小企業、0.3%が大企業、従業員5人以下の小規模企業は全企業の9割弱を占めている)、政府の休業補償や資金援助には限界があり、私の周囲の会社にヒアリングしてみると今の状況が続くと店を閉める、倒産するという声が聞こえてきました。中には既に占める検討に入った企業もあります。仮にこのコロナによる各種の制限(ソーシャルディスタンス、外出制限、渡航制限、入場制限等)が続きましたら、1年後には日本経済の根幹をなす中小企業の倒産件数は大幅に増えることは間違いありません。経済産業省の西村さんは経済回復に懸命に取り組んでいらっしゃいますが、このまま行けば、近い将来、日本の経済はさらなる景気低迷に陥ります。

何度も言いますが、人が動かなければ、自由な行き来が無ければ経済が100%元に戻ることは考えられません。ですから感染予防と事業回復の双方を同時に進めるというのは間違いなのです。まずは「ワクチンの開発」です。その間、国は医療体制を充実させ、命と企業を守る最低限の補償をし、国民も我慢をしなければなりません。

 

今、国はこのワクチン開発を米英任せになっています。アストラゼネカ(英)、ファイザー(米)は9月の実用化に向けて努力しているようです。政府はこれを調達すると言っていますが、他人任せで良いのでしょうか。1補正予算、第2補正予算と合わせると62兆円を超える膨大な予算がこのコロナで使われようとしています。「Go Toトラベルキャンペーン」で13000億円もの予算が使われるなら、何故、ワクチンの開発に力を入れないのでしょうか。日本の医療系の大学病院、研究機関、製薬会社に開発予算をつけ、期限を区切って開発をさせるのです。国の命運をかけての開発ですから、日本の研究陣の総力を挙げれば、米英中には負けないぐらいのものを作れるはずです。日本では塩野義製薬アンジェスが開発を進めているようですが、来春、来秋実用化と周回遅れの感じがします。今からでも遅くはないと思います。「ワクチン開発はすべきでない」とおっしゃる方もいます。コロナウイルスは免疫を回避する厄介なウイルスで、抗体はできても治らないというのです。確かにそれもあり得ると思います。以前のMERS、SARSコロナウイルスでした。ウイルスは形を変えて生き続けます。だからと言って拱くのではなく、その時々のウイルスに合うワクチンを開発すれば良いのです。ですから、今、米英が先行しているようですが、今のコロナに効くのかはまだわかりません。また学術的な研究開発というのは、やったらやった分だけ手順や素材、様々な方法、臨床結果、無駄になるものではありません。次回必ず役に立ちます。

 

厚生労働省経済産業省に従事している方々、医療関係機関の方々、決起して欲しいと思います。特に国に大きな方針を示して欲しいのです。この開発ができれば、世界中の人から感謝されるのは間違いありません。

 

コロナで日本沈没!!

 

" 日本沈没古くて新しい言葉、今の日本の政治、経済状況を見ていると近い将来起きそうな感じがして怖くなります。ブログも他の話題に進もうと思っているのですが、今の政府の動きが気になり、またまたコロナに逆戻りです。

 

日本沈没」は小松左京が1973年に発表したSF小説です。あの頃は日本の高度成長真っ只中でしたが、狂乱物価/オイルショック/インフレによる社会不安が絶えず付きまとっていました。あれから昭和、平成、令和と時は流れ、低成長の時代になりました。右肩下がりの世の中、不安の種が、少子高齢化/労働の流動化/格差社会による将来の不安に移り、それに追い打ちをかけるように「コロナ感染症」が発生しました。

何度も言いますが、このコロナ禍は目に見えません。しかし2011年の東日本大震災よりも大きな被害を日本中に与えているのです。経済活動が止まるということは賃金が下がります、失業者が増えます、また行きたいところへ行けません、会いたい人に、自由な活動ができないということです。それは時間と共に精神的、肉体的な不安を増長させていきます。東日本大震災の時はあの忌まわしい福島原発事故が起きましたが、あの損害を入れても二十数兆円の損害との試算があったと思います。このコロナはどうでしょう。コロナのための第1次、第2次補正予算を合わせるとこれから60兆円を超します。ただその中を見てみると具体案には乏しく、また経済再生の有効打になるものが少ないのが現状です。私にはこの緊急時に今までできなかったことを寄せ集め、予算案にしたように見えるのです。将来を見通した案が殆どありません。

最近あの「日本沈没」が「日本沈没2020」とアニメ映画化(すみません!!私はまだ見ていません・・・^^)されました。「日本が国を失い、放浪の民になったら」がテーマのこの映画、国を失うことはないにしても、この危機の時に強力なリーダーがいない漂流日本つい思い描いてしまいました。目に見えないけれどじわじわとボディブローのように効いてくるコロナ。今、あらゆる手を打たないと立ち上がれなくなり、日本は世界3番目の経済大国からさらにずり落ちてしまいます。政府にその危機感が全くないと思うのは私だけでしょうか。

 

このコロナ感染症は未曾有の「自然災害」です。このコロナがさらに勢いを増しているのに、政府はクライシスマネジメントとしてもっと危機感を持って欲しいと思います。

 

それなのに、つい先月の「Go Toトラベル」キャンペーンを強行突破、実施するというのですから驚きです。「不要不急の外出は控えろ、3密は避けろ」と片方で言いながら、出かけることにお金を出すという理不尽さに国民は戸惑いを覚えていました。旅行は不要不急ではないと言えるのでしょうか?大きなこの矛盾のために1兆6794億円の巨額の税金を使うのです。早く経済を再開したい気持ちは痛いほどわかるのですが、政府が前倒しした、「緊急事態宣言解除」5/25、そしてこの「Go Toトラベル」も前倒しで7/22に始めると決めました。ともに拙速です。「Go Toトラベル」は中身が詰まっていないものですから、各旅行会社は大慌てです。その最中、東京は感染者が増えて危ないからと実施直前に除外になりました。今度は予約した人のキャンセル料はどうするのかで現場はまた混乱に陥ります。今回のコロナを巡っては一度出した方針が直前で翻るということが何度あったことでしょう。あきれるばかりです。

そもそも、この「Go Toトラベル」何故今やらなければならないのでしょうか。多くの方が疑問に思われている中で、無理やり補正予算の中に盛り込まれました、これを推進してきた人として、安倍さん最側近と言われる経済産業省出身の今井直哉氏、経済産業省産業政策局長の新原浩朗氏、適切な対応をするよう話す、インバウンドを推進してきた菅官房長官、全国旅行業会会長であり、平成の時代から長く旅行・観光業界に君臨してきた二階俊博自民党幹事長、」の名前が挙げられています。中でも、旅行業界からの献金4200万円(文春報道)が事実だとすれば、二階さんが自分の立場を利用して強力に進めていったのではないか勘繰ってしまうのです。また、公明党はどうなのでしょうか。支持母体の創価学会には観光業・サービス業に従事している方も多く推進派だと聞いています。現に赤羽一嘉国土交通大臣は観光産業の900万人の雇用を守るためにこの「Go Toトラベル」を推進して行かなければならないと言っています。ですが、このキャンペーンは東京を除外しただけではなく、若者、高齢者は避けて、またあまり旅館から出ないで欲しいと要請しています。一体誰のための事業なのでしょうか。これで本当に大きな効果が得られるのでしょうか。観光・旅行業界を救いたければ、補助金を出しても良いのです。このコロナが再燃し、また緊急事態宣言が出されたら、損失は20兆円に及ぶとも言われています。このキャンペーンは「宿泊・日帰りの旅行代金の2分の1相当額を支援するとあります。その中身はというと、旅行代金(宿泊費+交通費)の7割負担は良いのですが3割は「地域共通クーポン券」となっています。旅行会社を調べてみますと、9月1日から実施予定とあるところ、また、何も触れていないところがありました。まだ決まっていないことが多く、載せることができないのでしょう。現場を無視して片肺飛行になっているようです。

 

安倍さんは

8月6日に広島で記者会見をしました。その時に「緊急事態宣言」「Go Toトラベル」についてこのように語っています。

「政府方針として、重症者や死亡者の数は抑制で来ている。直ちに緊急事態宣言を出す状況ではない」また、お盆シーズンの一律帰省、自粛は呼びかけず「Go Toトラベル」キャンペーンを引き続き推進して行く考えを示しています。それでいて、首相は「3密を避ける、大声で話さないといった基本的な感染防止策を徹底するようお願いしたい」と要請しています。私からするとやると決めたことはやる、だけれど判断は国民に丸投げ、全く緊迫感が無いように受け取れてしまうのです。またこの日、安倍さんから嫌われている朝日新聞社の記者が「総理、質問があります」と食い下がった時のことです。

「コロナ感染拡大で国民の不安が高まっているのに、何故50日近くも国会を開かないのでしょうか」と質問をしました。それに対して「あのですね、今回もですね、コロナウイルス感染症について割と時間をとってお話をさせて頂きましたし、節目、節目において会見させていただきたいと考えておりますし、また日々、西村担当大臣、菅官房長官からもお話をさせていただいていると思います」と答えていました。

このことに今の政府関係者の危機管理の様子がわかるというものです。

最近の西村経済再生担当大臣の言動はどうでしょうか。

少し前のことですが、

  1. 政府対応に不満を漏らした吉村府知事に「何か勘違いされているのではないか・・・」と上から目線。
  2. 専門家会議を廃止する・・・専門家会議の尾身さんたちが別の会議に出席していたときに発言(専門家会議の人は誰も知らされていなかった。会議を軽んじている、勝手に動いている)。
  3. もう誰も「緊急事態宣言」と言われたくない、休業もしたくないでしょ。皆が努力しないとこのウイルスに勝てませんよ!!・・・自分たちを棚に上げて悪いのは国民と言わんばかり。
  4. これだけクラスターが発生している中、協力的でない、ガイドラインを重視していない店舗に陽性者が出たら、店名を公表して行きたい・・・これも国民任せ。」

これが政府の正式見解だとすると日本の将来に暗澹たる気持ちになってしまうのです。対策本部の副本部長加藤厚生労働大臣はつい、8/4に「緊急事態宣言を出す可能性もある」と言っていました。その2日後には「直ちに出すつもりはない」と安倍さんは完全否定、何を信じて行けば良いのでしょう。あの民主党でもこんなにひどくはなかったと思います。

このコロナ以降、何かにつけ「専門家の皆様の意見を聞いて・・・」「担当大臣に任せているから・・・」と他人任せ、人任せ、これで良いのでしょうか。

先ほどの朝日新聞記者の「何故、50日近くも国会を開かないのでしょうか?」

この質問にまともに答えていません。今回は法で決められた150日間、このような問題山積の国家存亡の危機の時に6月17日に閉会、最低限の150日ピッタリで閉会してしまいました。あの東日本大震災が起きた2011年の通常国会はどうでしょう。あの民主党でさえ1/24~8/31、220日開いています。その翌年も229日間、開いており政府の必死さが伝わってきます。「悪夢のような民主党」と笑えないどころか、どなたかが仰っていたように「悪魔のような・・・」と言われないようにしてほしいものです。

大きな国の存亡の危機の時、ご自分の言葉で、本気になって、リーダーシップをとって頂きたい、と思います。以前、安倍さんと東日本大震災の時の菅さんを比較して、私はこんなことも言いました。「当時菅さんも一生懸命やっていたけれど、内閣支持率が10%に落ち込んでいった。安倍さんはそれよりまだましで、5月の時点で29%ある。だけどここで力を抜くとあれだけ盤石だった体制も大きく崩れ、危険水域に入ってしまう」と。

また、

危機管理の時に求められるトップ像として、

  • 迅速な対応
  • 誠意ある対応
  • 自ら陣頭指揮を執る、逃げない。

 

を挙げました。安倍さんは総論的には良いことも言うのですが、後は部下任せ、今は逃げているように見えるのです。

前回も言いましたが、今、政府のなすべきことは「コロナ感染症の抑え込み」と「経済の再開」の両立ではなく明確なプライオリティを持つこと、優先順位ナンバーワンは「治療薬・ワクチンの開発と検査医療体制の確立」が急務です。特に、治療薬・ワクチンの開発は期限を区切り、もっと横断的に日本の先端技術を駆使し、研究開発力総出で対応するのです。新薬が開発でき、安全安心が得られれば、世界の経済戦争においても優位に事を運ぶことができますし、各国からも感謝されること間違いありません。補正予算予備費の全てをぶち込むつもりでやれば可能だと思います。その間は3密を避け、国民に我慢を強いるのもやむを得ないと思います。

 

日本沈没2020」YouTubeを見ていた時、「沈まぬ希望」という言葉が目に入ってきました。私は決してあきらめませんし、今の若い人たちの力を信じていますし、国を支える若い人たちに如何に協力できるのか考えていかなければなりません。政治家は「国の将来のあるべき姿を示し、国家・国民の安心、安全を守り、平和・幸福・繁栄に尽力する」ことが仕事です。絶対に負の遺産を残してはならないのです。

 

令和2年8月7日

 

吉野家の「うまい、安い、早い」と私の好きなディズニーの哲学

innsyokugyou

  今日、やっと梅雨明け宣言!!

例年に比べ、11日も遅い梅雨明けになりました。

このコロナ禍で不要不急の外出を抑えている私にさらに追い打ちをかけた長梅雨は気分もどんよりとして、湿ってくる感じがするのです。

 

 こんな時、小気味好く読めたのが、数年前の日経の「私の履歴書吉野家の安部修仁元社長」の連載です。安部さんは私とほぼ変わらない年代で、なおかつ同じころにジャンルは違うものの外食で苦労をされ、読んでいてそうそう、これだ、これと頷きながら一気に読んでしまいました。 

履歴書の詳細はさておき、その中に外食産業では不滅のスローガン「早い、うまい、安い」という言葉が出てきます。この言葉は誰が作ったのでしょうか?私の中では吉野家の2代目社長、松田瑞穂さんだと思っていますが、どうやらそのようです。

この言葉はクィックサービスレストラン=(ファーストフード)の本髄であり、外食事業の商品の本質をとらえている名言です。

 

外食事業の商品は一般的に

 

価格(心の財布)= 料理・飲物 + 接客 + 店舗(雰囲気)

 

と表されます。

 

 この中の「料理・飲食」が美味しくて安全なのは当たり前のこと、それを半世紀以上も前に「うまい」の一言で表し、接客ではファーストフードに欠かせない効率性を「早い」で表し、店舗づくりはさておきながら、うまくて早いこの商品を「安い」価格で提供するとわかり易くお客様にアピールしています。そして、店舗展開を始めた松田さん、私は当時、同じ外食でも畑違いにいましたが、和製チェーンでありながら、本質を見極める松田瑞穂さんという方はすごい方だと思っていました。

ファーストフード業界で長らく君臨してきた「マクドナルド」の銀座進出は確か1971年、それより前に、チェーン展開を始めたのです。色々な意味で日本の外食に影響を与えたマクドナルドにも「QSC+V」というこれもわかり易い言葉がありますが、業界人にはわかりますが、説明を要します。

この吉野家のスローガンも時代の要請によって「うまい、早い、安い、」となり、現在の「うまい、安い、早い」になってきました。吉野家のモットーを表現するのにお客様にとってだけでなく従業員にとってもこれほどわかり易い言葉はないと思います。

 

 そういえば、私がお世話になったディズニーの世界でも、私に大きな影響を与え、大好きな言葉があります。それは「パークは永遠に未完成」という言葉、ディズニーのフィロソフィです。この言葉はどの企業にも、個人にも当て嵌まり、やはり名言だと思います。

 

“ パークはまるで生き物のようである。

木々も成長を続けていくように、全てが歳を重ね美しさを増している。

常に創意工夫を続け、新しいものを付け加えることによって、パークを永遠に成長させ続けることができる。“

私は、オリエンタルランドのプロジェクトマネージャー時代、この言葉の持つ意味を噛みしめながら仕事をしていました。今も新たなことにいつもチャレンジしたいと思うのは「自分は永遠に未完成」だというこの言葉があるからです。

 

 私の狭い経験の中でも随分前ですが、ある言葉が口をついて出てきました。

シズラーという当時全米で500店舗ほどあった「ファミリーステーキハウス」を日本で展開するためにできたシズラー・ジャパンという会社にいた時、31才頃の話です。

その基盤づくりにアメリカへ研修に行かせてもらったのですが、毎週末、どれだけ覚えたか、勉強したかテストがあるのです。それも私の嫌いな英語で書かなければならないテストです。さらにそのテストの出来不出来はそのまま会社に送られるので、テストが近づいてくると憂鬱になっていました。

私はそれまであまり、勉強という勉強をしないで生きてきたこともあり、時間を有意義に使いこなすということを考えずにいました。ですが、そんな事言っていられません。朝から晩までのシフト勤務に加え、初めてのアメリカなので遊びたい、だけど勉強する時間も作らなければなりません。しなければ悪い成績を日本に送られるプレッシャーとの戦い、結局寝る時間を割いての勉強の日々が続き、自分の人生の中でも集中的に一番勉強したのかもしれません。

否が応でも「よく仕事をし、よく遊び、よく勉強する」というのが身についた3ヶ月になりました。そんなに生まれたのが           

 

“ Good Job ! Good Play ! Good Study ! “

 

文法的には滅茶苦茶かもしれませんが、これが私の座右の銘です。

 

日本の故事、ことわざ、中国の古書の中に今でも面々と生きている言葉が数多くありますが、その時代時代に人が生きている実感の中、本音で生み出された言葉こそ、いつの世も共感され、必要とされていくのだとつくづく思うのです。(私の拙い座右の銘を除いて・・・^^)

 

令和2年8月1日

新型コロナ「国の将来を左右する分かれ道」

私は前回、もうそろそろ、このコロナの話は止めてディズニーの話でもしようかと思っていたのですが、最近の政府の動きを見ていて、日本の行く末が心配になりましたので、もう少しお付き合いください。

 

このコロナ禍、「国民の命と経済を守る」これが国を引っ張っていく政府の、安倍さんの役目です。今日は私が安倍さんだったらどうするのかという切り口で行きたいと思います。

 

7月17日、政府が強引に?前倒しに進めようとした「Go Toトラベルキャンペーン」がいきなり、東京は除くとなり、何で・・・と各マスコミがやかましくなっています。この事業は経済再開の目玉というべきものなのに、出発地、目的地として最大の東京が抜けたら、どういう意味があるのでしょう。生活に困っている人への30万円の特別給付金が一律10万円給付に変わった時もそうでしたが、この頃政府の迷走状態が続いているように見えます。ついこの間まで、何が何でもこの「Go Toトラベルキャンペーン」はやる、と言い切り、8月からと言われていたキャンペンーンを7月22日に前倒しにしたと思ったら、専門家や与野党からの反発で押し切られ、突然の骨抜きです。以前のリーダーシップはどこへ行ってしまったのでしょうか。このような緊急事態の時ほど強いリーダーシップを発揮してほしいのに残念でなりません。ですが、私が安倍さんの立場だったら初めから、この「Go Toキャンペーン」は今やりません。やってもお金をばらまくだけであまり効果が期待できないからです。

 

今、安倍さんがすべきことは何でしょうか

今回の新型コロナウイルスは異常な「危機的自然災害」です。或る意味東日本大震災以上のクライシスなのです。このウイルスは目に見えません。しかしじわじわと真綿で首を占めるように生活に影響を与えていきます。人が動かない、動けないということはお金が動かない、動けないということで、企業にとって自由な経済活動ができない、売上・利益を上げられないということに繋がっていきます。各企業の売上・利益が上がらないということは私たちの給料が、収入が上がらない、若しくは下がっていくということです。人によっては職を失うということになるのです。生活を脅かすだけではありません。自由な生活が奪われ精神的にも、陽性になれば肉体的にも危害を及ぼされるということです。

 

今、私達は将来どうなるのか、コロナはいつ終息するのか、不安を抱えながら生活をしています。安倍さんがすべきことは、この漠とした不安を解消し、以前のような安全、安心、自由な世界を国を取り戻すと大きな方針を打ち出す必要があります。

そして、「コロナ終息後のあるべき姿」を示し、そのビジョン達成のためのプライオリティをつけたロードマップ(方針や対策)を打ち出すことです。それも何時までにと期限を区切ることが必要です。

今のように、安全と経済を両立させながら国を動かすというのは、ずーっと今の不便な生活を続けなければならなくなり、経済が元に戻ることはありません。安倍さんはこのコロナ禍が始まった時から、コロナを抑え込むというより、経済再開に力を入れているように見えました。ですから、緊急事態宣言解除も前倒し、今回の「Go Toトラベルキャンペーン」も中身がまだ詰まっていないのに前倒しで進めました。

今、すべきは「安全・安心を勝ち取る」ことなのです。安全と経済の両立ではなく、まずこの方針を明確にすることです。

 

それでは「安全・安心を勝ち取る」ために何をすべきなのでしょうか?

それは「ワクチン・治療薬の開発」以外にありません。全ての問題には原因があります、問題を解決するには原因を取り除くための解決策を打つ、これはビジネスの基本です。今回の新型コロナウイルスはワクチン・治療薬がないために各国が苦労をしているのです。インフルエンザのように治療薬があれば以前のように自由に活動している中で新型コロナウイルスに罹っても直せるという安心感があります。多くの人はそれには1年なのか2年なのか時間がかかる、と決めつけていますが、私なら6ヵ月と期限を区切り、それこそ日本の各製薬会社、大学や研究所、産学官の総力を結集すればできないことはないと思うのです。日本にはノーベル賞を取れるほどの優秀な技術、研究開発力があります。そこに最大限の予算をつけて開発をするのです。

第1次、第2次補正予算を見ますと、第1次補正予算(25.7兆円)、第2次補正予算(31.9兆円)、総額57.6兆円、これは実に令和2年の国家予算一般会計102兆円の約6割に相当します。中を見ますと総花的に経済活動、企業・生活支援のための予算を中心に様々な活動に予算をつけています。「Go Toキャンペーン」は1兆7000億円、これは官民を挙げた経済活動の目玉として位置づけられています。これに対して、「治療薬・ワクチンの開発」は第1次補正予算では「感染拡大防止策と医療体制の整備及び治療薬の開発」として1兆8千億円、内、◎ 産学官による治療薬の研究開発・200億円、 ◎ 国内におけるワクチンの開発支援・100億円 ◎ 国際的なワクチン研究開発等・216億円、

「ワクチン・治療薬の開発」に関する予算は合計516億円です。第2次補正予算では「治療薬ワクチン」として2055億円計上していますが、これには研究開発と銘打っていませんので、購入する薬を指しているのだと思います。だとすると「ワクチン・治療薬の開発」は補正予算の0.09%、仮に第2次補正予算の「治療薬ワクチン」2055億円をいれたとしても0.4%です。あまりにも少な過ぎです。というより全く力を入れていないのがわかります。新型コロナに打ち勝つ「ワクチン・治療薬」ができたら、世界中から感謝されるだけでなく新たなビジネスチャンスも広がっていきますし、東京オリンピックパラリンピックも成功に導くこともできます。

今日(7/18)の日経新聞に「米中コロナテック躍進」という見出しが大きく載っていました。コロナテックとは新型コロナウイルスに端を発した諸問題を解決する技術やサービスのことで、この新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、米国と中国を中心に有力なスタートアップが続々と生まれているとありました。この4~6月を見ると新たに22社がユニコーン企業価値が10億ドルを超える未上場企業)となり、国別では米国が13社、中国が3社、米中がイノベーションを次々と生み出し、新型コロナと共存する新しい世界をリードしているというのです。10年前に中国に経済大国2位の座を奪われ、ITの世界でも米中に後れを取っている日本、今や技術立国日本の影がどんどん薄くなっています。このような時、経済や社会の激変期は逆に大きなチャンスです。「新型コロナのワクチン・治療薬の開発」で世界をあっと言わせたいものです。私ならここの予算に何兆円かけてでもこの半年で新ワクチン・治療薬を生み出し、来年の東京オリンピックパラリンピックも世界中から人を集めてみたいと思います。コロナを機会に「メディテック日本(メディカルテクニック)」として世界をリードするのです。

その間私達は例の「新生活様式(3密、ソーシャルディスタンス、検温、マスク、手洗い)」を余儀なくされますが、期限を区切っての我慢は耐えられるものです。今のように経済再開と感染拡大の懸念と背中合わせの状況では日本が沈没することがあっても浮かび上がることができません。総花的、羅列的にやりたいことを並べているのではなく、

  1. ワクチン・治療薬開発
  2. 並行してPCR検査の拡充、実態の把握
  3. 医療体制の充実
  4. 休業支援・補償体制と雇用の維持
  5. 官民を挙げた経済活動の回復
  6. IT先進国へe-Japan戦略見直し
  7. 強靭な経済構造の構築

こんな感じで優先順位をつけ、ロードマップを描いていきます。

 

今、小松左京の「日本沈没」をアニメ化した「日本沈没2020」が話題になっています。

本当に日本が沈没してしまったら、洒落になりません。「陽沈む国」ではなく「陽昇る国」にしたいものです^^

 

令和2年7月18日

新型コロナに見る「危機管理(クライシスマネジメント)」まとめ

 

 

 折に触れ、色々書いているうちにもう1か月半近く経ってしまいました。

わからないことがあるとついつい調べては考える、それを繰り返している間に時間ばかりが過ぎていきます。

そろそろ、あまり面白くないこの話題から抜け出して、ディズニーの話でもして行きたいと思っています。

 

今回の纏めは、今まで新型コロナについて話してきたことのうち、私の言いたかった要点を書き抜き、3つの視点、1、新型コロナウイルスの安倍さんの対応、2、今後の対応、3、危機管理はどうあるべきか、で纏めました。

 

そういえば、危機管理というとリスクマネジメントという人もいますし、クライシスマネジメントという人もいます。これについての説明をしていませんでした。私は今回クライシスマネジメントと言っていますが、念のため・・・

 

  • リスクマネジメント(危機管理) ・・・risk : 「絶壁の間を船で行く」が語源

  危害、損害に対して人がする危険、危険、冒険、賭け、

  危機が発生する前に、それを回避するあるいは危害を最小限に抑えるために様々な   

  対策を講じること

  危害が起きる前に起こらないようにする日常のマネジメント

  • クライシスマネジメント(危機管理)・・・crisis : 「将来を左右する重要な分岐点」

  事態の危機、重大局面、難局、重大な分かれ目、岐路

  危機は必ず発生するものという前提で、起きた時の初期対応、二次被害を起こさな

  いための対応

 

リスクマネジメントは事前策、クライシスマネジメントは事後策と理解できます。ただ、私の経験からクライシスマネジメントという用語は東日本大震災後に一般的に普及してきたように思われ、以前はリスクマネジメントが広く使われ、なじみのある言葉でした。ですからリスクマネジメントは事前事後も含む、危機管理全般を指すと広義に理解している人もいます。私は阪神淡路大震災東日本大震災、今回のような新型コロナのような、未曽有な、甚大な被害をもたらす災害はクライシスというべきだと思います。

また、ここにもあるように、今私達は国の将来を左右するような分かれ道にいます。初めは安倍さんもよくやっていると思っていましたが、この数か月を見ていますと初動対応は失敗したとはっきり言えます。となると次の緊急時の対応を如何にするか、そして危機発生以前の平常に如何に戻すか、今後問われていきます。

 

【 コロナの認識を変えよう 】

 

「今回のコロナウイルス感染症」は「危機的自然災害」と認識することから始まります。

 

今回のこのコロナを私達はどのようにとらえているのでしょうか?

実は雇用や生活の心配がない、また多くの新型コロナに罹らなかった人の中には「特別給付金10万円が入って、得した、何に使おうか」「治まったら、早く遊びたい」と危機感の無い人が多く存在します。

 

感染症の歴史を見ますと、古くはペスト、近代ではスペイン風邪、これによって多くの命が失われ、また国が亡びる原因になったとも言われています。私が見聞きし、感じる限りでは、多くの人にこの意識がありません。21世期に入るとサーズ(SARS)2003年、やマーズ(MERS)2012年、あれもコロナウイルスです。共通するのが「呼吸器症候群」、私にはコロナウイルスのことはよくわかりませんが、この20年の間に3回も形を変え人間を襲ってきているのです。「阪神淡路大震災」「東日本大震災」のような目に見える災害と違い、ウイルスは目に見えません。しかし、ジワジワと経済活動に影響し、違う意味で生活を脅かし、精神的にも肉体的にも被害を与えていきます。その被災状況は世界で2年間、1300兆円??ともいわれ、私たちには被害の大きさが想像すらできません。(日本の国家予算一般会計102兆円)

まず、私達は「未曾有の自然災害」と誰もが認識し、東日本大震災以上のクライシス(危機)と捉え、次に向けての体制を築く必要があると私は思っています。

 

【 今回の安倍さんの対応 】

 

第1回目のブログで安倍さんのこの4か月の対応を見てきました。当初は必要な方針は打ち出し、対策を講じていて、そんな大きな問題もなく対応しているように見えました。また、この7年間の安倍さんを見ていると、危機管理に関してはとても関心があるように見えましたし、特に安全保障に関しては私とは意見が違いますが彼なりに手を打っていたと思います。それが徐々に後手に回っていったのは何故だったのでしょう。

ブログを書き始めた時は、政府の危機管理体制がなっていないのではないかと思いましたが、調べてみますと災害時を考えた詳細な組織や体制がありました。さすが日本の官僚、やるべきことはやっていると嬉しくなりました。

それなのに何故・・・

特に3月以降のバタバタ感、場当たり的人気取り感を見ていて「扱う人の問題」だと思いました。

安倍さんを始め、菅さん、加藤さん、西村さん、皆さんの「本気度が見えない」のです。「本気度」とは「国民の命と財産を守り、この危機を乗り越える」という使命感、気概です。

例えば、

  1. 加藤さんの出した方針を一日で転換、おまけに3/2より、小、中、高を春休み迄一斉休校
  2. 緊急事態宣言の遅れ
  3. PCR検査20,000件一向に進まず未達、
  4. 病床数50,000床も同様
  5. 閣議決定した特定世帯30万円給付を一律10万円に変更 等

挙げれば、切りがないほど場当たり的、人気取り的なことが出てきます。おまけに必ず、「スピード感を持って対応します」というのですが、アベノマスクは6月になって届いたという人が多く、また、10万円給付金も申請を出したけどまだ届かないという人が多くみられます。

他のお三方とは違い、安倍さんは総理大臣、国のリーダーです。平時のリーダーなら、安倍さんはお友達、部下、取り巻きの面倒見も良く人間味のある「お坊ちゃん的性格」で愛されもするのでしょうが、このような緊急時、様々な問題が起きた時に彼をかばい、彼のために動く人は忖度人間だけになってしまいます。仮に周りの大臣や補佐官が動いても、冷静な部下たちは動くとは思えません。でも安倍さんは自分が一言いえば周りは動くだろう、今までもそうだし、私の言うことは絶対だ、仮に何か問題が起きてもフォローしてくれるだろうと周囲に甘えて自らが陣頭指揮をするという意識が欠如していたのではないかと思います。

逆にこの緊急時、非常時は全国民が自分を守ってくれるリーダーとしての安倍さんの一挙一動を見ているのです。

それなのに、4月に入ってからは「専門家の意見を聞いて」「党の意見を聞いて」と責任を回避するような言い方になり、役人が書いた原稿をただ棒読みするようになってきました。「自分の言葉で発する」というのは危機管理のリーダーの定石です。

この一連の対応を見ていて、今まで独断的、強権的であっても安倍さんなら野党よりましだ、外交で成果を上げいるじゃないか、と思っていた方々も、「もういい加減にしてよ」「安倍さん大丈夫か」と思い始めたのではないでしょうか。国家の危機には本来、リーダーへの求心力や期待値が高まるはずですし、安倍さんには強いリーダーシップを期待していた方も多かったと思いますが、残念な結果となってしまいました。

これは私が記者会見の時に感じたことですが、

  1. 棒読みで自分の言葉で話していない
  2. 総論では良いことを言っているが、細かいことは部下任せ
  3. 各省庁と地方自治体との連携が上手く行っていない

このような緊急事態宣言時、小池さん、吉村さん、鈴木さんはご自分の言葉でお話をされ、それも細かいことにまで対応されている感じが伝わってきましたが、安倍さんは良いこと言っているのですが胸に響いてこないのです。肝心なことは西村経済再生担当大臣、加藤厚生労働大臣、お金のことになると他のお役人が出て、それも言い訳がましいことばかりで、この危機を乗り越えられるのだろうかと心配になります。

以前は「私が総理大臣だ。だから責任をもって・・・」と、私が何でも決める」かのような態度でしたが、最近は自ら決めずに「党、専門家会議の意見を聞いてから」と、いざとなったら責任転嫁し始めたように見えました。ですから徐々に、国民から、誠意がない、真剣じゃない、そして言ったことが実行されない、そんな風にとられていったのではないかと思います。

 非常時・緊急時のリーダーの要諦

  1. 隠さない・・・真実を話す
  2. 陣頭指揮・・・自分の言葉で話す
  3. スピード感・・・即断、即行
  4. 人望・・・普段の信頼

 これらは日常から「組織に危機管理の意識があり、危機が起きた時の体制がある」ことが前提になります。

このコロナ騒ぎが始まった時の、国会を見ていますと、通常国会は疑惑に始まり、疑惑に終わった感じがします。

1月、桜を見る会の疑惑が始まったと思ったら、

2月には黒川検事長の定年延長問題、検察庁法改正問題、

3月には森友問題赤木さんの手記公表、国を提訴、

4~5月はコロナによる国民の不安・不満爆発、

5~6月はコロナを巡る経済対策が進まず次々と問題化、

法務大臣公職選挙法違反」という前代未聞の事件まで発生します。第2次補正予算は通ったものの「持続化給付金事業の民間丸投げ問題、GoToキャンペーンの不透明さ、予備費10兆円問題と問題山積のままの閉会です。この通常国会での安倍さんのヤジ、質問にはまともに答えない安倍さんの姿は国会軽視、無視の何物でもないという感じでした。これらを見ていますと、責任を取る、責任があると言いながら、責任を果たしてこなかった、もしくは各問題をうやむやにしてきたことが、積み重なって信頼感を失い、支持率も急落して行ったと言えると思います。厳しい見方をすると、この4つ全てをないがしろにしてきた付が回ってきた、とも見えなくありません。

このように見ていくと、長期政権の間に、驕りが出て、安倍さんは裸の王様になっていたのかもしれません。それではこのような未曾有の危機対応はできません。1~4の全てに疑問符が付く状態だったのです

 

【 政府の今後の対応 】

今回の新型コロナウイルスの問題は根本的な解決策が見つからないまま、マスクをしろ、手洗いをしろ、消毒をしろ、3密防止、それで私たちの経済が、生活が、本当に元に戻るのでしょうか?私には不安を抱えたままの今の状態で、経済が回復するとは到底思えないのです。

このまま行ったら、企業は将来ビジョンを描けず、国民も将来の生活設計が描けません。成り行きに任せ、取り敢えず目の前の危機が去ればと思っていたら、いつの間にか国も生活レベルも沈みかけていた、いや、沈んでしまったなんてことになりかねません

安全が確保できて、初めて安心感を生み、人が動き、経済活動が回っていくと思うのです。それには検査体制の充実、医療体制の充実そして新型コロナに効く薬やワクチンの開発を急ぐ必要があります。また、生活の安全、安心のための支援、や企業への支援も同時に進めなくてはなりません。

 

緊急事態宣言が解除され東京アラートも解除され、1ヶ月が経とうとしていますが、何も進んでいません。相変わらずのスピード感の無さ、日本の行く末が心配です。

今政府に求めたいのは数年先を見据えた「優先順位を考えた具体的な目標の設定」と「強力なリーダーシップ」です。また、私たち国民も国が掲げた目標達成に向けて協力し合い、行動しなければなりません。政府は以前のような「安心して働ける環境に戻す具体的なビジョン(近い将来のあるべき姿)、ビジョン達成のための方針・目標」を示すべきなのです。今回上がった数々の問題点をまず解決し、最終的には新型コロナウイルスに効く特効薬・ワクチンが開発され、世界中に供給されることです。目標には年内で達成すべき短期的な目標(緊急対応)と年度を跨ぐ長期的目標(定常対応)がありますが、各省庁の衆智を集めてこれらを整理し、プライオリティをつけるのです。嬉しいことに民間企業の中から、京大に「がん・ウイルス研究」のために100億円寄付という記事が載っていましたが、国がもっと真剣に考えることだと思います。

今なすべきこと(緊急対応)

1、感染拡大終息に向けて、防止策を打つこと

 ・・・薬、ワクチンの開発、検査体制の充実、医療体制の充実、

2、国民生活を守ること

 ・・・持続化給付金、雇用調整助成金特別給付金の充実、雇用の安定、

3、中小企業を守り、経済の軌道を回復すること

                               につきます。

 

マスクが届かない、給付金の申請すらできない、という状況が作り出されているのに、政府が手を打てていないのは、緊急時の密なる体制が未だに出来ていないからだと思います。至急対応するといっても、「どうせ口先だけだ」「いざという時の政府は役に立たない」とあきらめに似た気持ちを国民の多くが持ってしまっています。緊急事態宣言が解除された今、次なる緊急時に備え、省庁の縦割りの弊害を無くし、また省庁と各都道府県、各都道府県と各市町村の密なる体制が築く必要がありますこの巨大なお役所の体制を円滑に進めるには「オンライン化」は早急にすべきであって、これなくして業務のスピード化は図れません。国家公務員64万人、地方公務員286万人、合わせて350万人(10年前の古い資料で申し訳ありません)、これだけの巨大組織を動かすには事務の簡素化、合理化は避けて取れません。緊急時には1億2千6百万人が一つの方針に従い、一つの方向に向かい協力し合い、助け合わなければなりません。それも瞬時に行動することが求められます。

 

安倍さんは常々「政治は結果が全て」と言ってきました。

政権は「国民の命と財産を守る」のが仕事です。それが今こそ問われているのです。

 

【 新型コロナに見る危機管理・・・私からの提案(定常対応) 】 

まず、政府の危機管理体制再構築の私からの提案は3つです。

  1、政府の対策本部、専門家会議

対策本部の中に「諮問委員会」と医学的見地から助言を行う「専門家会議」が置かれていますが、同じような組織が2つ入りませんので、専門家会議だけにします。

 専門家会議の提言を基に対策本部には各大臣がいますので、其々の立場から外交的、社会的、経済学的、学術的な立場からリスク、意見を出し合い、国としての方針、対策を打ち出していく。現状を見ていると、専門家会議に引きずられ、対策本部が機能していない、また諮問委員会が機能していないように見えます。

対策本部のメンバー構成は総理大臣他各省庁の大臣となっており、仮に必要であれば、各大臣が各省庁に関係している専門家の声を聞けば良いのです。

2、危機管理部署を設置し、省庁に格上げする。

日本は災害列島と言われるくらい災害が多い国、平時より対策を考え、各市町村に至る迄の緊急時の対策を考えておく。日本版FEMAアメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁)のような、緊急時の権限を持ち、各省庁から人材を送り込み、各省庁との横断的なパイプを作り、縦割り組織の弊害を改めた組織を作る。各省庁、都道府県、市町村に至る迄「危機管理部署」の設置し、統轄する。

  1. 危機管理意識醸成のための教育と訓練を平時より実施。

   危機管理意識の醸成と能力の強化、専門家の育成。

1については6月25日の報道で「専門家会議」を廃止するという見出しがありました。廃止理由は「位置づけが不安定だった、あたかも専門家会議が政策を決定しているかのような印象を与えた」とありましたが、そうしたのは対策本部のメンバーが安倍さんの下で機能していなかったからだと思います。安倍さん自身がわからないことは専門家会議に・・・と言っていたのを記憶していますし、専門家会議の提案に疑義があれば、リスクコミュニケーションの立場から各省庁にいる別の専門家の意見を取り入れた政策決定を対策会議ですればいいわけで、専門家会議はあくまで提言です。医学的な見地からの提言は大事なことだと思います。今回の問題は「未曾有の事態を目の前にし、専門家が果たす役割が政府に助言するだけでなく、感染予防や感染拡大防止に資する対応策も提供することになってしまったから」であって、そこは元に戻せば良いのです。今後の政府の専門家助言組織について「様々な領域の知を結集した組織とする必要がある」とありましたが、そこは各省庁に専門家がいるのだからそこを機能させ、意見を吸い上げるのは各大臣の役割です。対策本部がきちんと役割をはたしていれば問題ないと思います。

2について、平成27年に「政府の危機管理組織の在り方に係る関係副大臣会合」があったようです。その提言に「現段階では、政府の統一的な危機管理対応官庁の創設等、中央省庁レベルでの抜本的な組織体制の見直しを行うべき積極的な必要性は直ちに見出しがたい。」とありました。既に私が言っているようなことも過去に検討されていたのです。何故、それが「組織の見直しは必要ないという結論になってしまったのか」分かりません。今回の対応を見ていると、場当たり的で、近視眼的で、何も考えていないのでは?と疑問を持ちましたが、そうではないのです。調べてみると考えてはいるので、残念でなりません。

危機管理体制は「不断の見直しと改善が不可欠」です。そして時代にあったより良い危機管理体制の構築を目指していく必要があります。であれば関係副大臣の会合での提言にあった「今は必要ない」ではなくて、平時から危機管理を考える総合的な「危機管理官庁」が必要になるのです。

3について、意外と大事なのが、各省庁、都道府県、市町村における平時の「危機管理意識の醸成」です。これが無いから、もしくは足りないから、いざという時に組織や仕組みを生かせず、後手に回ってしまうのだと思います。

ディズニーでも力を入れているように「安全は全てに優先される」、日常の意識づけ、行動が大事だと思います。

 

第2次補正予算を見ますと、私がここで取り上げてきたものも、盛り込まれており、項目としては納得できるものになっています。一部、力の入れ方の違いはありますが、後はスピード感を持って実行することにつきます。東日本大震災の時も初めの3ヶ月は色々動いていたのですが、その後4ヶ月目以降失速し始めました。今までの安倍さんを見ていると、また国会が閉会したと聞くと、口先だけの安倍さん になるのか心配です。他人任せにするのではなく、ご本人が本気になって陣頭指揮を執って欲しいと思います。

政府の発表にあるように、「社会・経済活動を段階的に引き上げてコロナ時代の新たな日常を創り上げる」との方針は当然のことです。新型コロナの第2は第3波のためだけでなく、このような新たなウイルスがまた発生する可能性が十分にありますので、政府の危機管理体制の構築を急がなければなりません。ただ、勘違いして欲しくないのは「3密を避ける、マスクをつける、手の消毒をする」ことが常態化するのではなく、いずれは特効薬・ワクチンの開発をし、自由な生活に戻すことが前提です。そうでなければ、企業・生活が委縮し、経済も上向くことができません。

政府が緊急事態宣言を出す際の根拠になった新型コロナウイルス対応の「特別措置法」についてある新聞がアンケートしたところ、7割の知事が「改正が必要」と答えたとありました。また改正内容として最も多かったのは「休業要請・指示に対する補償規定」とありましたが、私は当たり前だと思います。当初、全くその話がありませんでした。外出の自粛や休業要請をしておいて「補償が無い」のは片手落ちで、休めは売上が無くなるということ、結果として生活ができなくなるということ、これを強制するなら当然補償が無くてはならないのに、ここが曖昧でした。東京都のようにお金があるところは次々と独自の手が打て、他の県はなかなか都のような手が打てず差がつくのはおかしいのです。私がブログで色々書き始めたきっかけは。これを言いたかったからです。

そして、もう一つ私が改正して欲しいことがあります。

特措法は首相が緊急事態宣言を出すと外出の自粛や店舗、施設の休業要請・指示など国民の私権の制限も可能になるのですが、「宣言の対象区域の指定は首相の権限」である一方、「具体的な措置は都道府県の知事が定める」となっています。それでいて「休業要請は国との協議」とあり、曖昧です。知事が出す休業要請・指示に従わなくても罰則はなく、休業に伴う補償の規定は定められていないのです。

私は「宣言の対象区域の指定は首相の権限」も、「具体的な措置」も首相の権限で定めるべきだと思います。このような緊急時、非常時に都道府県がバラバラに動くのではなく一斉に動かなければなりません。国は?都は?大阪は?他の県は?と休業補償も対応も市町村で違い(東京都と神奈川県が隣り合わせになっている地域で片方は解除、片方はまだアラートが続いている)混乱していました。大きいところは国が決め、都道府県で微調整するイメージです。

 

【 私が考える危機管理のポイント 】

 

最後に「最悪を考えない危機管理には限界がある」と私は考えています。

 

オリエンタルランドでも地震対策マニュアルを作成した時も「震度6強、関東直下型時地震、パークには11万人のゲスト、キャストが1万人、死者も出た時、ゲストをパーク内に泊めた時・・・」と色々なシミュレーションをし、その場合はどうしたら良いか考え作成しています。(ただ、東日本大震災はシミュレーションの枠を超え最大震度7を観測しています。)20年以上前の話ですがその時に「トリアージ」という言葉を知りました。

 

また、「国民・被災者(感染者)の心理的不安に寄り添う」ことです。生活できるのか、仕事ができるのか、将来どうなるのかという不安です。その不安解消無くして経済再建、再開はありえません。

 

今回、ダイヤモンドプリンセス号の対応までの対策は、意見の違いがあるものの、大きな問題は無かったと思います。問題は新型コロナウイルスが世界的なパンデミックと言われ始め、日本でもじわじわと増え始めた時に初期対応ができなかった、遅ればせながらの対応も拙かったことです。クライシスマネジメントの重要性を理解していない人ばかりがそこにいたということです。このような非常、緊急事態を上手く切り抜けられるかは「初期対応」で決まります。初期対応が上手く行くか行かないかは「日常の危機管理教育訓練による意識づけ」と「危機管理体制」が瞬時に築けるかです。

 

今回のコロナウイルスには当てはまりませんが「災害現場の近くに対策本部を設置する」ことです。「全ての答えは現場にあります」ので瞬時に方針、対策を打ち出したら、即実行です。緊急時は初めてのことが多いので違ったらすぐに修正しなければなりません。その為にも現場近くに対策本部を設置する必要があるのです。

 

「広報活動」も重要です。国民は「正しい情報」、それに基づく「適切な対応」を求めます。東日本大震災の時も今回も正確な情報がわかりませんでした。また、このような時は色々な情報が錯綜しますので、国民の混乱、不安の増長を防ぐためにも情報の一本化を図る必要があります。

 

令和2年6月27日

 

 

 

 

新型コロナウイルス感染症、今後の対応

 

 

「今回のコロナウイルス感染症」は「危機的自然災害」と認識することから始まります。

 

 

私が見聞きし、感じる限りでは、多くの人にこの意識がありません。自分は罹らないであろうという思い込みと変な自信、これが怖いのです。これが感染拡大に繋がっていきます。感染を広げているのです。

ある弁護士有志は、この「コロナ禍は災害」として災害対策基本法など災害法制の活用、応用で公助促進を図ったらどうかと訴えています。災害対策基本法を調べてみますと、第一章総則、第二条に災害、暴風、竜巻、豪雨、豪雪、地震津波、噴火他省略、その他の異常な自然災害・・・とあります。この「異常な自然現象」にこのコロナ禍が当てはまると見ているのです。そうすれば、激甚災害法の災害特例を適用でき、経営者は従業員を解雇せずに休業、労働者は雇用保険基本手当を受給できます。また、一律10万円の給付金も災害の損害補償とすれば収入に算入されません。平等原則や申請主義に拘泥し、手遅れになりがちな行政対応を迅速にできるという提案です。私は元々、このウイルス対策をクライシスととらえていましたので、大いに納得できます。

 

コロナウイルスと聞いて、皆さん、覚えていますか。

 

直近ではサーズSARS)2002年、やマーズ(MERS)2012年、あれもコロナウイルスです。そして、サーズは「重症呼吸器症候群」といわれ、マーズは「中東呼吸器症候群」、そして今回も「急性呼吸器症候群」です。私にはコロナウイルスのことはよくわかりませんが、共通するのが「呼吸器症候群」、この20年の間に3回も形を変え人間を襲ってきているのです。目に見える大きな被害を被った「阪神淡路大震災」「東日本大震災」のような目に見える災害と違い、ウイルスは目に見えません。しかし、ジワジワと経済活動に影響し、違う意味で生活を脅かし、精神的にも肉体的にも被害を与えていきます。その被災状況は「世界規模であり、甚大だ」と言えるのですが、被害の大きさが想像できません。いえるのはこのウイルスに効く特効薬やワクチンがまだ開発されておらず、今も、そして今後も被害が増え続けであろうということです。

このことは「未曾有の自然災害」と皆が認識し、東日本大震災以上のクライシス(危機)と捉え、次に向けての体制を築く必要があると私は思っています。

 

政府が今、一番しなければならないこと、それは「危機管理体制」の再構築です。

 

今この新型コロナウイルスが収まる気配を見せ始めていますので、ああ、良かったと安心するのは構いませんが、この4ヶ月の検証、課題の抽出、次に起きた時の対策を講じておく必要があります。

前のブログで、政府の危機管理の体制についてはよく考えられているといいましたが、

私はさらに今後を考え、現在の政府の危機管理体制で欠けていると思われる2つの提案をしました。

  1. 危機管理部署を設置し、省庁に格上げする。日本は災害列島と言われるくらい災害が多い国、平時より対策を考え、各市町村に至る迄の緊急時の対策を考えておく。
  2. 日本版FEMAアメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁)のような、緊急時の権限を持ち、各省庁から人材を送り込み、各省庁との横断的なパイプを作り、縦割り組織の弊害を改めた組織を作る。各省庁、都道府県、市町村に至る迄「危機管理部署」の設置し、統轄する。
  3. 危機管理意識醸成のための教育と訓練を平時より実施。
  4. 危機管理意識の醸成と能力の強化、専門家の育成。

意外と大事なのが、各省庁、都道府県、市町村における平時の「危機管理意識の醸成」です。これが無いから、もしくは足りないから、いざという時に組織や仕組みを生かせず、後手に回ってしまうのだと思います。

 

特に、今回は多くの方が感じているように安倍さんの対応に問題があったと言えます。「初期対応が後手に回ってしまった」理由として、「中国の習近平国家主席の来日調整」と「どうしても東京五輪をやりたくて思い切った対策を打てずにいた」が挙げられます。緊急事態宣言を発令した日から遡って、3週間以上前に特措法が改正されています。それなのに何故改正された時に宣言を出さなかったのでしょうか。そして、専門家の意見も聞かず(これは私の勝手な思い込みですが^^)「突然の一斉休校」、あれには教育現場も共働きの世帯も大困りでした。さらには語り草になった「アベノマスク」、「閣議決定した減収世帯への30万円給付が突然全世帯10万円の給付に」、安倍さんはスピード感をもってと必ず言いますが、マスクは先週、給付金は6月半ばを過ぎても届かない始末です。おまけに、4月に入ってからは「専門家の意見を聞いて」「党の意見を聞いて」と責任を回避するような言い方になり、役人が書いた原稿をただ棒読みするようになってきました。自分の言葉で発するというのは「危機管理のリーダーの定石」です。

この一連の対応を見ていて、今まで独断的、強権的であっても安倍さんなら野党よりましだ、外交で成果を上げいるじゃないか、と思っていた方々も、「もういい加減にしてよ」「安倍さん大丈夫か」と思い始めたのではないでしょうか。国家の危機には本来、リーダーへの求心力や期待値が高まるはずですし、安倍さんには強いリーダーシップを期待していた方も多かったと思いますが、残念な結果となってしまいました。

 

ただ、安倍さんは省庁の縦割り組織で対応が遅れた阪神淡路大震災の教訓、東日本大震災での指揮命令の混乱を参考に「首相直属の国家安全保障会議NSC)創設」し、「危機に強い政府」作りに意欲を示しているようにも見えました。また、首相を支える内閣官房は政策の立案や省庁間の調整を担う「分室」があるのですが、省庁再編時に5つしかなかったものが40に増え、定員も1200人と3倍になりました。それなのに、この有事を前に組織や仕組みを上手く使いこなせなかったのです。

 

この新型コロナウイルスの緊急宣言は解除され、この6月19日には東京アラートのステップ3も解除されました。しかし日本の危機、いや世界の危機は終わっていません。国民や企業が安心して活動を再開し、経済を再生軌道に乗せるためには、まず、今やるべきこと、やろうとしてできなかったことをしなければなりません。つい、1か月ほど前までは盛んに今後の対応が言われていたのですが、緊急事態宣言が解除されたら、喉元過ぎて熱さ忘れてしまったのでしょうか、言い出す人が少なくなりました。災害大国日本、災害が起きるたびに「忘れてはならない」というのですが、同じ失敗を繰り返してきています。

 

今政府がすべきこと 

 

政府は以前のような「安心して働ける環境に戻す具体的なビジョン(近い将来のあるべき姿)、ビジョン達成のための方針・目標」を示すべきなのです。今回上がった数々の問題点をまず解決し、最終的には新型コロナウイルスに効く特効薬・ワクチンが開発され、世界中に供給されることです。目標には年内で達成すべき短期的な目標と年度を跨ぐ長期的目標がありますが、各省庁の衆智を集めてこれらを整理し、プライオリティをつけるのです。

これができたら早急に国民に開示、これを強力なリーダーシップのもとに遂行して行きます。国民も目標達成に向けて行動するのです。そうすれば近い将来、3密、マスク、ソーシャルディスタンスも解消され、人の行き来が自由にできるようになり、経済も元に戻せます。

 

あえて、今、しなければならないことを私なりに書き上げてみました。

これらは全てこの4ヶ月に問題としてマスコミに取り上げられていたことです。

 

 

1、新型ウイルスに備えた「検査・医療体制」の構築

17年ほど前の「SARS重症急性呼吸器症候群」、あれも中国からで「非定型性肺炎」といわれ、コロナウイルスでした。ただ、今のように人から人への感染ではなく発症前の潜伏期間の患者は感染源にはならないということで、規模も小さく8000人を超える症例、死亡者は812人で終息しています。当時、私がいたOLCでは「海外渡航を禁止」した上で、厚生労働省や千葉県の指示に基づき、手洗いやマスクの着用、消毒は当然のことながら、ガイドラインを作成、ゲスト対応していました。今回も再開後の新型コロナウイルス感染対応マニュアル」を作成中、また、パーク運営の準備中とも聞いています。

また、OLCではその時々の非常事態には、必ずといって良いほどマニュアル化され、システム化され同様の危害が起きた時のために残しています。これを機会に次に備え、国としても各自治体と連携して「医療・検査体制」を整えて欲しいと思います。

 

ただその前に、急がなければならないのは特効薬、予防ワクチンの開発です。このワクチンが無いために大掛かりな予防策を講じる必要がありました。既に米国ではウイルスを無力化できる「モデルナ(moderuna)という、通常1~2年かかる新型コロナウイルスワクチンを来年の1月には実用化しようと動いています。また世界では100以上の候補があるそうです。

5/26の新聞に「国産ワクチン7月治験年内実用化狙う」とありましたが、

日本でもこの開発に力を入れ、資金援助をする必要があると思います。

新型コロナウイルスが死滅する紫外線照射装置なんて言うのもあるそうですが、どんなものでしょうか。

 

【 検査体制構築 】

今回特に大きな問題となったのはPCR検査です。

WHOは「感染拡大を低下させるためには、可能な限り数多くのPCR検査を実施しなければならない」と呼び掛けているのに、検査数が伸び悩みました。

・新規感染者は減っているが、窓口となる保健所の業務は逼迫状態。

・受けたくても、医師が不要と判断すれば受けられない。

・検査体制の場所も感染防護服などを備えた医療機関に限られる。

このまま第2波が来たら完全に医療崩壊を招きかねないと指摘されています。

 

PCR検査の少なさはOECD36か国中下から2番目で、1000人あたり、イタリアで29.7人、アメリカで16.4人、お隣韓国でも11.7人、日本は1.8人、あまりにも少な過ぎます。4/24に厚生労働省クラスター班の西浦北大教授は「今の患者数は氷山の一角、10倍を超える患者がいる」、また5/11、専門家会議の尾身副座長は「患者数が多いのは間違いない、それが10倍か15倍か誰もわからない」といっています。なぜ、PCR検査が受けられないのか。ある資料の中に「検査難民」という言葉がありました。私の身近な人からも、PCR検査を受けたいと病院に相談したら、それは保健所で、保健所に電話したらまず病院でとたらい回しにされたとか、そもそもPCR検査はどこで受けられるのか分からない、調べたら保健所らしい、さらに「帰国者・接触者相談センター」とあるけど、ここで良いのか不安になったとのこと。確かにPCR検査を受けたいと思っているのに「帰国者・接触者相談センター」というネーミングもどうかと思います。その後、3月上旬にはPCR検査が保険適用になり、保健所を通さなくても良くなったようですが、これはこの4月、5月の話です。先日ノーベル賞受賞した山中伸弥教授は「PCR検査は大学、研究所を生かしたら10万件はできる」とおっしゃっていました。日本でPCR検査が少なかったのは保健所行政に頼ったためだとも指摘されています。山中教授も仰っていましたが、大学、研究所のみならず民間の病院をもっと活用して、横断的に柔軟な組織の活用をしたいものです。当然、それに合わせた「検査キット」も必要になります。

 

【 医療体制の整備・拡充 】

どうしてもハード面やワクチン開発に目が行ってしまいますが、第2次補正予算では、先端で苦労されている医療や介護にあたる人への支援も盛り込まれていました。これによると、「医療従事者への慰労金は新型コロナ患者を受け入れている医療機関PCRセンターなどに勤務する医療職らに最大20万円を支給する。患者を受け入れていない医療機関の医療職らも感染リスクがあることを踏まえて5万円支給する。さらに介護や障害福祉の現場で働く人を対象に、最大20万円の慰労金を支給する」となっており、これはこれで良いのですが、ここにきて、急に大盤振る舞いの感じがします。やはり支持率低下が効いたのでしょうか。

 

特に、病床の確保・拡充については前述したとおり、政府は3万床確保できると言っていましたが、3万床が正しいのかの検証と重症者、中症者、軽症者の程度や状況により、自宅隔離、ホテル隔離、病院(一般、ICU)の病床確保をしなければなりません。仮に3万床確保だとすれば、今回の政府の対応は全く不足していると言えます。これに合わせて医療用マスクや防護服など高度な感染防護が必要な医療資器材の充実もしなければなりません。また、感染防止対策も地域によって、かかる先生によって対策が違うのではなくマニュアル化しておく必要があります。6/5の日本経済新聞に「コロナ患者の情報共有進まず、ルール統一して転院可能に」とありました。国、自治体で2000以上の決まりがあり、個人のデータが共有されず、患者の治療に支障をきたしているというのです。2011年の東日本大震災の時も同様の問題があったが、対応が先送りにされてきたというのです。このような事実を知らされると本当に日本はデジタル化に後れを取っているんだなと実感します。

 

2、迅速な支援・補償体制

 

日本は借金大国1,103兆円を超える借金があります。日本人一人あたり871万円

になります。大盤振る舞いをして、将来に禍根を残すのではないかという声も聞

かれます。安部さんが首相になった時の国の借金が958兆円(2012)、昨年までに、いつの間にか145兆円の借金が増えています。

この問題は今回、関係ありませんが、私は今、借金が増えても、早くこの停滞モードから脱却して以前の活力を創り出すことが先決だと思います。その後に、自助努力をして国を挙げて借金を返していくしか方法はないと思います。ご存知のように日本企業の割合は大企業0.3%、中小企業99.7%です。この中小企業を救わなくて日本経済の再建はありえません。また国民の消費意欲を高めるには給付金、補償金が必要なのは明白です。例の国民に一律10万円の特別定額給付金は総額約12兆6千億円になります。その他、挙げられているのは先ほど挙げた持続化給付金(中小企業200万円、個人事業100万円)、雇用調整助成金、特別家賃給付金、その他日本政策金融公庫のセーフティーネットや各地方公共団体の支援金、補助金、協力金等、日本の将来の先行投資も含めて支援・補償に使うべきです。今の日本の体力なら可能です。よく言われる「ピンチはチャンス」、このコロナ禍で学んだことを政治、経済、社会を変える機会にして行きましょう。そして、何度か申し上げましたが、其々の基盤づくりに必ずやらなければならないのは「デジタル化」です。

スイスのビジネススクールIMDの「世界デジタル競争力ランキング19」を見ますと日本は63国中23位です。欧米諸国、アジア諸国がランキングの上位にありシンガポール、香港、中国、韓国にも後れを取っています。はっきりデジタル後進国ということが言えます。また、5G移動通信システムにおいては韓国三星が優位でしたが、6Gにおいては韓国、中国が先行しています。日本はガラパゴス化の傾向があるのでしょうか、この双方においても出遅れています。

 

今回の緊急事態宣言の要諦は国民に対する「外出自粛要請」「休業要請」の二本立てになっています。人が動かない、お店が開かない、イベントやショー、全ての活動を休めということは全ての経済活動が滞ることになりますので、遊興施設、各種スクール、運動、遊戯施設、商業施設、食事提供施設、医療施設、宿泊施設、交通機関、金融機関等、あらゆる分野での売上・客数減少を招くことになります。

また、居酒屋に見られるような曖昧な「営業自粛要請・・・営業時間を午前5時から午後8時まで、アルコールの提供は7時まで」はどう解釈したら良いのでしょうか。レストランや居酒屋は夜が勝負、今まで朝5時から営業している店などありません。売上が8割減、9割減という声があちらこちらから聞こえてきます。他にもいわゆる「密集、密接、密閉」の3密空間にある業種は要請されていなくても営業自粛に追いやられました。「協力依頼」・・・感染防止対策、施設の使用停止、開催停止、営業時間短縮等という要請は、何をどこまでどのようにしたら良いのか分からず、個別の企業判断が求められ、各企業に混乱を生じさせたのは事実です。緊急事態宣言は⇨「外出自粛要請」「休業要請」⇒「売上・客数の減少」⇒「企業の存続可否」に繋がり、特に大きな資金を持たない中小企業にとっては大打撃なのです。中小企業99.7%の日本なのです。中小企業は資金力に乏しく、私の知っている限りでは1ヶ月からせいぜい3ヶ月、持ちこたえるのがやっとのお店や企業が大半です。これに従う企業の支援策、救済策無くして、コロナ後のV次回復どころか、今後の日本経済は成り立たなくなるのは目に見えています。私は「『外出自粛要請』『休業要請』と国民や企業への『支援策』は両輪だ」と何度も申し上げてきました。このことは政府も、地方公共団体も分かっているはずなのに、支援の手が不十分に見えます。他の国を見てみますとイギリス、アメリカ、ドイツ、他経済対策(補償)については打つ手が早かったと思います。日本は第1次補正予算が4月、第2次補正をこの5月と後れを取っています。特別定額給付金(一律10万円)、持続化給付金(中小企業200万円、個人事業100万円)、雇用調整助成金、アベノマスクも未だ届きません。(5/20現在)緊急事態は打つ手が早くないとどんどん悪化して行きます。このコロナ禍、終息を迎えるのではなく、第2波、第3波と長く付き合っていかなければならないのです。この中小企業の救済無くして経済の再生は考えられません。私はトランプさんに協力して戦闘機やイージスアショアを購入するのに何兆円も使うなら、こちらの方に少し回してもらえないかと安倍さんにお願いしたくなってしまうのです。

 

【 5/20時点の新聞情報 】

   ・政府系機関の融資急増・・・申し込み48万件超、28万件貸出決定済み

                 中小企業資金繰り深刻

ホテル旅館などのサービス業中心から、最近

では自動車、鉄鋼などの下請け企業が目立つ

    日本政策金融公庫・・・「新型コロナ関連融資」

               46万件のうち27万件貸出決定

    商工組合中央金庫・・・「危機対応融資」

               2万件の内8千件決定

   ・雇用調整助成金

      スピード化を図るため、ネット申請でOK、

      相談件数5/13時点で32万件超

実際の申請は2万5千件

支給決定は1万2千件

       ※早くと言っても、未だ支給決定は相談全体の3.75%、窓口で諦めている

現状が浮かんできます。

 

5/25午後6時、安倍首相が首相官邸で記者会見を開き、緊急事態宣言を全国で解除すると表明しました。

【 要旨 】 

オールジャパンで圧倒的な量の資金を投入し、日本企業の資金繰りを全面的に支えて参ります

 ・雇用調整助成金も15000円まで特例的に引き上げます。

 ・家賃負担の軽減、最大600万円の給付金を創設します。

 ・持続化給付金は本年度創設したばかりのベンチャー企業にも適用します。

・地方創生臨時交付金は1兆円から2兆円に増額して3兆円にします。

・バー、ナイトクラブ、ライブハウスにも感染防止策として上限200万円の補助金を出します。

これらは安倍政権の1丁目1番地、日本経済の立て直しと同時に「感染予防」の徹底をお願いしたい」

 

それにしても、動きが悪いと思っていましたが、このような案が出てきたのは、やはり、コロナ対応での民意の安倍自民党離れを感じているからなのでしょうか。細かいところは記者会見で発表されていませんでしたが、私が昨日見た自民党の第2次補正案を見ますと、私が取り上げてきました問題点についても盛り込まれていました。後は、スピード感の問題です。東日本大震災の時も初めの3ヶ月は復興会議を含めて色々動いていたのですが、その後4ヶ月目以降失速し始めました。今までの安倍さんを見ていると、口先だけの安倍さん になるのか心配です。他人任せにするのではなく、ご本人が本気になって欲しいと思います。

そして「社会・経済活動を段階的に引き上げてコロナ時代の新たな日常を創り上げる」との方針は当然のことです。新型コロナの第2は第3波のためだけでなく、このような新たなウイルスがまた発生する可能性が十分にありますので、政府の危機管理体制の構築をお願いしたいと思います。ただ、勘違いして欲しくないのは「3密を避ける、マスクをつける、手の消毒をする」ことが常態化するのではなく、いずれは特効薬・ワクチンの開発をし、自由な生活に戻すことが前提です。そうでなければ、生活が委縮すれば、経済も上向くことができません。

 

政府は5月27日に第2次補正予算を成立させました。それは事業規模で117兆円、真水と言われる政府の支出は32.9兆円です。補正予算としては過去最大となります。

 

第2次補正予算、政府支出の内訳を見てみますと

・資金繰り対策の強化(実質無利子、無担保融資)・・・11兆6390億円

・緊急包括支援金(病床の確保、人工呼吸器の整備、地域の医療体制強化)

  ・・・2兆2370億円

・医療用物資確保・・・4379億円

・治療薬ワクチン・・・2055億円

・ひとり親世帯支援・・・1365億円

・大学授業料減免・・・153億円

・教員、学習指導員追加配置・・・318億円

・学校感染症対策・・・421億円

・休業支援金制度・・・5400億円

・家賃支援給付金・・・2兆242億円

・持続化給付金・・・1兆9000億円

雇用調整助成金雇用保険未加入者分)・・5000億円                                                             

雇用調整助成金雇用保険加入者分)・・・1兆1000億円

・地方創生臨時交付金増額…2兆円

・芸術家、アスリート支援・・・560億円

 

となっています。(注:この補正予算については新聞、TVとも若干の相違があり、どこまで含めるのか各社で考え方が違うようです。例NHK・・・第1次補正予算25.6兆円、第2次補正予算31.9兆円)

 

内容は「資金繰り対策の強化」に多くが割かれています。

次に大きいのが、予備費10兆円。です。従来は多くても5000億円とも言われていましたから、使途がわからないままの予備費の多額さに疑問が集中しました。感染状況が見通せない中、不測の事態に備えたいのはわかりますが、このような体質だから借金がいつの間にか増えてしまうのでしょう。今回新たに設けられた給付金が「家賃支援給付金」、売上が減少したテナント出店者に1か月あたり100万円(法人の場合)を上限に、支払い家賃の一定割合を支給するというもの、これは休業要請をした時点からの事業者の声を吸いあげたもので、私の周りからは歓迎の声が上がっています。また、雇用調整助成金も上限額が引き上げられました。今回の補正予算は中小事業者、又生活者の補償、支援の側面が多くみられ、第1次補正予算の不備を補うもので、予備費以外は納得できる内容になっています。ただ、国会審議やり取りの中で、どさくさに紛れて、国民の税金を食い物にしている役人の答弁を聞いて悲しくなります。それでも緊急時ということで成立しましたが、許せることではありません。

 

因みに第1次補正予算25兆6000億円の内訳です。

 1、感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発・・・1兆8000億円

新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金・・・1490億円

PCR検査機器整備、病床、軽症者等受入れ施設確保、人工呼吸器等の医療整備、応援医師派遣への支援等)

医療機関へのマスク優先配布・・・953億円

・人工呼吸器、マスクの生産支援・・・117億円

・幼稚園、小学校、介護施設等マスク配布など感染拡大防止策・・・792億円

・全世帯へのマスク配布・・・233億円

・アビガン確保・・・139億円

産学官連携による治療薬等の研究開発・・・200億円

・国内におけるワクチンの開発支援・・・100億円

・国際的なワクチン研究開発等・・・216億円

新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金・・・1兆円

2、雇用の維持と事業の継続・・・19兆4905億円

雇用調整助成金の特例措置の拡大・・・690億円

・中小・小規模事業者等の資金繰り対策・・・3兆8316億円

・中小・小規模事業者に対する新たな給付金・・・2兆3176億円

・全国全ての人々への新たな給付金・・・12兆8803億円

・子育て世帯への臨時特別給付金・・・1654億円

3、次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復1兆8,482億円

(Go Toキャンペーン事業、新型コロナリバイバル成長基盤強化ファンドの創設)

4、強靭な経済構造の構築・・・9172億円

サプライチェーン多元化等支援事業・・・2200億円

・海外サプライチェーン多元化等支援事業・・・235億円

・農林水産物・食品輸出力・国内供給力の強化・・・1984億円

GIGAスクール構想の加速による学びの補償・・・2292億円

公共投資の早期執行のためのデジタルインフラの推進・・・178億円

・中小企業デジタル応援隊事業・・・100億円

5、今後の備え(新型コロナウイス感染症対策予備費・・・1兆5000億円

6、国際整理基金特別会計へ繰入・・・1259億円

 

私が気になるのはやはり予備費です。私は日本の経済の基盤である中小企業の支援・助成、国民への給付金、将来への投資のために貴重な税金を使うのはやむを得ないと思っていますが、1次でも1兆5000億円の予備費、2次では10兆円の予備費これはいくら何でもやり過ぎではないかと思います。これ全て国の借金です。またこれからの日本の経済回復を考えた時に、治療薬、ワクチン開発に欠けるお金が低すぎること、また新たな産業が育っていない日本の経済基盤を考えると国際競争力に不可欠な、デジタルインフラにかけるお金があまりにも低すぎると思います。本当に日本の将来を考えているのでしょうか。サプライチェーンは各企業の仕事と割り切り、この予算をデジタル化推進に回して欲しいと思います。これを見ていると今まで予算付けできなかった事業がこれを機会に息を吹き返したように見えます。

 

次回は、危機管理の纏めに入りたいと思います・・・

日本の危機管理体制って・・・どうなっているんだろう!?

 

ここには本来内閣で作成した「危機管理体制」の図が入る予定でしたが、私のワードにはコピーできたのですが、こちらにはコピーできませんでした。分かり難くて申し訳ありません。もし興味があれば、

◎ 我が国の危機管理体制について

国家安全保障会議の創設に関する有識者会議」第2回説明資料

◎ 内閣の危機管理について

                      を検索して参考にしてください。

文章偏はコピーできましたので、そのまま記載します。

内閣官房副長官補(事態対処・危機管理担当)の下では、国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生じ、又は生じるおそれがある緊急事態への対処に関連する重要施策などの企画及び立案並びに総合調整を行っています。

緊急事態については、地震災害、風水害、火山災害等の大規模な自然災害、航空・鉄道・原子力事故等の重大事故、ハイジャック、NBC・爆弾テロ、重要施設テロ、サイバーテロ領海侵入武装不審船等の重大事件、核実験、弾道ミサイル新型インフルエンザの発生等、国民生活を脅かす様々な事態(PDF/125KB)が想定されます。そのため、平素からテロ対策の総合調整等を行い、関係機関相互の連携の下、適切な対応がとれるように取り組んでいます。  また、総理大臣官邸内の危機管理センターにおいて24時間体制で緊急事態に備えるとともに、事態発生時には、初動対処を実施(PDF/57KB)し、速やかな事態の把握、被災者の救出、被害拡大の防止、事態の終結に向けた対策の協議、政府の対応に関する総合調整等を行っています。

平成25年12月、内閣に我が国の安全保障に関する重要事項を審議する機関である国家安全保障会議が設置され、国家安全保障会議を恒常的にサポートし、平素から総理の意向を踏まえつつ、国家安全保障に関する外交・防衛政策の基本方針・重要政策の企画立案、総合調整を行うため、平成26年1月、内閣官房国家安全保障局が設置されました。

国家安全保障と危機管理は密接に関わるものであり、平素から、国家安全保障局と緊密に連携・協力して業務を行っております。

ですから、危機管理全般は内閣危機管理監、防衛・外交は国家安全保障局長が担い、密接に連携しています。

  

ここで重要な役割を果たす内閣危機管理監についてです。

《 内閣法15条 》  1998年内閣法によって規定

内閣危機管理監を一人置く

2、内閣危機管理監内閣官房長官、副官房長官を助け、命を受けて事務のうち危機管理(国民の生命、身体、又は財産に重大な被害が生じ、又は生じる恐れがある緊急事態への対処及び当該事態発生の防止をいう。)に関するもの(国の防衛に関するものを除く。)を統理する。

3、内閣危機管理監の任免は、内閣総理大臣の申し出により内閣において行う。

 

 【 内閣危機管理監の役割 】

緊急事態に対し、内閣として必要な措置について第1次的に判断

・初動の措置について内閣官房各部を指揮するとともに、自ら各省庁を総合調整

とあります。

 

 ここにも内閣で作成したわかり易い図がありましたが、消えてしまいました。

興味があれば、上記同様

◎ 我が国の危機管理体制について

国家安全保障会議の創設に関する有識者会議」第2回説明資料

◎ 内閣の危機管理について

                      を検索して参考にしてください。

 

簡単に説明しますと、

  1. 緊急事態発生
  2. マスコミ情報、民間公共機関、関係省庁より「内閣情報集約センター・・・24時間体制」に情報が集約される。
  3. 集約された情報が第1報として、内閣総理大臣内閣官房長官内閣官房副長官に、同時に「官邸危機管理センター・・・24時間体制」入る。
  4. 第1報が入った内閣総理大臣内閣官房長官内閣官房副長官の指示に基づき、内閣危機管理監内閣官房副長官補、危機管理審議官は官邸対策室、緊急参集チームを設置し、所管業務に応じた施策を立案。官邸対策室の室長は内閣危機管理監、また緊急参集チームの主宰は内閣危機管理監が行う。
  5. これらは、「政府対策本部」が設置されるまでの初動措置。

という流れになっています。

それでは、今回の政府の対策本部の組織はどうなっているのでしょうか。

 

新型コロナ対策本部

本部長: 内閣総理大臣

副本部長:官房長官 厚生労働大臣

       本部長が必要と認める大臣

構成員: 他の全ての大臣

《 主な任務 》

発生状況に応じた「基本的対処方針」を決定するとき、対策を総合的かつ強力に推進

 

特措法においては「基本的対処方針を作成するとき、

本部長は学識経験者の意見を聞くこととされている

基本的対処方針諮問委員会(通称;諮問委員会)

委員

有識者会議」の中から内閣総理大臣が指名

(医学・公衆衛生関係者等)

《 主な任務 》

内閣総理大臣の求めに応じ、「基本的対処方針」の作成の基本的考え方を取りまとめる

※政治ドットコム引用

 

よく記者会見で聞く「専門家会議」の位置づけはどうなっているのでしょう。

 

私には諮問委員会の位置づけと専門家会議の位置づけがよく分からなかったのです。

これは正式には「新型コロナ感染症専門家会議」と言い、2020年2月14日に新型コロナウイルス感染症対策のために設置されています。また対策本部内に置かれ、医学的見地から助言を行います。

 それではこの諮問委員会と専門家会議の役割の違いは何でしょうか。メンバーを見てみると専門家会議のメンバー12名がそのまま諮問委員会のメンバーに名を連ね、新たに4人の経済学者を中心としたメンバーが加わっています。諮問委員会の会長は尾身茂さん、緊急事態宣言の時にも席にいました。そして専門家会議の座長は脇田隆字さん尾身さんが副座長を務めています。諮問委員会は専門家会議の提言を基に経済学的な見地からまた感染症以外の社会的、経済的なリスクの意見を聞くための会のように見えます。

私には専門家会議と諮問委員会の役割がダブっていて、同じようなメンバーの組織体が2つあるように見えますので、私なら、一本に絞り、「対策本部、専門家会議」の組織にします。

対策本部の構成は総理大臣他各省庁の大臣で構成されており、其々の長として社会的、経済的な様々な知見を有していると思いますので、経済学者を入れた諮問委員会はいりません。仮に必要であれば、各大臣が各省庁に関係している専門家の声を聞けば良いのです。

 

以下、私が考える政府の組織案です。

今回、対策副本部長として、加藤厚生労働大臣と西村経済再生大臣がなっていますが、加藤厚生労働大臣の下に検査・医療体制の拡充整備する感染症対策チーム」を置き、西村経済再生大臣の下に企業・生活の支援、補償をする「経済再生支援対策チーム」を置き、新型コロナ対策が大前提ではあるものの、両面から攻めていくのは、どうでしょうか。

今回は、PCR検査の不足、病床不足、医療資器材の不足等様々な問題が浮かび上がりました。また各種支援、補償、給付、融資はあるのですが、実態は遅々として進まない現状があります。そういった課題を解決するためのチームで、ここに平時にはない権限を与えるのです。このチームが縦割り組織の弊害を無くし横断的に動くこと、また各地方公共団体との連携強化に努めるのです。多分、これに近い組織があると思うのですが、政府の方針・対策案発表とスピードアップを言いながら、中々進まない現実を見ると、各大臣に陣頭指揮を執ってもらいたいと思います。

 

また、各省庁の中に非常時のリスク・マネジメントを遂行する部署を設けておくこと、各省庁ではやることが全く違いますから、其々の専門家を育てておくことが肝要です。

さらにはそのリスク・マネジメント部署が絶えず時代に沿ったマニュアルの改訂作業をしていることです。マニュアルは一度作ったら終わりではなく、毎年新しい情報を基に見直され、最新のものに改訂されていかなければなりません。

そして、ここのメンバーが「感染症対策チーム」、「経済再生支援対策チーム」に入るのです。

 

文部科学省にはありましたので、他省庁にもあると思いますが、災害発生時に各省庁に「災害対策センター(災害対策本部)」が設置されること、そこはリスク・マネジメント部署が事務局として担っても良いと思います。そして、災害対策センター(災害対策本部)に紐つく形で都道府県との「連絡調整会議」を設けます。

そして各都道府県が対策本部を設けているのですから、各都道府県の意見を拾い上げ、全ての情報をここに集め、一元管理されていくのです。

 

その上で、各知事が対策本部長になり、各都道府県の「対策本部会議」が開催されます。各省庁からの方針のみならず、具体的な連絡事項・作業指示を速やかに実施に移すにはどうしたら良いのか具体策を講じていくのです。確かに、各都道府県は気候風土も違えば、県民性も違い、全てを同じように束ねるのは難しいのは当たり前です。ですから最終的には各市町村の対応が違っていても良いのですが、大きな方針のもと基本的なところは全員で守り、従わなければ、大きな災害には烏合の衆となり、無力化していきます。私には政府はただ、大きな方針を流すだけ、後は各都道府県で考えろという風に見えるのです。おまけに各都道府県によって財政の裕福なところ、逼迫していて余裕が無いところ様々です。政府方針に従えというなら、財政援助が必要です。今回もお金がある東京は他県に先駆けて緊急の対応策を打ち出していきましたが、他県は対策を打ちたくてもお金がありません。TV、新聞を始めとしたマスコミは政府や都がこういう緊急事態宣言、方針、救済策を打ち出したと常時報道します。すると、これを見聞きしている一般の私達は自分の住んでいるところも同じようになる、若しくはしてもらえると勘違いしてしまいます。特に協力金についてはよくわからないでいた方が多いと思います。政府は自分たちが方針を打ち出したら、後は黙っていても現場(各都道府県)がやると大いなる勘違いをしていたように思います。例の4月に給付予定だった10万円のオンライン申請についても、相次ぐ休止騒ぎがありました。政府としてはなるべく早く給付しようとしたのでしょうが、システム整備ができていなかった自治体があり、政府が言いうデジタル化が上手く進んでいなかったことが浮き彫りになりました。オンラインの申請データを紙に印刷し、住民基本台帳の受給権者リストと目視で照合せざるを得ない事例が続出しています。ですから、私が言う各省庁と各都道府県を結ぶ「連絡調整会議」が必要になってくるのです。会議の名称はどうであれ、打ち出した方針や対策が上手く末端まで伝わるための、また現場における様々な問題点を吸い上げる会議体です。今回の各対策の不備も普段各省庁と都道府県が密に連絡を取り合っていれば、このような問題が起きなかったはずです。緊急時はさらに机上だけでなく、走り回らなければ乗り切れません。そのための現場との調整の場です。問題を吸い上げ、その場で解決し、その問題点を共有し、他部署に生かすのです。もしかしたら方針そのものを変えていく必要があるかもしれません。現場は動いていますし、生きています。前回の東日本大震災の時もそうでしたが、なんでも後手に回ってしまうのは、各省庁(経営トップ)と各都道府県(現場)のパイプが細いか、分断していることも一因なのだと思います。

 

また、国の省庁と都道府県のパイプを太くし、目詰まりを防ぐことと同様に、各都道府県と各市町村のパイプも強化しなければなりません。それには「災害対策本部」を末端の市町村に至る迄置く必要があります。国が出す一つの方針、対策案が末端まできちんと伝わり、実施されるか否かが重要で、そのためには省庁、都道府県、市町村其々の単位において、縦の組織だけでなく横断的な横の組織の情報も入り、連携、調整がなされなければなりません。そのために、緊急時の「連絡調整会議」は欠かせないのです。

 

マスクが届かない、給付金の申請すらできない、という状況が作り出されているのに、政府が何も手を打てていないのは、緊急時の密なる体制が未だに出来ていないからだと思います。至急対応するといっても、「どうせ口先だけだ」「いざという時の政府は役に立たない」とあきらめに似た気持ちを国民の多くが持ってしまっています。緊急事態宣言が解除された今、次なる緊急時に備え、省庁の縦割りの弊害を無くし、また省庁と各都道府県、各都道府県と各市町村の密なる体制が築く必要があります。この巨大なお役所の体制を円滑に進めるには「オンライン化」は早急にすべきであって、これなくして業務のスピード化は図れません。国家公務員64万人、地方公務員286万人、合わせて350万人(10年前の古い資料で申し訳ありません)、これだけの巨大組織を動かすには事務の簡素化、合理化は避けて取れません。緊急時には1億2千6百万人が一つの方針に従い、一つの方向に向かい協力し合い、助け合わなければなりません。それも瞬時に行動することが求められます。

 

 

 

 

 

 

『 私が考える350万人公務員を動かす緊急時の組織 』

私のブログに関する知識が足りないからでしょうか。組織図を作成し載せたのですが、駄目でした。残念!!分かり難くてすみません・・・

 

対策副本部長         対策副本部長

加藤厚生労働大臣        西村経済再生担当大臣

各省庁対策本部           各省庁対策本部

連絡調整会議            連絡調整会議

 

 

 

都道府県            各都道府県

対策本部長(知事)        対策本部長(知事)

都道府県対策本部          各都道府県対策本部

連絡調整会議             連絡調整会議

 

 

 

 

 市町村               市町村

対策本部長(市町村長)      対策本部長(市町村長)

市町村対策本部            市町村対策本部

 

 

 お役人350万人をスピード感をもって動かすには「オンライン化」が不可欠

 

 

私の勝手な危機管理組織図を見ただけでも、国の公務員350万人の組織体を動かすというのは大変だとわかって頂けると思います。おまけに迅速でなければなりません。

 

有事の際の、「政府の危機管理組織」はあるのです。

それが何故、阪神淡路大震災の時、東日本大震災の時、そして今回も歴代政権下において、機能していないのでしょうか。特に今回のような、目に見えない災害による精神的、肉体的ダメージ、もっと大きいのは長期における経済破壊をもたらすということです。

過去においてはペストや、コレラ天然痘によって国が滅びた例もあるようです。これを早期に終息させるためには政府も、国民ももっと本気になり、取り組む必要があります。

 

安倍さんは常々「政治は結果が全て」と言ってきました。

政権は「国民の命と財産を守る」のが仕事です。それが今こそ問われているのです。

 

色々書いてきましたが、纏めてみますと私からの提案は2つです。

  1. 危機管理部署を設置し、省庁に格上げする。日本は災害列島と言われるくらい災害が多い国、平時より対策を考え、各市町村に至る迄の緊急時の対策を考えておく。日本版FEMAアメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁)のような、緊急時の権限を持ち、各省庁から人材を送り込み、各省庁との横断的なパイプを作り、縦割り組織の弊害を改めた組織を作る。各省庁、都道府県、市町村に至る迄「危機管理部署」の設置し、統轄する。
  2. 危機管理意識醸成のための教育と訓練を平時より実施。

   危機管理意識の醸成と能力の強化、専門家の育成。

 

こう書いている中、調べてみますと、平成27年に「政府の危機管理組織の在り方に係る関係副大臣会合」があったようです。その提言に「現段階では、政府の統一的な危機管理対応官庁の創設等、中央省庁レベルでの抜本的な組織体制の見直しを行うべき積極的な必要性は直ちに見出しがたい。」とありました。既に私が言っているようなことも検討されていたのです。何故、それがこのような結論になってしまったのか、分かりません。今回の対応を見ていると、場当たり的で、近視眼的で、何も考えていないのでは?と疑問を持ちましたが、調べてみると考えてはいるのです。それが考えては止め、考えては止めの繰り返しになっているので、残念でなりません。

政治家は4年、6年で信を問われますので私が在任中には余計な仕事はしたくないという心理が働くのでしょうか。そうであったら悲しいことです。

危機管理体制は「不断の見直しと改善が不可欠」です。そして時代にあったより良い危機管理体制の構築を目指していく必要があります。であれば関係副大臣の会合での提言にあった「今は必要ない」ではなくて、平時から危機管理を考える総合的な「危機管理官庁」が必要なのです。

 

私のブログは書いているとどんどん、あれもこれもと広がっていき、ついつい長くなってしまいます。そろそろ次はこの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の最終化にしたいと思っています。